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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1340795679/ 清澄高校 下校時刻 優希「ふぃー。」 京太郎「お、どした優希?お疲れだな。」 優希「ん。なんだバカ犬かぁ」 京太郎「バカとはなんだバカとは」 京太郎「コレでも心配してやってんだぞ?もっとこう...何かあるだろ」 優希「うむ。くるしゅうないぞ!」 優希「褒めてつかわすんだじぇ!」 京太郎「大体オレは人間だっつーの。ひどい奴だな」 優希「うむ。そのご主人様に対する心がけは良し」 優希「少し部活で疲れてお腹空いただけだじぇ」 京太郎「なるほどな。まぁわからんでもないが」 京太郎「下校時刻だからなぁ。ここんとこ練習もハードだし」 優希「そうだ!この後どーせ暇なんだろ」 優希「寂しい寂しい京太郎のために私が一緒に帰ってやるんだじぇ!」 京太郎「何で決めつけんだよ!一緒に帰る女子がいるかもしれないだろうが」 京太郎「オレだって健全な男子高校生なんだぞ」 優希「自分で言って虚しくならないのかー?」 京太郎「うるせぇよ!察してくれよ!」 優希「ふっふっふ。こんな美少女と帰れるなんて神に感謝するんだじぇ!」 優希「寂しい京太郎に舞い降りた天使だじょ」 京太郎「へいへい。んじゃ少し準備してくるから天使様は下駄箱で待ってろ」 優希「待たせるとは生意気な!40秒で支度してこい!」 京太郎「天空の城でも探すのかよお前は…。」 京太郎「とりあえずまた後でな」テクテク …… 優希「遅いんだじぇ」 優希「全く犬のくせにご主人様を待たせるとは」 優希「躾がなっとらんじょ!」 優希「まぁ可哀想なやつだし?ご主人様としては犬の面倒見るのは当たり前なんだじぇ」 優希「そう。これは義務!決して下心なんかないんだじょ!」 優希「…ふふっ///」ニマニマ …… 京太郎「んーと。これで忘れもんないな」 京太郎「うわっ!やべぇ結構時間立ったなぁ。」 京太郎「優希が拗ね始める前に早く行かないとだな」 京太郎「しかしこうやってみると犬だよなぁほんと…」 京太郎「自分でも思うあたりオレってダメな奴だわ」 京太郎「まぁ別に嫌な気はしねーんだけどさ」タッタッタッ 下駄箱 京太郎「ふぅ。待たせたな」 優希「おう!待たされたじぇ!」 京太郎「どういう返しだよお前。」 優希「さぁ、か弱いレディーを家まで送るんだじょ」 京太郎「どこにいんだよ、そのか弱いレディーってのわ」キョロキョ 優希「目の前だじぇ!」 京太郎「」 優希「目の前だじぇ!」 京太郎「なんで2回言ったんだよ。聞こえてるっつの」 優希「こんなに可愛い優希ちゃんがこんな時間に一人で帰ったら」 優希「攫われてしまうんだじょ!」 京太郎「はぁ…。そうなんスか」テクテク 優希「京太郎には犬としてご主人様を送り届ける義務があるんだじぇ!」 優希「ってあれ?京太郎ー?」キョロキョロ 京太郎「おーい。バカやってないでさっさと帰るぞー」スタスタ 優希「おい!置いてくな京太郎ー!」タッタッタッ 帰り道 京太郎「しかし練習も大変だなぁ」 京太郎「しかも咲筆頭にみんなレベル高いし」 京太郎「オレなんかレベル違いすぎて蚊帳の外だぜ。ただでさえ肩身が狭いってのに」 優希「んー。まぁ京太郎が弱いのはともかくとして」 優希「確かにハードなのは認めるんだじぇ…」 優希「私のタコパワーも切れかける寸前だじょー」 京太郎「おい、失礼だろ!と言いたいトコだが反論できないよなぁ」 優希「まぁお前には私のタコスを作るという立派な使命があるからな」 優希「誇りに思うがいいじょ」 優希「正直学食のタコスより京太郎のが美味しいんだじぇ」 京太郎「とある執事様に教え込まれてるからなぁ」 優希「さらにこれからタコス作りのレベルを上げるんだじぇ!」 京太郎「オレは調理部じゃねぇっての…」 優希「でも京太郎がいてくれるから頑張れる人もいるんだじぇ」 優希(例えば…私とか…) 京太郎「そーだな。それでこんなオレでも役に立ててるからな」 京太郎「誰かに必要とされる。そんな素晴らしいことはないさ」 優希「京太郎……」 京太郎「あー。何かタコスとか聞いてたら腹へってきたな」 優希「コンビニでも寄って行く?」 京太郎「ん。そうだな、そうするか」 ウィーン <イラッシャイマセー 京太郎「さて、アイスアイスっと…」 優希「タコスは?」 京太郎「そんなもんコンビニに有るわけ無いだろ…」 優希「ぶー。いつになったら日本は時代に追いつくんだじぇ」 優希「うぅ…私の体はタコスをこんなに求めているのに…」 京太郎「ジャンキーかよ。変な目で見られるからやめときなさい」 優希「さっすが京太郎!結婚してくれ!」 京太郎「はいはい。明日にでも市役所行きましょうねー」 京太郎「いいからさっさと選べよー」 優希「んーむ。新発売が2種類…」 「三尋木プロ考案 全てがわかんねーフレーバー」 「藤田プロ考案 カツ丼フレーバー」 優希「よっし!。このカツ丼フレ」ガシッ 京太郎「隣のしろくまアイスにしときなさい。いいこだから。」 ウィーン <アリガトウゴザイマシター 優希「うわ、暑いじょ…」 京太郎「言うな言うな、夏だからな。ほい、アイス」 優希「おぁ。ありがとうだじぇ!」 京太郎「何だちゃんとお礼言えるんだなお前」 優希「失礼な!淑女に向かってなんてことを!」 京太郎「よしよし。いいこいいこー」ワッシャワッシャ 優希「ふぁっ」/// 京太郎「ん?どした?顔赤けーぞ」 優希「な、何でもないじぇ!」/// 京太郎「そか?まぁなら気にしないけど」 京太郎「大方、腹でも出して寝て風邪でも引いたんだろー?」 優希「生意気な犬だじぇ!そこになおれ成敗してくれる!」 京太郎「怒るってことは図星なんだろー?」ニヤニヤ 優希「うるさいうるさい!」 優希「………ばか。」 京太郎「ん?」 優希「全く鈍感な犬を飼うと苦労するじぇ…」ヤレヤレ 京太郎「あれ?もしかしてバカにされてる?」 優希「それよりも!アイスが溶けちゃうじょ?」 京太郎「お、そうだったそうだった。俺のガツンとみかんが…」ガサガサ 優希、京太郎「うめぇ!」 優希「やっぱ夏はこれだじぇー」 京太郎「確かに。コレは夏じゃないと味わえないよなぁ」 京太郎「しっかし夏だよなぁもう」 優希「だじぇ。日差しもきついんだじょ」 優希「お肌のお手入れが大変なんだじぇ…」 京太郎「あー確かに女子はそれがあるもんなぁ」 京太郎「まぁ麻雀部は日焼けの心配は無いだろ」 優希「でも暑いのには変わりないじぇ」 京太郎「まぁ、2,3ヶ月の辛抱だ頑張って耐えるしかないさ」 京太郎「夏なぁ…」 京太郎「優希は夏といえば何だ?」 優希「夏…んー」 優希「そりゃ、やっぱり海だじぇ!」 京太郎「ほぅ。スイカ割りとか砂のお山か?」 優希「はぁー。全く京太郎はそれだから京太郎なんだじょ」 優希「私の水着姿でビーチの男どもを悩殺してやるに決まってるんだじぇ!」 京太郎「いやいや、どう考えても反応するのは大きなお友だちだろ…」 優希「なら、京太郎は?」 京太郎「オレか?んー」 京太郎「そうだなぁ。祭りとか海とかもあるけど、ホラーとか夏ぽくないか?」 優希「うっ。ホ、ホラー…?」 京太郎「やっぱ夏になると見たくなるよなホラーもの」 京太郎「こうクーラーみたいに外部からじゃなくて内面から冷やす!みたいな」 京太郎「まぁ、お前みたいなおこちゃまには無理だろうけどなー」 優希「なっ!馬鹿にするんじゃないじぇ!」 京太郎「お、平気なのか?意外だな」 優希「あ、当たり前だじぇ!タコスかけてもいいじょ!」 京太郎「ほぉ…強気だな」 優希「おばけ何て全然怖くないじぇ!」 京太郎「!」 京太郎「そうだ、優希は今週末暇か?」 優希「日曜?たぶん何もないんだじぇ」 京太郎「そうかそうか。ならウチ来るか?」 優希「へっ?」/// 京太郎「すげぇ怖いと評判の映画を友達から借りててさ。そこまでお前が平気って言うなら」 京太郎「一緒に見ないか?」 優希「あ、あーそういうことか焦ったじぇ」 京太郎「?」 優希「な、何でもないじょ!」/// 京太郎「んで、どうする?来るのか?」 優希(ホラーかぁ…気が進まないじぇ、でも!) 優希「仕方ない。寂しい京太郎のためにこの優希ちゃんが相手してやるじぇ!」 京太郎「んじゃ、約束な。お、良い感じに優希の家の前じゃん」 優希「お、もうついたか。エスコートご苦労であったな」 京太郎「はははっ。有り難き幸せに御座います」 優希「京太郎には似合わないじょ…」 京太郎「なんでだよ!せっかくノってやったのに!」 優希「ワハハ。修行が足りんないんだじぇ!」 京太郎「全く失礼な奴だわ。よし、それじゃーな」テクテク 優希「あっ…」 優希「き、京太郎!」 京太郎「んー?なんだ?」 優希「あ、あの…えっと」 優希「送ってくれて…その…ありがとうだじょ」/// 京太郎「ん。そうやって素直にしときゃ可愛いのにな」 優希「!」 優希「な、何言ってるんだじぇ!」/// 京太郎「わはは。あ、約束忘れんなよ!じゃーなー」テクテク 優希「そっちこそ覚悟しとくんだじぇー!」 優希「…」 優希「えへへ…」/// その夜 片岡宅 優希「んー」ゴロゴロ 優希「んー」ゴロゴロ 優希「えへへ…」/// 優希(家かぁ…思えば初めてだじょ) 優希(ホラー苦手だけど、チャンスだししかたないじぇ) 優希(それにしても京太郎色々言いながらも家まで送ってくれたし) 優希(やっぱり優しいんだじぇ…)/// 優希(普段は幼馴染の咲ちゃんやおっぱいののどちゃんに遅れを取ってる分) 優希(ここは負けられないじょ!) 優希(服何着ていこうかなぁー) <ウンメイガーマワリダスー♪ 優希「お、メールだじょ」 「京太郎1件」 優希「京太郎だっ」バッ 京太郎:遅くに悪い。 :日曜昼からでいいか? 優希「なるほど、予定確認か」 優希「ふむふむ、それでいいんだじょっと送信!」 京太郎宅 <コイノリンシャンカイホー♪ 京太郎「お、返信早いなアイツ」 京太郎「なになにー。おし、大丈夫だな」 京太郎「わかった。腹出して寝るなよ?おやすみっと送信」 京太郎「さてと、俺も寝るかな-」 片岡宅 <ジブンノチョッカンヲシンジテー♪ 優希「お、京太郎だ」 優希「な、腹なんか出してないじぇ!あの犬め憶えておけよぉ…」 優希「全く…」 優希(もう、寝るのかな…少しメールしたいなぁ) 優希「いや、迷惑かもしれないしここは気配りできる女アピールを…」 優希「おやすみだじぇ!っと」 優希「ふふふ///おやすみ京太郎ー」 京太郎宅 <コイノリンシャンカイホー♪ 京太郎「zzz」 当日 <ピンポーン 優希「頼もう!」ガララッ 京太郎「お前は道場でも破るのかよ…」 優希「おっす京太郎!おはようだじぇ」 京太郎「おう、おはよう優希」 優希「ふふん」キリッ 京太郎「なんだよそのドヤ顔」 優希「私服の私を見られて幸せだろう?」 京太郎「あぁ、そういやそーだな」 京太郎(ショーパンにワンピか一見子供じみた服装ながら) 京太郎(上に羽織ったボレロ…) 京太郎(中々可愛いじゃん) 優希「何か言うことはないのかー?」 京太郎「ん。よく似合ってるよ。ワンピもボレロも可愛いぞ」 優希「!」 優希「わ、わかればいいんだじぇ」/// 京太郎「なんだそりゃ。まぁいいや」 京太郎「あ、優希。悪いんだけどさ」 京太郎「飲み物とか準備してくるから先に部屋行っててくれるか?」 京太郎「階段上がって突き当りだから」 優希「了解したじぇ!丁重にもてなせよー?」 京太郎「はははっ了解。んじゃ後でな」 優希「えっと、突き当り…」トテトテ 優希「ここか!」バーン 優希「おぉ、男の部屋だじぇ…物が少ないじょー」 優希「殺風景だじぇ…これが京太郎の部屋…」 優希(うーっ。落ち着かないじょ) 優希「あ、ベッド…」ギシッ 優希(ここで京太郎が寝てるのか…) 優希「…」 優希「……」チョコン 優希(ちょっとだけ…少し横になるだけ…)モゾモゾ 優希(京太郎の匂いがするじょ…) 優希「まくらまくら…」モゾモゾ 優希「はふぅ」 優希「えへへ」///ゴロゴロ 京太郎「よし、こんなもんか。さっさと行かないと優希が拗ねるな」 京太郎「…」テクテク 京太郎「悪い待たせたー」ガチャッ 優希「!」ババッ 優希「は、入るならノックくらいするんだじぇ!」/// 京太郎「いやここオレの部屋だろ…」 京太郎「ん?お前また顔赤くね?」 優希「べ、別に赤くなんかないじぇ!」 京太郎「そか?熱とかないよなーどれどれ」ピトッ 優希「えぅ…」/// 京太郎「良かった熱はないみたいだな」 優希「…だからそう言ってるんだじぇ」 京太郎「はいはい。んじゃ映画見ますかねー」 優希「ところで怖いDVDってなんなんだじぇ?」 優希「リ◯グとか◯怨とかか?」 京太郎「いや、出してる会社はすごいマイナーなんだけどな」 京太郎「割りとそのスジでは有名なやつらしい」 優希「ゆ、有名な…?」ゴクリ 京太郎「なんでもアラフォーアラフォーと誂われたアラサーの生霊に」 京太郎「様々な女性が復讐される内容だそうだ」 優希「なんかそれはホラーとは違うベクトルの怖さの気がするじぇ…」 京太郎「それがまたマイナーな会社ながら演出が凝ってて怖いと評判なんだとさ」 京太郎「ふふふ…怖いのか?」 優希「こ、怖くなんかないじぇ!笑いながら見てやるわ!」 京太郎「どこまで耐えられるかなー」 京太郎「よし、再生っと」pi … これは本当にあった話 月の明るい夜、そいつはやってくる 復讐のために… … 京太郎「おぉ。中々雰囲気あるじゃん!」 優希「う、うん…」 <ナ、ナニガオキテイルノッ! <ワカンネー、スベテガワカンネー <レジェンドノコノワタシガコンナトコロデ… 京太郎「やっぱ美女がやられるってのは王道だよなぁ」 優希「…」ブルブル 京太郎「だ、大丈夫か優希?」 優希「へ、平気だじょ…」ソッ 京太郎(思いっきり人の服の裾掴んでるじゃねぇか…) <ナ、ナンナンダシ!カナチャンハナニモシテナイシ! <ワハハーニゲロー <ウムッ 京太郎「おー次々やられてるな」 京太郎「そろそろ犯人来そうだなこれは…」 優希「うぅ…」 <イ、イキドマリ・・・ニゲラレナイ! <アラサァァァァダヨォォォォ <ウ、ウワアアアアア! 優希「いやぁっ!」ギュッ 京太郎「おわっ!」 京太郎「急に抱きついてどうしたんだよ優希!」 京太郎「ってお前…」 優希「グスッ・・ヒックッ…」ギューッ 京太郎「あらら…」 京太郎「…はぁ。」 京太郎「なんだよ。やっぱ怖いんじゃねーか」ナデナデ 優希「こ、こわく…ヒック……ないもん…グシュ」 京太郎「ぼろぼろじゃねぇかよ」 優希「こ、これは汗だもん…グスッ・・」 京太郎「全く…よしよし」ナデナデ 優希「グスッ…」 京太郎「やれやれ」ナデナデ 優希「グシュ…」/// … 京太郎「落ち着いたか?」 優希「ばっちりだじぇ!大復活!」 京太郎「回復早いなほんと…」 京太郎「さて、どうするよ」 京太郎「ゲームでもするか?DVDはもう見れないし…」 優希「見れるじぇ!」 京太郎「さっきダメだったじゃねぇーか!」 優希「うぐっ。さ、さっきのはびっくりしただけだじぇ」 京太郎「そうか?とてもそうは見えないしキツいんなら無理しないほうが」 優希「!」 優希「そうだじぇ!」トテトテ 京太郎「お、どうした。何か思いついたか?」 優希「これで万事解決だじょ!」チョコン 京太郎「おい」 優希「ん、どうしたんだじぇ?」 京太郎「いや、何で人の膝の上に座ってるんだ?」 優希「これで怖くないからだじぇ!」 京太郎「いや、優希これは…」 優希「京太郎はっ」 優希「京太郎は…嫌…?」 京太郎「い、いや別にっ」 優希「ならOKなんだじぇ!さぁ早く再生するんだじょ!」 京太郎「いや…まぁいいか。再生っと」pi <キャアアアアアアアア <コンナオカルトアリエマセン! 優希「おおっー」 京太郎「何かお前さっきと反応違わないか?」 京太郎(しかし、こいつちっこいな…) 京太郎(膝にすっぽりはまるというかなんというか) 優希「ぜ、全然違わないじょ!」/// 京太郎「ほんとかよ…」 京太郎(可愛いというか…いい匂いがするというか…少し意識するというか…) 京太郎(いや、ここで反応してしまえば優希の信頼を裏切る形になってしまう) 京太郎(耐えろオレ…) <アラフォオオオオデスヨネェェェ? <アラサァァァァダヨォォォォ! 優希(まさか膝上に座れるとは…ラッキーだじぇ!) 優希(しかし慰めてくれたり拒否しない当たり京太郎だな。優しいんだじょ) 優希(ちょっとドキドキするけど) 優希(なんかあったかくて落ち着くじぇ…) 優希(…えへへっ///) <マージャンテタノシイヨネ! fin 優希「はぁー。」 優希「まさかのハッピーエンドだったじょ」 京太郎「そうだな。まさかのだな。」 京太郎(耐えた…よく耐えたぞ京太郎…!) 京太郎「ってかそろそろ膝から降りてくれないか?足痺れてきたわ」 優希「わわっごめん…」バッ 優希「重かった…?」 京太郎「別に。お前ちっこいし。」 京太郎「女に重いとか言うほど無粋じゃねーよ」 京太郎「それに別に嫌なわけじゃないからな」 優希「そ、そっか」/// 京太郎「おう。しかしもう外も暗くなるな」 京太郎「そろそろ帰るか?」 優希「もう5時か。ん、そろそろ帰るじぇ!」 京太郎「だな。夜道は危ないし。途中まで送るわ」 優希「犬にしては気が利くじぇ!」 京太郎「うだうだ言ってないでさっさといくぞー」 優希宅近く 優希「よし!それじゃ京太郎お邪魔したんだじぇ」 京太郎「おう。まさか優希の泣き顔が見れるとは思わなかったわ」 京太郎「良い物を見たな今日は」 優希「う、うるさいんだじぇ!」 京太郎「んー?怖くてしがみついてきたのはどこのどいつだ?」 優希「それは…」/// 京太郎「ま、さっきも言ったが別に悪い気はしなかったしな」 優希「ほんとに…?」 京太郎「また遊びに来いよ。」 優希「えっ。また行ってもいいの?」 京太郎「男に二言はねーさ」 京太郎「次は何か違うジャンルの映画用意しとくぜ」 京太郎「何がいい?アクションとかか?」 優希「いや、ホラーでいいじぇ!」 京太郎「ん?お前今日だってオレの膝上じゃないと見れなかったんじゃ…」 優希「だ、だから!」 優希「そうだから…ホラーがいいんだじぇ…」/// 京太郎「…優希」 優希「うぅ…」/// 京太郎「よっし!わかった。次は気絶するくらい怖いやつ準備しといてやるよ」 京太郎「オレも楽しかったしな」 優希「!」 優希「おう、望むところだじぇ!」 京太郎「あと、なんだ膝上座るなら次はクッションとか敷いてくれ頼むから」 優希「何でだじょ?」 京太郎「いやもうほんと頼むからさ」 … 優希「ん。もう家も近いしここらへんで大丈夫だじょ」 京太郎「お、そうか?んじゃまた学校でな」 優希「今日は色々ありがとうだじぇ!またな京太郎!」 京太郎「おう、またな優希。腹出して寝るなよー」 優希「う、うるさいっ!」 京太郎「はははっ。じゃーなー」 優希「おう!」 優希(「俺も楽しかったしな」…かぁ。) 優希(…えへへっ)/// その夜 優希「んー」ゴロゴロ 優希「今日は楽しかったじぇ」/// 優希(膝上とか思い出しただけでも顔がニヤけが止まんないじょ)/// 優希「!」ハッ 優希「そうだ!京太郎にお礼も兼ねてメールしておくじょ」 優希「えっと、今日は楽しかったじぇ。次も楽しみにしてるじょっと送信!」 <ウンメイガーマワリダスー♪ 優希「お、京太郎だじぇ何々…」 京太郎:いや、オレも楽しかったぞ :次も良いのホラー借りとくよ 優希「そうかそうかー可愛い奴だじょ」/// 京太郎:それとさお化け怖がってるトコとか新鮮だった :あれだな、優希ってなんというか… 優希「ん?なんなんだじぇ…?」 京太郎:意外に可愛いとこあるのな 優希「い、犬のくせに!」/// おわり
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玄「さすがですね京太郎君。それでそのいいおもちの持ち主は?」 京「それはあなたです」 玄「え?」 京「それではおもちを堪能させてもらいますね」 京「めっちゃやわらけぇ」モミモミ 玄「ぁん///やめるのです京太郎君」 京「大きさは和や神代さんに比べたらやや劣りますがこれも立派なおもちですよ」モミモミ 玄「ダメです京太郎君。それ以上は」 京「はりも弾力もありますし感度もこの通り良好ですよ」 京「それでは味のほうもたしかめてみますね」レロレロ 玄「ひゃん」 京「おいひいれふよ」チュー 玄「らめぇ」 京「でも乳首のほうはびんびんですよ」 玄「でもこれ以上は///」 京「玄さんだって今までいろんな人にやってきたことでしょう?」 玄「そ、それは」 京「良質なおもちの研究のためですからがんばってください」 京「玄さん感度がいいから攻めてて楽しいです」 玄「ぁ、いやぁ」 京「じゃあそろそろスパートかけますね」 玄「ら、らめええええええええええええ」ビクンビクン 京「どうでしたか玄さん?」 玄「はぁはぁ」 京(ちょっとやりすぎたかな?俺ももう我慢できそうにないし抜いてくるか) 京「それじゃあ今日のおもちのレポートは明日提出しますね」 玄(おもちを攻められたらこうなるなんて…) 玄「ぁん」モミ 玄(気持ちいい) 玄「ん///」モミモミ 玄(止まらない。でも自分でやるよりも・・・) 玄(なんか下のほうも熱くなってる)クチュ 玄(すごい濡れてる///) 玄「あん、はぁん、ひゃあ」クチュクチュ 翌日 京「こんにちわ玄さん。レポート書いときましたよ」 玄「…」 京(やっぱり昨日強引にやったから怒ってるのかな?) 京「玄さん昨日はやりすぎちゃってすいません」 玄「…」 玄「須賀君」 京「は、はい」 玄「昨日から体がうずいて仕方がないのです」 京「え?」 玄「責任を取って満足させるのです」 2人は幸せなセクロスをして終了 カン
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京太郎「なんだマホか、久しぶりだな」 マホ「久しぶりです、須賀先輩!」 京太郎「何しに清澄まで来たんだ? まだ部長が何か企んでるのか?」 マホ「なのです!」 京太郎「なのです?」 マホ「あうあう」 京太郎「あうう?」 マホ「あううあうあう」 京太郎「あううあ?」 マホ「あうあう!」 京太郎「なるほど、分からん」 マホ「つまりなn」 京太郎「無限ループ止めろ! つまりマホはクリスマス会の手伝いに来たんだな?」 マホ「えっ、違いま」 京太郎「いやあ助かったよ。部長から言いつけられたものの、一人じゃキツいと思ってたんだ」 マホ「そんな話聞いてま」 京太郎「ほら、折り紙。一緒に部屋の飾り作ろう、な?」 マホ「あうう……」 マホ「~♪」チョキチョキ 京太郎「……割に楽しそうだな、マホ」 マホ「はい! 工作は得意なんです!」 京太郎「器用なのか? チョンボはするのに」 マホ「うう……」 京太郎「いや、ごめんごめん」 マホ「大丈夫です、事実ですから……」 京太郎(うーん、思ったより作業が早く済みそうだな) 京太郎「よし、先輩がご褒美をあげよう」 マホ「ご褒美ですか?」 京太郎「ああ、おちn」 久「せいっ!」ドスッ 京太郎「ぬぐぅ!?」 マホ「わっ、須賀先輩!?」 久「危ないところだったわね、マホちゃん。まさか須賀君がFKウィルスに感染してたなんて……」 京太郎「なんすかそれ……」 久「ちなみにFKはFujitayasuKoの略よ。かかると性的対象年齢が著しく下がり……」 京太郎「FukuKaichoじゃないんですね」 マホ「須賀先輩、大丈夫ですか!?」 京太郎「ああ、大丈夫だ」 京太郎(部長も本気でやった訳じゃないし) マホ「竹井先輩、どうしてこんなことするんですか!」 マホ「須賀先輩は、部活のために一生懸命……」グスッ 久「えっ? ちょ、ちょっと須賀君……」 京太郎「えっ、あっ、はい」 京太郎「はっ! 部長のおかげで邪悪な心が祓われたぞ!」 京太郎「もうはっちゃんを見ても日焼け跡ペロペロと思わないし、胡桃を見ても俺の充電器をプラグインとは思わない!」 京太郎「ありがとう、部長! 愛してます、部長!」 マホ「わー、竹井先輩すごいんですね!」パァア 久「そ、そうかしら」 久「あら、もう終わらせたのね」 京太郎「はい。紙飾りの分は」 久「んー、企画は私達、料理準備は咲達がやるとして、後はツリーね」 京太郎「oh...そりゃなかなかヘビーですね」 久「ツリーと言ってもそこまでの大きさじゃないけれど。それでも結構な重労働になりそうね」 久「お願いできるかしら?」 京太郎「お任せあれ!」 マホ「何処か行くんですか?」 京太郎「ああ、ちょっと街までな」 マホ「マホもついて行きます!」 京太郎「そうか? じゃ、行こうか」 マホ「はい!」 マホ「うわー、街はイルミネーションで綺麗ですね!」 京太郎「ああ、そうだな」 京太郎(長野にそんな街があるかどうか知らんが) 京太郎「んー、ついでだし何処か店でも寄ってこうか」 マホ「本当ですか!?」 京太郎「ああ、何処がいい?」 マホ「ジャスコがいいです!」 京太郎「ジャスコ? ノンノンノン、今はイオンって言うんだぜ?」 京太郎「それにしてもジャスコか、ベリーナイスな選択肢だな」 京太郎「オシャレなブティックも、みんな満足なフードコートも」 京太郎「暇つぶしに最適な本屋も、映画館にボーリング場まである!」 京太郎「ジャスコ最高だなぁおい!」 マホ「はい!」 京太郎「どうだ、美味いか? そのクレープ」 マホ「はい、美味しいです!」 京太郎「ふぅむ、皮がふっくら……俺としてはもう少しパリパリな……」 マホ「人がいっぱいですね!」 京太郎「えっ、ああ、クリスマスだからな」 マホ「クリスマスって何だか楽しくなってきちゃいますね」 京太郎「そうだな」 京太郎(サンタを信じてる訳でも一緒に過ごす彼女がいる訳でもないが)」 京太郎「(クリスマスのBGMやイルミネーションは、何故か心をくすぐるんだよな) マホ「……」 京太郎「どうした、マホ? もう食べないのか?」 マホ「手をつないでる人が多いですね」 京太郎「あー、まあ、クリスマスだからな」 京太郎(確かにクリスマスは家族連れとカップルがやたら目立つ) マホ「皆さん仲良しなんですね!」 京太郎「えっ」 マホ「クリスマスは楽しい日だから、仲良くしないとですね!」 京太郎「おっ、おう」 京太郎(何だこの謎理論) マホ「はい」スッ 京太郎「?」 マホ「マホ達も手をつなぎましょう。ねっ、須賀先輩?」 京太郎「……あー、うん」 マホ「決まりですね!」ギュッ 京太郎(……これ、良いんだろうか。いや、単に仲が良い先輩後輩だから! うん、大丈夫!) マホ「それじゃ、行きましょう!」グイッ 京太郎「おっ、おい、急に引っ張るなって」 マホ「マホ、ゲームしたいです、ゲーム!」 京太郎「ったく、しょうがないな」 京太郎「……ゲームセンターに熱中し過ぎて、用事のことすっかり忘れてた」 マホ「クリスマスツリーって、どこに売ってるんですか? 植物屋さん?」 京太郎「いや、ジャスコ内のおもちゃ屋だよ」 マホ「クリスマスツリーって、おもちゃなんですか?」 京太郎「うーん、本物の木じゃないんじゃないか? サイズは小さいって言ってたし」 マホ「なるほどー」 京太郎「しかし小さくても、今から運ぶって結構大変だよな……」 京太郎「あれ、あの後ろ姿……おーい、ハギヨシさーん!」 ハギヨシ「おや、京太郎君ではないですか」 京太郎「どうしたんですか、こんなところで?」 ハギヨシ「クリスマスの準備ですよ。恐らく、京太郎君と同じく」 衣「……ハギヨシ? 誰だ、この馬の骨は」 京太郎「う、馬の骨……」 ハギヨシ「友人です」 衣「友人! ハギヨシの友人なのか! それは不躾なことをした、陳謝する」 京太郎「いや、それは構わないけど……」 マホ「はわぁ……」 衣「むっ、こやつ……」ゴゴゴゴゴ ハギヨシ「衣様! この飾りとこの飾りはどちらがよろしいでしょうか!」 衣「えっ? うーん、この飾りも華美ではあるがこちらも……」ウーン ハギヨシ「ふう、危ない危ない」 ハギヨシ「ところで何を買うつもりで?」 京太郎「クリスマスツリーです」 ハギヨシ「ふむ……歩いて運ぶつもりですか?」 京太郎「そのつもですけど」 ハギヨシ「良ければ、車で一緒に運んで行きましょうか?」 京太郎「えっ、いいんですか?」 ハギヨシ「歩いて運ぶのは大変でしょうし、友人のためなら」ニッコリ 京太郎「ありがとうございます! おーい、マホ、この人が……ってあれ?」 マホ「わー、すごい大きいです!」 衣「これはエトペンと言う。エトピリカになりたかったペンギンというのが其の正式な……」ウンヌン マホ「そうなんですか。物知りなんですね!」 京太郎「……あら、仲良くなってる」 京太郎「よいしょ、と」 ハギヨシ「では、参りましょうか、清澄まで」 ブロロー 衣「ほう、清澄なのか! サキとノノカの!」 マホ「マホはまだ中学生です」 京太郎「高校に上がるのは二年後ですから、当たりませんね」 衣「そうか、残念至極だ。麻雀は打てるんだな?」 マホ「いえ、私はまだまだで……」 京太郎「当然。咲も認めてましたからね」 マホ「いやっ、そんな」 衣「この衣の目はごまかせん。マホには怪力乱神を感じる。サキや、全国の魑魅魍魎と同じく……」 マホ「ひいっ」 ハギヨシ「衣様、あまり脅かさないように」 衣「う、うむ、失敬した」 衣「おー、清澄だ!」 マホ「うわわわわ」 京太郎「ちょっ、どうしたんだ、マホ?」 マホ「夜の校舎って何だか怖いです……」カタカタ 京太郎「確かに、夜の校舎って不気味だな」 衣「ふふふ、それくらいで怯えるとは臆病千万! ころもは決してそn」 ガタンッ 衣「ひぃいー!!?」ブルブル ハギヨシ「失礼、ぶつけてしまいました」 京太郎(嘘だ、ハギヨシさんがそんなミスをするはずがない。これは……) マホ「せ、先輩……」 京太郎「大丈夫だってマホ、俺達がいるんだから」 マホ「手、つないでくださいぃ……」 京太郎「……ああ」ギュッ 京太郎(何故だろう。守ってやりたい、守ってやらなきゃという衝動が湧き上がる。これが父性……?) 京太郎「部室も、夜に来ると新鮮だな」 衣「……ノノカは?」 京太郎「……いる訳ないでしょう」 衣「そ、そうだな」 マホ「えへへ、クリスマスツリーがあると、一気にクリスマスらしさが増しますね!」 衣「うむ」 京太郎「うん、小さいけど、やっぱりいいな」 ハギヨシ「それではクリスマスツリーも運んだことだし、お帰りになりますか?」 京太郎「うーん」 京太郎「そうですね、用事は済んだんで」 ハギヨシ「では、行きましょうか」 衣「麻雀卓もあるし、折角だから4人で!」 ハギヨシ「衣様、もうおねむの時間でしょう」 衣「衣はそんな子供じゃない!」 ―車内― 衣「むにゃ……」 京太郎「じゃあまずマホの家にお願いします」 マホ「あの、先輩……」 京太郎「ん? どうした、マホ」 マホ「実は今日お父さんとお母さんの帰りが遅いんです。それで……あの……」 マホ「先輩の家にお邪魔してもいいですか?」 京太郎「俺の家にって……いや、それはマズいだろ……ねえハギヨシさん?」 ハギヨシ「大丈夫でしょう、須賀君なら」 京太郎「か、軽くないですか」 マホ「お願いします……」ウルウル ハギヨシ「可愛い女の子の助けを無下にするのですか」 京太郎「ぬ、ぐぬぅ……」 京太郎「分かった、分かりましたよ! 警察でも何でも来いってんだ!」 マホ「ありがとうございます、先輩!」ギュッ 京太郎「う、うん、分かったからとりあえず離れてくれないか」 ハギヨシ「それでは、須賀君宅へ」 衣「むにゃむにゃ」 ハギヨシ「それでは、メリークリスマス」 京太郎「メ、メリークリスマス」 ブロローン マホ「わー、大きいですね!」 京太郎「そうかな。こっちも両親いないけど、ゆっくりしてってくれ」 マホ「えっ、そうなんですか!」 京太郎「ああ、とりあえずご飯にするか」 マホ「あっ、でもご飯が……」 京太郎「何がいい? 作れる範囲で作るけど」 マホ「えっ、先輩料理出来るんですか?」 京太郎「まあな。さっきの人に一通り仕込まれたから」 マホ「はあー、コックさんなんですね」 京太郎「いや、コックさん違います」 京太郎「何がいい?」 マホ「タコスです!」 京太郎「タ、タコス?」 マホ「はい、須賀先輩が得意だと聞きましたので」 京太郎「確かに図らずも得意料理だが……よし、究極のタコスをご覧に入れてみせよう」 マホ「何か凄みを感じます!」 ―クッキングタイム― 京太郎「よし、完成!」 マホ「美味しそうな匂いです! 食べてもいいですか?」 京太郎「どうぞどうぞ、召し上がれ」 マホ「いただきます! ……これは!」モグモグ 京太郎「タコスと言えばスパイシーな味付けだが、今回は違う」 京太郎「ミートソースにチーズをトッピングして、お子様でも安心して召し上がれる味付けになっている!」 マホ「もごむぐもが」モグモグ 京太郎「うん、無理に喋らなくていいからな」 マホ「ごくん! 美味しいです、これ!」 京太郎「だろー? 流石だろー?」 京太郎「他にもあるぜ、醤油ダレと餅を使った和風タコス! クリームとフルーツを挟んだデザートタコス!」 マホ「すごいです、天才です!」 京太郎「まあ優希には邪道って言われたんだけど」 マホ「~♪」モグモグ 京太郎「そんなにうまそうに食べられると、俺も食べたくなってくるな」 マホ「! はい、先輩どうぞ!」 京太郎「えっ?」 京太郎(それ、マホの食べかけの……。これはいわゆる「はい、あーん」) マホ「……? 大丈夫ですよ、ちゃんと美味しいです」 京太郎(いや、こんな純真な子に何考えてんだ。そんな邪なこと、マホには思いもよらないに違いない。大丈夫大丈夫、平気平気) 京太郎「サンキュ、あむあむ」モグモグ マホ「どうですか、先輩?」 京太郎「うん、美味しい! やっぱ俺のタコスは最高だな」 マホ「えへへ、そうですね!」 京太郎「ありがとな」 マホ「まるで間接キスみたいになって―――えっ、あっ」アタフタ 京太郎「ああ、そうだな。ん?」 マホ「ど、どうしよう! 間接キスしちゃいました!」 京太郎「い、今更!?」 マホ「ああうう、先輩と……間接キスしちゃった……」カァア 京太郎「お、落ち着けってマホ」 京太郎(正直部活ではよくあることだし……主に2名で、和とは決してないけど) マホ「ど、どうしましょう先輩?」 京太郎「どうしましょうって言われても……」 マホ「あうあうあう」 京太郎「……」スッ 京太郎「マホ」ギュッ マホ「せ、先輩?」 京太郎「……大丈夫だから、落ち着けって」 マホ「先輩……」 京太郎「俺とマホの仲だろ? 仲良し先輩後輩、いや親友、いや家族みたいなもんだ。これくらいでどうにかなる関係じゃないって」 京太郎「どうだ、落ち着いたか?」 マホ「先輩……あったかい」 京太郎「あったかい?」 マホ「まるでお父さんお母さんみたいです」 京太郎「家族だからな、兄と慕ってくれてもいい」 マホ「……お兄ちゃん?」 京太郎「……いや、やっぱ先輩にしとこうか」 京太郎(いや別に問題はない、問題はないんだが……) マホ「?」 マホ「マホの家、いつも忙しくて、あまりお父さんお母さんがいなくて……。クリスマスも一緒にいれるか分かんなくて」 マホ「今日も、先輩が料理作ってる時に、帰れないってメールが来たんです」 京太郎「そうなのか」 マホ「だから、先輩がお兄ちゃんになってくれるって、すごい嬉しいです!」 京太郎「……よし、今日は、いやクリスマスまで俺は京太郎お兄ちゃんだ!」 マホ「本当!?」 京太郎「ああ、一緒にいような」 マホ「はい!」 京太郎(俺の内に眠る父性、いや兄性が雄叫びをあげている……!) マホ「……ふわぁ」 京太郎「眠たいのか?」 マホ「あっ、ええとその…」 京太郎「眠いんだな。そうだな、もう夜も遅いし、寝るか」 マホ「あっ、でもマホはまだ……」 京太郎「大丈夫だよ、遊びたいなら明日また遊ぼう。明日も俺は京太郎お兄ちゃんだ」 マホ「……はい!」 京太郎「うーん、それじゃ寝床どうしようか。マホ、俺のベッドと母さんのベッドどっちがいい?」 マホ「えっ? そ、それって……」 京太郎「ああいや、もちろん別々だぞ。マホが俺のベッドなら、俺は親父の部屋にでも」 マホ「……ぃです」 京太郎「ん?」 マホ「お兄ちゃんと一緒がいいです……」 京太郎(……大丈夫なのか、俺?) 京太郎(もちろん、大丈夫だ。何たって俺は―――) 京太郎「いいぞ。俺はマホのお兄ちゃんだからな」 マホ「! 嬉しい!」ギュッ 京太郎「じゃあ行こうか」 マホ「はい!」 京太郎「大丈夫か、寒くないか?」 マホ「ん、ちょっと……あっ」ギュッ 京太郎「ど、どうしたくっついて?」 マホ「お兄ちゃんの近くだとあったかいです……」 京太郎「マホも、温かいな」 マホ「そうですか?」 京太郎「……なあ、マホは清澄のクリスマスパーティーに来るのか?」 マホ「えっ、まだ考えてません……」 京太郎「是非来い、みんなといるときっと楽しいぞ。咲もみんなも、絶対歓迎してくれるから」 京太郎「クリスマスって、みんなとはしゃいで、笑って。そういうもんだろ?」 京太郎「俺が、楽しいクリスマスにするから、な?」 マホ「はい! お兄ちゃんと一緒なら、私楽しいです!」 京太郎「嬉しいこと言ってくれるな。それじゃ、明日のために早く寝ようか」ナデナデ マホ「えへへ。はい、お兄ちゃん」 京太郎「お休み、マホ」 マホ「お休みなさい、お兄ちゃん」 ―翌日― マホ「お兄ちゃん!」 咲「えっ、何その呼ばせ方は(ドン引き)」 和「これはシスコンですね……間違いない」 久「どうりでねえ!」 京太郎「やべえよ、やべえよ……」 カン
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http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1420351389/ 春の日差しは暖かく、風は涼しい。 外に出て運動するには絶好の日で、用事が無くても何となく散歩に出かけてみたくなる、そんな日。 京太郎「けど、なぁ」 だからと言って、屋上にシートを敷いて読書に勤しむのは彼女くらいだろう。 呆れたような溜息で彼女はやっと俺に気付いたらしく、読んでいた本を閉じてそっと俺に手を伸ばしてきた。 俺は白く細いその手をとって、ゆっくりと彼女を起き上がらせた。 京太郎「それじゃ、行こうぜ……照」 レディースランチ。 手頃な量と味を両立させた素晴らしいメニュー。 残念ながら、その名の通り女子専用メニューなので今日も照に代わりに頼んで貰ったわけだが。 照「……」じー ガン見である。 手元の本に視線を落とさず、俺をガン見している。 京太郎「……それ、読まないの?」 照「もう読み終わったから」 京太郎「……あ、そう」 照「……」じー ガン見である。 「おっす。また嫁さんつれてメシ?」 照「どうも、旦那が世話になってます」 嫁さん違います。 尭深「おつかれさまです」 京太郎「ありがとう」 部室に顔を出すと、後輩がお茶を淹れてくれた。 熱過ぎず温過ぎず、甘過ぎず苦過ぎずな丁度いい塩梅。 京太郎「うん、うまい……渋谷、結婚してくれ」 尭深「え、あ……」 照れている。可愛い。 ちょっとしたジョークにこんな反応をしてくれるのは渋谷くらいのもの。 色んな意味で嫁に欲しい逸材である。 菫「あまり後輩を困らせるなよ」 そんな小言を引っ提げながらやってきたのは我らが部長。 顔良し、スタイル良し、性格良し――なれどチーム虎姫で婚期を逃しそうな女子No.1と 密かに陰で囁かれている苦労人こと、弘世菫さんである。 菫「ああ、あと少しプリント運ぶのを手伝ってほしいんだが……」 京太郎「おっす、了解」 なのでまぁ、せめて卒業するまでは色々と手伝ってやろうと思う。 俺は菫の後を追って、部室を後にした。 尭深「……」ズズッ 京太郎「ふー……」 菫「ありがとう。大分楽になった」 京太郎「いいってこんぐらい」 菫「そうか……ところで、もし良かったら今度――」 誠子「あ、おつかれさまです!」 京太郎「お、おつかれー」 誠子「あ、そだ。先輩、今度の日曜空いてます? ボーリングの券貰ったんですけど」 京太郎「いいね、空けとくわ」 菫「……」 菫「……」クシャッ 放課後。 部活が終わってさあ帰ろう、という時。 淡「せーんーぱーいー」 不意に背中に感じる重み。 すわ心霊現象か、視界の端に髪の毛らしきものが映る。 淡「あーそーぼーおーよー」 幻聴まで聞こえる。 恐らく疲れているのだろう、早いとこ帰って寝よう。 淡「せんぱいー? どこいくのー? あ、もしかして私お持ち帰りされちゃう?」 訂正。 ちょっとだけ寄り道して帰ろう。 よく喋るお荷物を女子寮に送り届け、さて帰ろうとした矢先。 照「それじゃ、帰ろうか」 何故か、照が俺の後を着いて来る。 照「……どうしたの?」 京太郎「いや、お前がどうしたの」 照「今日明日明後日といないから、京ちゃんをよろしくってお義母さんが」 京太郎「……まじか」 照「うん」 照「夕飯はなにがいい?」 京太郎「確か昨日の麻婆がまだ残ってる」 照「じゃあ、明日の朝ごはん」 京太郎「朝もトーストとかでさっさとやっちゃうからなぁ」 照「……じゃあ、昼は」 京太郎「学食の日替わりランチを食べたい。明日は確かハンバーグだし」 照「むぅ……京ちゃんはワガママ」 京太郎「そうか?」 照「うん」 京太郎「そうか」 京太郎「……」 照「……」 会話が止まる。 何となく、気まずい。 京太郎「そういやさ」 照「?」 京太郎「妹さんも……もう、高1だっけ?」 照「……」 照「……うん」 京太郎「そっか。元気だといいな」 照「会えるよ」 京太郎「……?」 照「多分、会える。インターハイで。そんな気がする」 京太郎「そうか……」 照「……」 京太郎「照がそう言うなら、会えるんだろうな」 照は、小さく頷いた。 照「……ん」 照が控え目に手を握ってきたので、少し強めに握り返す。 小さい手が、ちょっとだけ震えていた。 京太郎「……妹さんへの挨拶、考えといた方がいいかなぁ」 そんなことを考えながら、俺は照と並んで帰路に着いた。 カンッ
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1343646963/ 京太郎「はい。オレ、みんなのために執事になりたいんです。ハギヨシさんみたいな」 ハギヨシ「執事になるのは難しいですよ。須賀様」 京太郎「大丈夫です。どんな修行にも耐えてみせます」 ハギヨシ「そうですか……わかりました。まずは濃厚至極なホモプレイからはじめましょう」 京太郎「ホモプレイですか?」 ハギヨシ「はい。執事になるためには老若男女問わず、すべての方におもてなしする必要があります」 ハギヨシ「そのためには、ホモプレイも必要なのです」 京太郎「わ、分かりました。男に二言はありません。始めましょう」 ハギヨシ「それでは攻めと受けを決めましょう」 京太郎「ハギヨシさんが攻めで」 ハギヨシ「かしこまりました。それでは須賀様こちらにお尻を向けてください」 京太郎「はい」 ハギヨシ「それでは、拝見させていただきます」ズル 京太郎「ハギヨシさん?」 ハギヨシ「……これは素敵な蕾をお持ちでいらっしゃいますね。つい、見とれてしまいました」 京太郎「ありがとうございます」 ハギヨシ「さて、味のほうはどうでしょうか」ペロッ 京太郎「うっ、ハギヨシさん。何をしているんですか?」 ハギヨシ「ほぐしているのです。須賀様は初めてでいらっしゃる。なので、最初に良くほぐす必要があるのです」 京太郎「そうですか」 ハギヨシ「はい。そして味見も兼ねています」ペロッ 京太郎「味なんてあるんですか」 ハギヨシ「もちろんです。須賀様の蕾は大変すばらしい」 ハギヨシ「こんなにも芳醇な香りと濃厚なコクを持つ蕾には出会ったことがありません」キッパリ 京太郎「それより、始めませんか」 ハギヨシ「これは失礼しました。つい、我を忘れていました。まずは、指でならしましょうか?」ニコリ 京太郎「は、はい」 ハギヨシ「そんなに緊張なさると入るものもはいりませんよ」ズプリ 京太郎「うっ!」 ハギヨシ「大丈夫ですか、須賀様?一度、抜きますね」ズポッ 京太郎「ひっ!」 ハギヨシ「やはり、この修行は須賀様には早かったようですね」 京太郎「だ、大丈夫です。ちょっと驚いただけで、続けてください」 ハギヨシ「分かりました。須賀様がそうおっしゃられるのでしたら、私も鬼になりましょう」 京太郎「お願いします」 ハギヨシ「いきなりになりますが、私の愚息を須賀様の中に入れます」 ハギヨシ「細心の注意を払い特性のローションを使いますが、よろしいですね」 京太郎「さぁ、来い」 ハギヨシ「いきます」ズプリ 京太郎「うあっ!(これが愚息だって……すごく大きい)」フルフル ハギヨシ「須賀様、力を抜いてください」 京太郎「む、無理です」 ハギヨシ「それでは、深呼吸を」 京太郎「スーハースーハー」 ハギヨシ「そうです。それではしばらくこうして慣らしましょう」 京太郎「大丈夫です。咲たちは今も一生懸命、特訓しているんです。それなのにオレだけ甘えてなんていられませんよ」 ハギヨシ「須賀様……。どうやら私は鬼になりきれていなかったようですね」 ハギヨシ「須賀様の覚悟、たしかに受け取りました。須賀様の覚悟に執事として精一杯答えたいと思います」フンッフン 京太郎「うっ、うっ」 ハギヨシ「須賀様、分かりますか?私の愚息が須賀様の中で動いているのを」 京太郎「はっ、はい。分かりますっ。ハギヨシさんのオレの中を進んだりしているのが」 ハギヨシ「それでは、次の段階に移ります。そのまま締め付けてください」 京太郎「締め付けるってこうですか?」キュッ ハギヨシ「そうです。須賀様はすばらしい才能をお持ちでいらっしゃる。私もつい出してしまいそうになりました」 京太郎「そうですか。ありがとうございます」キュー ハギヨシ「す、すばらしい締め付けです。ですが、ただ締め付ければ言い訳ではありません」 ハギヨシ「緩急をつけ、さらには包み込むことも大切です」 京太郎「緩急。そして、包み込む……。こうですか」 ハギヨシ「うっ!」ドピュッ ビュルルル 京太郎「(ハ、ハギヨシさんのがオレの中にっ!)オ、オレも」ドピュッ ビュルルル ハギヨシ「こ、これは失礼いたしました。須賀様のアヌスがすばらしくて、不覚にも須賀様の中に出してしまいました」 ハギヨシ「執事として、奉仕するものとして、先に出してしまうなんて……一生の不覚です」 京太郎「気にしないでください。ハギヨシさんがそんなに気持ちよくなれたなんて、オレ、うれしいです」 ハギヨシ「須賀様……。いえ、これからは最大限の敬意をこめて京太郎様と呼ばせていただいてもよろしいでしょうか?」 京太郎「そんなにかしこまらなくてもいいですよ。それよりもハギヨシさんのことを師匠って呼んでもいいですか」 ハギヨシ「京太郎様、こんな私を師匠と呼んでくださるなんて……。京太郎様は透華様に並ぶほどのお方です」 京太郎「そんな、オレなんてたいした人間じゃないですよ。それより、次の修行はなんですか師匠」 ハギヨシ「次は”口”です」 京太郎「口って具体的にどんな修行を?」 ハギヨシ「それは、野獣と化して昏睡レイプです」 京太郎「野獣と化して昏睡レイプ?」 ハギヨシ「はい、執事たるもの口で相手を昏睡させ、野獣と化しレイプできなければいけません」 京太郎「そうなんですか?」 ハギヨシ「はい、優しい京太郎様には酷かもしれませんが、これも修行です」 京太郎「師匠がそういうんでしたら、オレやります」 ハギヨシ「まずは白糸台先鋒の宮永照さんからやりましょう」 京太郎「宮永照って、たしか咲のお姉さんで白糸台のエースですよね」 ハギヨシ「よく、ご存知で」 京太郎「む、無理ですよ。そんな有名人にいきなりなんて」 ハギヨシ「いきなりでなければよろしいんですね?」 京太郎「えっ?」 ハギヨシ「いきなりでなく、段階を踏めばよろしいんですね?」 京太郎「どういうことです、師匠?」 ハギヨシ「私を練習に使ってください」 京太郎「師匠で練習?」 ハギヨシ「はい、京太郎様に自信がないのでしたら私で練習をしてから本番に臨むというのはいかがでしょうか?」 京太郎「師匠に対して野獣になんてなれませんよ!それにレイプだなんてそんな真似……」 ハギヨシ「いいえ、これは和姦です。私も望んでいるのですから、これは和姦です。京太郎様が心を痛める必要はないのです」 京太郎「(どうする)」 京太郎「分かりました、師匠お願いします」 ハギヨシ「それでは、やり方を説明します。まず、キスをします」 ハギヨシ「そして、相手ののどの奥に舌を入れると同時に相手の肺から酸素すべて奪うような感じで息を吸います」 ハギヨシ「これで相手を昏睡状態にします」 京太郎「そんなことが出来るんですか?」 ハギヨシ「京太郎様なら出来ます、それだけの才能を持っていらっしゃるはずです」 京太郎「それで野獣と化すにはどうすれば?」 ハギヨシ「それは、京太郎様の思うままに行動すれば、よろしいのです。それでは、練習しましょうか」 京太郎「はい。それじゃあ、師匠お願いします」 ハギヨシ「かしこまりました」 京太郎「師匠!」ガバッ ブチュ ジュルルルル ハギヨシ「ん!(見事です!京太郎様)」フッ 京太郎「師匠、師匠師匠」フンッフン ハギヨシ「……」ユラユラ 京太郎「アッーーーーーーーーー」ビュルルル ハギヨシ「……」ビクンビクン 京太郎「はぁ、はぁ、こうですか師匠?」 ハギヨシ「見事です。京太郎様」 京太郎「ありがとうございます、師匠。師匠は大丈夫ですか?」 ハギヨシ「お気遣いありがとうございます。私は問題ありません。さて、このまま、照様のもとへ向かわれますか?」 京太郎「そうですね……」 京太郎「師匠はどう思いますか?」 ハギヨシ「そうですね……私を初めて昏睡したとすれば、もうこの修行は終わりにしても良いでしょう」 ハギヨシ「それでは次の修行……デートにおける女性のエスコートの術を教授します」 京太郎「デート!」 ハギヨシ「はい、執事には女性をエスコートする能力も必要ですから」 京太郎「それで、誰とデートすればいいんですか?」 ハギヨシ「私です。京太郎様」 京太郎「師匠とですか?」 ハギヨシ「はい、私とデートをしていただいて、採点いたします。よろしければ、お好きな方に変身しましょうか?」 京太郎「えっ!そんなこと出来るんですか?」 ハギヨシ「もちろんです。執事ですから。いかがいたしましょうか?」 京太郎「それじゃあ……鶴賀の東横桃子さんで!」 モモヨシ「どうすっか~京太郎君」 京太郎「本当に変わった!!」 ハギヨシ「いかがでしょうか」 京太郎「戻った!!でもすごいですね師匠。そんなことが出来るなんて」 ハギヨシ「そんなことございませんよ。それより京太郎様。どこに向かわれますか」 京太郎「それじゃあ・・・」 京太郎(……おかしいだろ、この状況。なんで、見た目美少女の師匠が男湯のサウナで足に鍵をつけているんだぞ) 京太郎(しかも裸で。たしか、ここは公共の場だよな?他の人は気づいてないのか?) モモヨシ「どうかしたんすか?京太郎君、なんで黙ってるんすか?」 京太郎「師匠、なんで誰も気づいてないんですか?」ヒソヒソ モモヨシ「それはですね~。私が変身している東横様はとても影が薄いそうで、ステルスモモと呼ばれてるらしいっす」 モモヨシ「ですから、私が変身することで東横様の能力を強化再現してるんっす」 京太郎「そうですか。しゃべり方とかもまねてるんですね」ヒソヒソ モモヨシ「もちろんっすよ。変身する以上は完璧に変身しないと気がすまないんっすよ」 モモヨシ「それで、京太郎君はこの後、どうすんっすか?」 京太郎「オスプレイですかね」 モモヨシ「オスプレイっすか。いいっすよ。どこでやります?」 京太郎「そうだな……」 京太郎「ここでやりましょう。師匠」 ハギヨシ「ここは、竹井様のご自宅のお隣ではないですか」 京太郎「そうです。ここは部長が住む部屋の隣の部屋。がんばってる成果を部長に少しでも知らせたいんです」 京太郎「だから、ここを選びました」 ハギヨシ「そうですか、京太郎様。私、感動しました。なので、私も全力を持ってオスプレイしましょう」アッー 京太郎「師匠!」 ????「京太郎様、私のことはただ、ホモヨシとお呼びください」 京太郎「ホモヨシ?」 ホモヨシ「はい、私はただ京太郎様を愛する、京太郎様のための存在、ホモヨシでございます」 京太郎「でも、オレはおっぱいが好きなただの男子高校生ですよ。それでもいいんですか師匠?」 ホモヨシ「かまいません。京太郎様がどなたを愛されようとも、私の想いは変わりません」 ホモヨシ「ですから、師匠などと呼ばずにホモヨシとお呼びください」 京太郎「でも、それじゃあ、師匠……いや、ホモヨシさんの気持ちはどうなるんですか?」 京太郎「ホモヨシさんはそれでいいんですか?報われないんですよ!それに、あなたが仕えてる龍門渕家は?」 ホモヨシ「京太郎様!たしかに、龍門渕家にはご恩があります」 ホモヨシ「それでも、今このときだけはあなたとオスプレイできればそれでいいのです。 ホモヨシ「ですから、京太郎様、私とオスプレイしてくれませんか?」 京太郎「ホモヨシさん……」 京太郎「ホモヨシさんはそんなにもオレのことを想ってくれているのに、オレは……オレは……なんて最低な奴なんだ……」 京太郎「分かりました、ホモヨシさん。あなたとオスプレイします」 ホモヨシ「ありがとうございます……。京太郎様それではお願いします」 京太郎「京太郎で……いいぞ。ホモヨシ」 ホモヨシ「分かりました、京太郎」 ――――――隣の部屋―――――― アッー 久「あら、この声はたしか……」 おしまい
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京太郎「それはどういう意味で・・・」 菫「ここからは私が説明しよう。照では言葉が不足し過ぎている」 照「済まない。何せ、男性と話すのに慣れていないもので」 菫「言ってろ。さて、須賀君。続きを話すが・・・。いいね?」 京太郎「アッハイ」 菫「知っての通り、白糸台の麻雀部はインハイで2連覇している。日本最強といってもいい」 京太郎「はい、知ってます」 菫「それだけの麻雀部ともなると、当然部員数も増えてくる」 京太郎「そうですね」 菫「それだけ部員が増えて来ると、当然フラストレーションもたまってくる」 菫「何せ全員がレギュラーになれるわけでもない。腐ってくる部員や、欲求不満になる部員も出てくるだろう」 京太郎「それは困りますね」 菫「だろう?困るんだよ。そういう部員が出て私たちのインハイ3連覇の夢が断たれるのは。ここまではわかるね?」 京太郎「はい」 菫「だから君にはそういった部員の相手をしてもらいたいんだ」 京太郎「何で俺なんかが・・・」 菫「照の妹の咲さんの紹介だ。何でも、君は清澄ではハーレムエースと言われているそうじゃないか」 京太郎「それは、周りが勝手に言ってるだけで、俺にはそんな経験は・・・」 照「だが、女しかいない清澄の麻雀部で唯一の男子部員だったのだろう?」 菫「あそこにはインターミドルで活躍した上埜久・・・。いや、今は竹井久か。彼女をはじめ美少女揃いだ」 淡「何もなかったのかな~?」ニヤニヤ 渋谷「そういう環境で何もなかったっていうのはおかしいと思います」 京太郎「じ、実は・・・」 亦野「な、何かあったんですね!」ゴクリ 京太郎「一年に優希って子がいるんですが・・・」 淡「うんうん!」 京太郎「そ、その子に・・・」 渋谷「やっぱりね。何もない方がおかしいんです」 京太郎「パ、パンツを見せられちゃいました・・・///」 菫「な、何だと!清澄の風紀はどうなっている!?」 照「破廉恥にも程がある!」 京太郎「む、向こうが勝手に見せてきただけで」 淡「それにしても、一年なのにパンツ穿いてるだなんてませてるね~」 渋谷「エロス・・・///」 亦野「宮永先輩!清澄に確認をとったらどうでしょうか!?」 照「あ、ああ、そうだな。咲・・・まさか咲がパンツなんて穿いてるとは思えないが・・・」 菫「安心しろ、照。咲ちゃんは素直ないい子だ。パンツを穿くだなんてふしだらな娘ではないよ」 淡「うじゅじゅ~」 渋谷「それで・・・」 京太郎「はい、何でしょう?」 渋谷「パンツ・・・見せられてどうなったの・・・///」 亦野「まさかそのまま襲ったんじゃ・・・。うわっ、清澄高校乱れすぎですよ」 京太郎「いやいやいや。何もありませんでしたよ」 淡「えっ?じゃあ、パンツ見ただけなの?」 京太郎「ええ、そうなりますね」 淡「はぁ!?何それ!じゃあ、タダで女の子のパンツを見せてもらっただけだっていうの!?」 京太郎「ええ」 亦野「興奮・・・したんですか・・・?い、いや、別に興味があるわけじゃないんだけど・・・///」 京太郎「そうですね・・・。普段はまったく意識していない相手でしたが、パンツですよ?」 菫「ああ」 京太郎「まさかパンツを穿いていて、パンチラどころかモロに見せてきたわけです」 渋谷「大胆・・・///」 京太郎「俺は興味ないそぶりで必死にごまかしてましたけど、実際のとこ・・・」 淡「ワクワク」 京太郎「下半身は素直でした。そりゃもうギンギンです。ええ、もちろん勃起してましたとも」 淡「きゃー!きゃー!」 菫「う、うむ・・・まあそれが健全な男子の反応だろうな・・・///」 渋谷「・・・・・・・・・///」ポッ 亦野「あわわ・・・///」 照「はぁ・・・」 菫「電話終わったか。で、どうだったんだ?」 照「その優希って子、いつもパンツを穿いているというわけではないらしい」 淡「えーっ!?どゆことどゆことー?」 照「どうも、須賀君に見せたその時だけ穿いていたみたいだ」 亦野「えっ・・・」 渋谷「それってもしかして・・・」 菫「いや、だが・・・ありえない話ではないな・・・」 京太郎「何ですか?」 照「おそらくだがそれは・・・」 淡「勝負パンツだね。んん~、刺激的~♪」 京太郎「勝負・・・パンツだと・・・?」 照「女性が男性を欲情させるためにはくパンツ・・・だな・・・///」 京太郎「で、でも、その場には俺だけじゃなく他の人もいたんですよ?何故そんなのを見せたんですか?」 亦野「彼女には意図があったんですよ」 京太郎「意図・・・?」 亦野「そう、いわゆるセックスアピールってやつだね」 京太郎「セックスアピール・・・ゴクリ」 渋谷「つまり彼女は待っているということだね。自分のパンツを見たことによって発情した須賀君が自分を襲ってくれるのを」 京太郎「・・・・・・アイツ」 淡「・・・」 照「・・・」 菫「須賀君」ポン 京太郎「菫さん・・・」 菫「行ってこい」 京太郎「でも・・・!」 菫「君にはまっている人がいる・・・違うか?」 京太郎「・・・・・・・はい」 菫「ならば臆するな!行って!彼女を押し倒し!もう許してくれと彼女が懇願するまで突いて突いて突きまくって!」 菫「彼女の膣内を自分のモノで犯しつくしてこい!!」 京太郎「・・・・・・・・・・・・・・・はい!」 京太郎「菫さんありがとうございました。俺ちょっといってアイツのこと俺の肉棒なしじゃいられない身体にしてきます!」 菫「うむ!」 菫「だがその前に私たち5人の相手が先だぞ?」 京太郎「」 京太郎は精根尽きはてるまで虎姫と交わった カン
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前話 咲「……遂にここまで来たんだ」 咲(優希ちゃんはお姉ちゃんのギュルギュルとギギギに負かされて、染谷先輩は相性最悪の面子に点数をキープ) 咲(部長は何故か右腕を骨折してたけど、その逆境を悪待ちのバネにして何とか点をもぎ取って、和ちゃんはあの場で唯一の巨乳だからという理由で集中砲火を受けたけど、それでも私まで繋げてくれた……) 咲(正直清澄はこれまでに無い程にピンチだ……。でも、負けるわけにはいかない) 咲(私は白糸台の大星さんを叩き潰して、清澄を全国優勝させて、お姉ちゃんと話さなくちゃいけないんだから!) 咲「だから、絶対に勝つよ!」 ガチャ 淡「がるるるるる……」 穏乃「むぅー……」 咲「…………」 咲(先入りしてた二人は威嚇するように睨み合ってました) 咲「あ、あのー……」 淡「サキーはZ派だよね!?」 穏乃「いいや超派だよ!!」 咲「!? 何の話!?」 淡穏「「ブ○リーはどっちの方が最高かだよ!!」」 咲「え、ええ……? あ、あの、ドラゴ○ボールの話、ですよね……?」 淡「だから! Zでのブロ○ーの方が超よりもよりサイヤ人らしく、より悪魔らしくていいんだってば! 出てきた台詞の一つ一つが名言だし、あの悟○が「おめぇちょっとは手加減しろよ」って言った時の絶望感は、メタルク○ラ軍団登場時にも負けないもんだったでしょ!? 超のブ○リーとかあれ、もうほぼ叫んで暴れ回ってるだけでしょーが!」 穏乃「それは違うよ! 確かに台詞のインパクトっていう点だと最初のブ○リーには負けるけどさ! Z時代の映画でブロ○ーは三作登場してるけど、一作目みたいに喋るような事はほとんどなくて三作目に至ってはブ○リーの台詞らしい台詞は一切無かったんだよ!? つまり視聴者がブロ○ーに求めているものは、その圧倒的な強さとダイナミックかつ破壊的な戦いなんだよ!」 淡「それは超じゃなくてもいいでしょ!? 大体超のブロ○ーは生い立ちほとんど変わらないまま優しくなっちゃって、悪魔感無くなっちゃったじゃん!!」 穏乃「それも良さの一つだよ! ベ○ータ然りバー○ック然り、サイヤ人は優しさを獲得した方が強くなれるんだから! 超でのブロ○ー見た!? 超サイヤ人ブルー二人相手に圧倒してたんだよ!?」 ドラゴン○ールファンあるあるその1 ドラゴ○ボール超は賛否両論。 淡「ほんっと信じらんない高鴨穏乃! ベジ○ト派と聞いて予感はしてたけど、ブロ○ーの事でまで意見が合わないなんて!」 穏乃「こっちの台詞だよ! しかも全○様の事まで否定派だし! あんなに可愛くて強い全○様の何が不満なのさ!?」 咲「あ、あのー……喧嘩はそこまでに……」 淡「で!? サキーはどっちなの!? Z!? 超!?」 咲「え? あ、その……タイトルだけは知ってるんですけど、Zとか超とか言われても分からなくて……」 穏乃「え!? 読んでないの!? 無印もZも!?」 咲「私、ああいうバトルマンガの痛そうな描写とか、見てるだけで痛いから苦手で……」 淡「なにそれ! ドラ○ンボール読まないとかマジで人生損してるよ! 99割くらい!」 咲「それ100%超えてます」 ドラゴン○ールファンあるあるその2 ドラゴン○ールは義務教育 咲「あ、でも同じ作品読んでても、好きな所とか嫌いな所とか分かれちゃう気持ちは分かりますよ。私も本は……」 淡穏「「ブ○リーに嫌いな所なんてあるわけないでしょ!!」」 咲「えぇ……」 ドラゴン○ールファンあるあるその3 なんだかんだでブ○リーが大好き ネリー「……試合始まる前から白熱してるね」 咲「! 準決勝の……」 淡「あ! 外人ロリ!」 ネリー「そこの金ピカで頭弱そうなのが、白糸台の大星淡か。あはは。これならネリー楽勝だね」 淡「はぁ~~!? 頭弱そうとか、この淡ちゃんのどこを見て言ってるんですか~~!? 頭にも身体にも栄養が行ってなさそうなナリしてさーあ!?」 ネリー「なんかもう全身からアホの子オーラ立ち昇ってるんだよ。てゆーか身体って。その牛乳、この前まで無かったやつじゃん」 穏乃「言われてみれば、大星さんって準決勝ではぺたーんってしてたのに、急に膨らみましたよね」 ネリー「えー? まさかパ」 淡「ちっがーう!! 前まではぺた胸メーカー使ってただけ! このきょぬーは自前のなの!!」 咲「え? ぺた胸メーカー?」 ネリー「なにそれ? 言い訳にしては酷くない?」 淡「言い訳かどうかはこれを触ってみれば分かるよ。ほれほれ、どうぞどうぞー?」 ネリー「……止めとくよ。勢い余って千切っちゃいそうだから」 穏乃「えーと、そのぺた胸? メーカー? っていうの、何で付けてたんですか?」 淡「女の子はね、胸をアピりたい時とアピりたくない時とに分かれてるの。麻雀だと手を伸ばして手元の牌を倒しちゃう事もあるし、服によっては全体的に太って見えるからね。スリムに見せたい時は大体付けてるわけ」 咲「え、じゃあなんで今日はそれを付けずに……?」 淡「この試合がひんぬーばっか集まるから、優越感に浸りたくて!!」 咲穏ネ(*1)) ネリー「まぁいいや。それじゃ、さっさと始めよっか? 準決勝で阿知賀に負けて二位進出の王者サマ?」 淡「うっさいなーさっきから! この試合ではボッコボコのボコにして100回勝ってやるんだから!! なに!? ひんぬーの妬み!?」 穏乃「大星さん。そのマウント取りは敵を増やすだけだから止めた方がいいよ」 咲(……盤外の戦いで機先を制された感じだけど、やる事は変わらない) 咲(お姉ちゃんと向き合う為にも、みんなの為にも、私は優勝するんだから---) ネリー「ああ、そうそう」 咲「?」 ネリー「この試合でネリーが勝ったら、キョウタロとの体の相性、確かめさせてもらうから」 咲淡穏「「「……………………は?」」」 穏乃「え? 体? 相性? えっと……確かめる? どういうこと?」 ネリー「まぁー平たく言えば、エッチするって事」 穏乃「エッ……!?」カァァ/// 咲「はっ!? ちょ!? えぇ!? な、何言ってるんですか!? きょ、京ちゃんとそんな! え、えっ…………なんて!!」 淡「うーわ、引くわー。外国の女ってほんとにそーゆーのゆるゆるなんだー。えーんがちょー」 ネリー「ネリーからすれば日本人の方が理解出来ないよ。男女交際するにあたって体の相性って重要事項なのに、それを確かめもせずに付き合ってしばらくしてからするのが一般的なんでしょ? そんなだから痴情の縺れや浮気が蔓延するんだよ」 穏乃「つ、付き合う気なんですか!? 京太郎君と!?」 ネリー「そだよ? むしろ、あんなに美味しい魚逃す手無くない? 流石のネリーももーちょっと手順踏みたいとこだけど、うちでもハオとかミョンファとか、なんならサトハも危なそうだし、他のとこでも色んなのいるっぽいし。モタついて掻っ攫われたら元も子もないからね」 穏乃「ええっ!? じゃあ、動画で言ってた賭けっていうのもそれが目的で!?」 ネリー「まさかあれで乗ってくるとは思わなかったけどねー」 淡「モタつかないのはいいけどさー。ほぼ騙した形で賭けやって、関係持っても続かなくない?」 ネリー「む」 淡「それにキョータローがきょぬー星人なのはしゅーちの事実じゃん。つるぺったんなだけじゃなくてロリロリのちんちくりんなアンタでどうこう出来ると思うー?」 ネリー「分かんないよー? うちの学校でも全然タイプと思ってなかったけど、付き合ってみたら相性良かったって語ってる女の子はいるしね。大体ネリーとキョウタロの賭けに口出す権利は、部外者のあんたには無いと思うけど?」 淡「へー、そういうこと言っちゃうんだ? いいよ。淡ちゃんもうちの優勝に賭けてあげる」 穏乃「大星さん!?」 ネリー「へぇ。賭けの内容は私達と同じでいい?」 淡「いいよいいよ。もし負けたら靴でも足の裏でも舐めてあげる。そんな未来は訪れないけどね」 ネリー「吐いた唾は飲み込まないでよ。いや? それもいいかもね? 元王者サマが地べたに這い蹲って吐いた唾を啜る絵面は、記者大喜びのスクープになりそう」 淡「あはは」 ネリー「ふふふ」 咲(な、なんか空気が……今までに感じてきたのとは異質の重苦しい圧を感じるよぅ……) 穏乃「ちょ、ちょーーーっと待ったぁ!!」 ネリー「は? なに?」 穏乃「ネリーさん、だっけ? そういうの! 良くないと思う! ネリーさんの国では当たり前の事かもしれないけど、ここは日本で、京太郎君は日本人なんだから! 郷に入れば郷に従った方がいいんじゃないかな!?」 ネリー「うるさいなー。もう一回言うけど、部外者が口出す権利無いんじゃない? それともこっちの金ピカのサポートでもして、ネリーを負かしてみる? どっちにせよ全員倒すつもりだから変わんないけどね」 穏乃「いや、それは……」 淡「ちなみに私が勝ったら、そこのガキンチョにはカメラの前で土下座させて、キョータローには私がプロになった時の専属マネージャーになってもらうから」 咲「え!? 何故そこで京ちゃん!?」 淡「当たり前でしょ? 二人の賭けに私も乗っかるんだから。テルーもキョータローのお菓子気に入ってたし、良い感じに人生設計できそー♪」 ネリー「って事らしいけど、どうするの?」 穏乃「ぅーーーっ。わ、分かりました! あたしも賭けます! 阿知賀の優勝に!」 ネリー「ふーん。それで? 阿知賀のはキョウタロに何させる予定なわけ?」 穏乃「い、いや、そういうのは無いですって! あくまで二人の賭けで京太郎君がどうこうされるのから守る為で……。あ、でも、ドラゴン○ールのゲームはやったこと無いから、一緒にプレイする為にお家にお邪魔させてもらうのはいいかも……」 淡「うわー……。高鴨穏乃はそーやって距離詰めるタイプなわけだ……」 ネリー「天然は怖い怖い……」 咲「い、いい加減にしてください! さっきから黙って聞いてれば、たかだか賭け一つで京ちゃんの人生を左右するような事させようなんて! 京ちゃんはうちの、清澄の部員なんです! 他所の人が勝手な事しないでください!!」 穏乃「……えっと、宮永さん。私が言えたことじゃないかもだけど。 同じ部活だからと束縛するような事は止めといた方が……」 ネリー「同じ中学とか半端にも程がある幼馴染みの負けヒロインは黙っててよ」 淡「あらゆる要素がテルーの完全下位互換のポンコツ魔王の癖に」 咲「あ、もう本気で怒りました。 全員ゴッ倒す!!」 その日、日本海のど真ん中に向けて流星群が降り、それを受け止めるかのように海中から山が隆起して、かと思いきや衝突直前に流星群が鋭利に曲がって上昇を始め、成層圏付近で爆発四散して花吹雪が咲き乱れ、風に乗ってIH会場に降り注いだという。 カン! 前話
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京太郎「さて、買い出しは大体こんなもんかな」 京太郎「にしても、色々見てたらすっかり遅くなっちまったぜ」 京太郎「部長、怒ってるだろうな……」 京太郎「まあ、丁度100円セールしてたドーナツ買っといたから、これで何とかなればいいんだがな……」 霞「……」キョロキョロ 京太郎「んっ? あのおもちは……確か二回戦で咲と打った……そうだ、石戸さんだ」ポン 京太郎「うーん、間近で見ると、やっぱ迫力あるよな……」 京太郎「それにしてもどうしたんだ? まさか迷子になってたりして」 京太郎「なんてな。咲じゃあるめえし、そんな訳ない――」 霞「ふえぇぇぇええええええん、迷子になっちゃったよおおお!!!」ビエーン 京太郎「嘘!?」 霞「初美お姉ちゃん!! 巴お姉ちゃん!! 助けてええ!!!」ビエーン 京太郎「な、な、なんだってんだ!? 石戸さんってあんな感じの人だっけ!?」 京太郎「対局見た時は、もっと落ち着いた、大人の女性って感じだったが……」 霞「うえぇぇぇええええん!!!」グスグス 京太郎「んな事言ってる場合じゃねえ!! 大丈夫ですか、石戸さん!!」ダッ 霞「ふぇっ、お、お兄ちゃん誰?」 京太郎(お、お兄ちゃん!?) 京太郎「あの、道に迷ったんでしたら、俺が協力しますよ?」 霞「ひっく、で、でも、巴お姉ちゃんが、知らない人には、ついて行っちゃダメって」グスリ 京太郎「あっ、俺清澄の学生です!! ほら、石戸さんが二回戦で戦った宮永咲と同じ学校の!!」 霞「宮永咲……? あっ、もしかして嶺上のお姉ちゃんのこと!?」 京太郎「そうです、その宮永咲と同じ清澄の学生です! ほら、学生証」ピラッ 霞「本当だ、清澄って書いてある……」 京太郎「だからそんなに警戒しないで下さい」 霞「うん、分かった」 京太郎「ほっ。それで石戸さん、どこに向かってたんですか?」 霞「えっとね……ドーナツ屋さんに向かってたの」 京太郎「ドーナツ屋ですか?」 霞「うん。小蒔ちゃんが甘いの食べたいって言ってたから、買って来ようと思って……」 京太郎「それで道に迷ってしまったんですか」 霞「ねぇ、なんでお兄ちゃんそんな丁寧なしゃべり方してるの?」 京太郎「えっ、だって俺の方が年下ですし……」 霞「えー、お兄ちゃんの方が年上だよ!!」 京太郎(あれ? 確か石戸さんって高校三年生だったような……) 京太郎(それにしても、石戸さんって、大人の女性っていうか、子供って感じだな) 霞「ねぇねぇお兄ちゃん」グイグイ 京太郎「んっ? なんですか?」 霞「お名前教えて」 京太郎「あっ、そういえば自己紹介してませんでしたね」 京太郎「俺、須賀京太郎って言います。清澄高校の一年です」 霞「京太郎お兄ちゃんか……よろしくお願いします!!」ペコリ 京太郎「は、はい……」 京太郎(おかしい……おかしすぎるぞ……どう考えてもこの感じは天江さんと同じだ……) 霞「私は、石戸霞です!!」 霞「いわとかすみ、10歳です!」 京太郎「えっ!?」 霞「えへへ……ちゃんと自己紹介できた」 京太郎「」 京太郎(えっ、嘘だろ?) 京太郎(いやいやいや、冗談きついって) 京太郎(ドッキリなのか!? ドッキリだと言ってくれよ!!) 京太郎(こんな見事なおもちを持った女性が、10歳なんてことある訳がないぜ!!) 霞「京太郎お兄ちゃん? どうしたの?」 京太郎(いや、ちょっと待て) 京太郎(冷静に考えたら、まず10歳はないだろう) 京太郎(これが石戸さんの本来の姿、これもないだろうな) 京太郎(だとしたら考えられるのは……幼児退行!!) 京太郎(それならばすべて辻褄が合う……ふっ、見事な推理だな俺) 京太郎(だがちょっと待て……それなら早く、石戸さんと同じ学校の人に知らせないと!!) 京太郎「石戸さん!」 霞「霞ちゃん」 京太郎「はい?」 霞「霞ちゃんって呼んでくれなきゃ、やっ」プイ 京太郎「え、えっと……」 京太郎(年上の女性の名前をちゃん付けで呼ぶのは恥ずかしいな……) 京太郎「か、霞さん」 霞「『さん』じゃない!! 『ちゃん』!!」 京太郎「は、はい! か、霞ちゃん……////」 霞「なあに、京太郎お兄ちゃん」ニッコリ 京太郎(か、可愛え!!!)キュン 京太郎(って、ときめいてる場合じゃねえ!!) 京太郎「あの、霞ちゃん。霞ちゃんの泊まってる場所って分かりますか?」 霞「泊まってる場所? えっとね、確か○○旅館って所」 京太郎「○○旅館か……(スマホで検索中)よし分かった。ココなら近いな」 京太郎「霞ちゃん、今から○○旅館に戻りましょう」 霞「で、でもドーナツまだ買ってない……」 京太郎「ドーナツか……そうだ、俺が買ったやつあげますから!」 霞「いいの!? ありがとう、京太郎お兄ちゃん!!」 京太郎「だから早く戻りましょうね!!」 霞「うん、分かった」 京太郎(少しでも早く知らせないと。病院にだって行かないといけないしな) ―――――――――― 京太郎「もう少しで着きますからね」 霞「ドーナツ、ドーナツ、ドーナッツ♪」ルンルン ?「霞ちゃーん!! 霞ちゃーん!!!」 京太郎「あれ、石――霞ちゃん呼ばれてないですか?」 霞「あれ、本当だ」 ?「霞ちゃーん!! どこにいるの!!」 霞「あっ、巴お姉ちゃんだ!! 巴お姉ちゃーん!!」タッタッ 巴「霞ちゃん!? 良かった無事で」ホッ 霞「うん、無事だよ」 巴「もう! 一人で外に出ないでって言ったじゃない!!」 霞「ご、ごめんなさい……」シュン 京太郎「あの、すいません……」 巴「えっと、あなたは……?」 霞「京太郎お兄ちゃんだよ!! 私をここまで連れてきてくれたの」 京太郎「どうも、須賀京太郎って言います」 巴「そうでしたか。ありがとうございました」ペコッ 京太郎「いえ、気にしないでください! そ、それより大変なんです!!」 京太郎「石戸さんがなんか子供みたいになっていて、幼児退行してしまってるんですよ!!」 巴「幼児退行……? あぁ」 京太郎「だから早く病院に行かないと、取り返しのつかないことに!!」 巴「いえ、その必要はありません」 京太郎「必要がないって、そんな訳ないじゃないですか!! 現に石戸さんは10歳って――」 巴「ですから、霞ちゃんは、正真正銘10歳なんです」 京太郎「」 巴「団体戦も終わりましたし、お話します」 巴「私たち永水高校は、実はメンバー不足で本来なら団体戦には出られなかったんです」 京太郎「そんなはずないですよね? 永水は昨年のベスト4ですし、部員不足なんて……」 巴「学校は有名になっても、元々うちは麻雀に興味を持ってる生徒が少なかったんです」 巴「加えて永水は巫女や神道系が専門ですので、麻雀部に入る為に受験する人もいないんです」 巴「幸い部員は本家である小蒔ちゃん……姫様と分家の者たちでなんとか団体戦に出場できる数は揃っていました」 巴「しかし県大会のメンバー申請の直前に出場予定の部員の子がケガで入院してしまい、その子が出場ができなくなりました」 京太郎「で、でも他の分家の方や分家以外の部員がまだいるのでは?」 巴「いえ、他の分家の子は中学生、そして小学生の霞ちゃんですから、分家で出れるのは私たち三人だけでした」 巴「分家以外の麻雀部員も、入院中の子以外にはいないので……」 京太郎「人数ギリギリとか、ウチみたいですね」 京太郎「それで、なんで石戸さんが出場することに?」 巴「先ほどもお話した通り、本来なら団体戦は出れないため、個人戦のみに出場する予定でした」 巴「しかし、霞ちゃんがエントリー用紙に自分の名前を書いてしまい、そのまま出してきてしまって……」 京太郎「……それで石戸さんが出場することになったと」 巴「はい……」 霞「てへ」ペロ 巴「申請されたことに気づき、出場を辞退しようにも、周りが永水の団体戦出場で盛り上がってしまい……」 巴「今更辞退するとも言えず、やむなく霞ちゃんを高校生として出場させることになりました」 京太郎「いや、普通に違反ですよねそれ」 巴「はい……ですのでこの事は内密に……」 京太郎「まぁ、事情は分かりましたので、黙っときますけど……」 京太郎「ところで、石戸さん対局中とずいぶん雰囲気が違いませんか?」 巴「いくら見た目が大人でも、中身は子供ですからね。そのまま出したら違和感が出て、そこからバレる可能性がありましたから」 巴「全国大会までに徹底的に見た目に合った話し方、仕草、立ち振る舞いを教え込みました」 巴「幸い、県予選は霞ちゃんまで回ることなく終わりましたので、なんとかなりましたが」 京太郎「でも、今はそんな感じはこれっぽっちもないみたいですが……」 巴「そうなんですよ……出来れば個人戦が終わるまではバレないように演技してもらいたかったんですけどね」 巴「団体戦を敗退した後に、その演技を続けるよう言ったら――」 霞『やっ!! あれ疲れるからもうやだぁ!!』 巴「――こんな感じで嫌がってしまい、極力人前に出さないようにしてたんですが……」 巴「姫様が甘い物を食べたいと言うのを聞いて、自分が買ってくると飛び出してしまい……」 京太郎「それで迷子になったと。なるほど」 京太郎「うーん、でも本当に石戸さんが10歳だなんて、正直信じられませんね……」 巴「当然でしょうね」 京太郎「見た目はもちろんですけど、何よりあのおもちが……」 巴「小学生であれですから、末恐ろしいですよ。まったくもって羨ましいです」 京太郎「でも10歳にしては、少し子供っぽ過ぎませんか? ほら、しゃべり方とか仕草とか」 巴「そうなんですよ。見た目は大人、頭脳は幼児って感じなんです」 京太郎「それなんて小学生探偵ですか? 逆ですけど」 巴「ともあれ、大事になる前に霞ちゃんが戻ってきてくれて助かりました。本当にありがとうございます」 京太郎「気にしないで下さい」 巴「お時間あればお茶でもどうですか? 炎天下歩かれてお疲れでしょうし、お礼も兼ねてどうですか?」 京太郎「いいんですか? それじゃいただきます」 京太郎(ん? 何か忘れてるような……どうせ大したことじゃねえし、いいか) 霞「京太郎お兄ちゃん、一緒にドーナツ食べよ!!」キャッキャッ 京太郎「あ、ああ。いいよ石――霞ちゃん」 霞「やったっ!!」 京太郎「……」 京太郎(話を聞いた後だと、本当に10歳なんだなって思うわ……見た目以外は、だけどな) 永水高校 宿泊部屋 巴「ただいま戻りました」 初美「あっ、巴ちゃん丁度よかったのですよー!!」 巴「どうしたの、ハッちゃん?」 初美「姫様が迷子になった霞ちゃんを探そうと、神様を降ろそうとして……」 小蒔「……」ゴゴゴゴゴッ 初美「間違って全く関係のない、強力な神様を降ろしてしまったのですよー!!」 巴「あぁ、これはマズイわね……」 霞「うわっ、小蒔ちゃん大変!!」 京太郎「一体全体どうなってんだよ!!!」 初美「祓おうにも、巴ちゃんじゃないと無理で、連絡しようとしてたところなんですよー!」 巴「分かったわ、今すぐ祓うわ。ごめん須賀君、少し席を外してくれるかな?」 京太郎「えっ、いいですけど、なんで?」 巴「神様を祓う時は、対象者が一糸纏わぬ姿でないと出来ないので……その……」 京太郎「一糸纏わぬ姿って……裸!? す、すいません、すぐ出て行きます!!////」ダッ 霞「京太郎お兄ちゃん、顔真っ赤っかだったね」 巴「まあ、健全な男性でしたら当然の反応だと思いますが」 初美「そんな呑気に話してないで、早く姫様を戻して下さいよー!!」 巴「そうだったわね。それじゃいくわよ!!」 ―――――――――― 巴「……ふぅ、祓いました」 小蒔「……あれ、私……」ポー 霞「小蒔ちゃん元に戻った!!」 小蒔「あっ、霞ちゃん……良かったです、無事帰ってきてくれて」 霞「もう、みんな心配し過ぎ!! 私一人で大丈夫だもん!!」プンプン 巴「迷子になって須賀君に連れてきてもらった子の言う言葉ではないですね」 初美「かーすーみーちゃーん」ゴゴゴ 霞「はぅっ!! は、初美お姉ちゃん……?」カタカタ 初美「今日という今日は許さないのですよー」ゴゴゴ 霞「と、巴お姉ちゃん!! 初美お姉ちゃんに憑いてるモノも祓って!!」 巴「残念ながら、私には祓えないですね」 霞「嫌あぁあああ!!!」 京太郎(……俺は、今不思議な光景を目にしている) 初美「まったく、霞ちゃんの軽はずみな行動で、一体どれだけみんなが心配したと思ってるんですかー!!」ガミガミ 霞「ごめんなさーい!!」グスグス 京太郎(それはまるで、娘に怒られて正座で大泣きしてる母親のような、そんな光景だった……) 巴「すいません、お待たせしてしまって」 京太郎「いえ、それはいいんですが……あの、お聞きしますが、あの子も10歳ってことは……」 巴「残念ながら、ハッちゃんはれっきとした高校三年生です」 京太郎「マジかよ……」 初美「それに、もし霞ちゃんの正体がバレれば、姫様に迷惑が掛かるんですよー!!」ガミガミ 霞「うぅ……分かってますぅ……」グスリ 初美「失礼したのですよー。霞ちゃんを助けてくれて、ありがとうなのです」 小蒔「元を正せば、私が甘い物を食べたいなどと言わなければ……」 初美「いえ、姫様は悪くないのですよー。……悪いのは、自分勝手な行動をしたこのおバカさんなのですよー」ギロッ 霞「ひうぅっ!! きょ、京太郎お兄ちゃん助けて!!」ムニュルン 京太郎「ちょ、か、霞ちゃん!? お、おもちが……溢れんばかりのおもちが俺の腕にいぃい!!!////」 巴「霞ちゃん、須賀君が困ってるから離れなさい」クイ 霞「巴お姉ちゃんまでいじめる」ブー 春「……ドーナツ美味しい」モグモグ 初美「……はるる、いつ戻ってきたんですかー?」 春「……霞ちゃんが怒られてる途中くらい……かな?」 巴「そういえば祓ってる時にいなかったわね」 春「……黒糖、切れたから買いに行ってた」 巴「それよりドーナツって、買ってきてないはずよね?」 霞「あっ、それ私が小蒔お姉ちゃんの為に買ってきたんだよ!」 初美「ふーん、霞ちゃんがですかー」 霞「すごいでしょう!!」フフン 初美「お金も持たずに、どうやって買ってきたんですかねー?」 霞「あっ……」 京太郎「あー、それ俺があげたんですよ。丁度買ってたんで」 巴「そうだったんですか。すみません、代金は支払いますんで」 京太郎「別にいいッスよ、こんくらい」 初美「それにしても、貰った物を自分で買ってきたなんて嘘付くなんて、霞ちゃんー」ゴゴゴッ 霞「ひゃっ、ご、ごめんなさい!!」 京太郎「神代さんの為に買いに行ったんですから、自分の手で買って渡したかったんですよね、霞ちゃん?」 霞「京太郎お兄ちゃん……」 京太郎「そういうことですから、薄墨さん、霞ちゃんを怒らないであげて下さい」 初美「まぁ買ってきてくれた須賀君がそう言うのでしたら、いいですけどー」 京太郎「ありがとうございます。良かったですね、霞ちゃん」 霞「京太郎お兄ちゃん、ありがとう!! 大好きー!!!」ダキッ 京太郎「だ、だからお、おもちがあぁあ!! たわわに育ったおもちが当たるううう!!!////」 巴「はいはい、離れましょうね」グイ 霞「ぶーぶー」 初美「気になったんですけど、須賀君はどうして霞ちゃんに敬語使ってるんですかー?」 京太郎「えっ、それは……いくら実年齢が10歳でも、この見た目の相手にタメ口なのは、どうも抵抗がありまして……」 初美「名前は『ちゃん』付けなのにですかー?」 京太郎「そ、それは……か、霞ちゃんって呼ばないと話してくれなかったので……」 初美「なるほどなのです。でも少しずつでいいので、普通に話してあげて下さいねー」 京太郎「努力します」 小蒔「ところで京太郎さん。何か他に用事があったのではないですか?」 京太郎「? いえ、別に」 小蒔「そうなんですか? 持ち物が何やら買い物に行かれた後のような気がしましたので」 京太郎「買い物…………!?」ハッ 京太郎「し、しまった!! 買い出しの途中だったのすっかり忘れてた!!」 京太郎「す、すいません。俺帰ります!!」 霞「えー、京太郎お兄ちゃん、もう帰っちゃうのー?」 京太郎「ご、ごめんなさ――ご、ごめんね霞ちゃん」 霞「……また遊びに来てくれる?」 京太郎「ああ、また遊びに来るから」 霞「本当!? 約束だよ!!」 小蒔「今日は霞ちゃんを助けて下さって、ありがとうございました」 巴「気を付けて帰ってくださいね」 初美「いつでも遊びに来て下さいねー」 春「……久によろしく」 京太郎「はい! それでは失礼しますね!!」 清澄高校 宿舎 久「すーがーくーん」ゴゴゴ 京太郎「……はい、申し訳ありませんでした」(←正座中) 久「買い出し頼んで、何でこんなに時間が掛かるのかな~」 京太郎「はい、おっしゃる通りです」 優希「まったくだじぇ!! 頼んだタコスが冷え冷えだじぇ!!」プンプン 久「さーて、どんなお仕置きしようかしら~?」 京太郎「お、お手柔らかにお願いします……」ガクガク 咲「京ちゃん……」 和「須賀君なんかほっといて、あっちで私とイイコトしましょう」 まこ「和……アンタどさくさに紛れて何言うとるんじゃ……」 久「ぷっ、ごめんごめん。お仕置きなんて冗談よ、冗談」ケタケタ 京太郎「えっ、いいんですか?」 久「だって、人助けしてて遅くなったんでしょ? それで怒ったりしないわよ」 京太郎「ちょ、なんで知ってるんですか?」 久「春から電話があってね、迷子の部員を送って遅くなったって言ってたわ」 京太郎(おい、滝見さん!? まさか霞ちゃんが迷子になったこと言ったんじゃないだろうな!?) 久「でも薄墨さんも見た目通り子供ね。迷子になってワンワン泣いてたなんて」 京太郎(あ、薄墨さんが迷子って説明したんだ。良かった) 久「だから遅くなったお咎めはなし! 買い出しお疲れ様、須賀君」 清澄高校 宿舎(京太郎のみ) 京太郎「なんとか助かったぜ……」 京太郎(それにしても今日は色々と驚いたな……) 京太郎(まさか永水の石戸さんが10歳の小学生だったなんて、信じられるかよ……) 京太郎(……でも、事実なんだよな、これが) 京太郎(はぁ……咲との対局見てて、良いなって思ってたんだけどな) 京太郎(さすがに小学生を好きになるとか、犯罪だろうし) 京太郎(ただ、あのおもちの破壊力は凄まじい)ウンウン 京太郎(おもち力53万……それくらいあるだろうな) 京太郎(ただ、見た目以外は本当に無邪気な子供なんだよな……) 京太郎「よし、約束したし、明日また遊びに行ってみるか」 翌日 永水高校 宿泊旅館 京太郎「確か、ここだったな」 京太郎「昨日はそれどころじゃなかったが、改めて見ると高そうな旅館だな」 京太郎(さすが昨年のベスト4、うちとは比べもんにならないぜ) 京太郎「さてと、どうすっかな」 京太郎(遊びに来ていいとは言われたが、そのまま部屋に入っていいんだろうか?) 京太郎(いや、向こうも予定があるかもしれないし) 京太郎(それに女性が泊まってる部屋に断りもなく入るのはマズイだろうしな) 京太郎「あー、連絡先聞いとくの忘れたのは痛かったな」 京太郎「とりあえず、旅館の人にお願いしてみるとすっか」 ―――――――――― 京太郎「えーと……」 春「……」ポリポリ 京太郎「あの、滝見さん……?」 春「……うん」ポリポリ 京太郎「狩宿さんや薄墨さんは?」 春「……姫様と三人で買い物に出てる」バリボリ 京太郎「あー、まずったな」 春「……何か用なの?」ボリベキ 京太郎「いや、暇だったし、ちょっと遊びに来たんッスけどね……」 京太郎「みなさんいらっしゃらないようなんで、出直してきます」 春「……いや、いてほしい」 京太郎「えっ!?」 京太郎(まさか滝見さん……意外だな、てっきり部長狙いだと思ってたんだが……) 霞「あーーー!!! 京太郎お兄ちゃんだーーー!!!」ダッダッ ダキッ 京太郎「か、霞ちゃん――どわあっ!?」ドテン 霞「みんないなくて退屈だったから、京太郎お兄ちゃん遊んでー!」 春「……霞ちゃんの遊び相手に、いてほしい」 京太郎(……ですよねー) 霞「ねぇねぇ京太郎お兄ちゃん。何して遊ぶ?」 京太郎「か、霞ちゃん……まずは俺の上から離れてほしいな」ムニュッ 霞「やぁん……////」 京太郎「や、やべっ!?」 京太郎(離そうと伸ばした手の先に霞ちゃんのおもちがああああ!?) 京太郎「ごごごごめん霞ちゃん!!////」 霞「もぉー、京太郎お兄ちゃんの、エッチスケッチワンタッチ」 京太郎(あれ……あまり嫌がってる感じしないな……) 京太郎(それにしても、なんて柔らかい感触なんだ) 京太郎(生まれて初めて女性(?)のおもちに触れたが……) 京太郎(なんというか、その……感動だな)シミジミ 春「……」ポリポリ 春「……ロリコン」ボソッ 京太郎「はぅあ!!??」ガバッ 霞「うわっ!?」ゴテン 京太郎「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」ドゲザ 霞「京太郎お兄ちゃん!? なんでそんなに謝ってるの!?」 春「……綺麗な土下座」パシャ ―――――――――― 霞「それで京太郎お兄ちゃん、何して遊ぶ?」 京太郎「そうだな。霞ちゃんは何がしたいかな?」 霞「うーんとね、あっ、ファッションショーごっこしたいな!」 京太郎「ファッションショーごっこ?」 霞「今度宮守のみんなと海水浴に行くんだけどね」 霞「私はそんなこともあろうかと思って水着を持ってきたんだ」 京太郎「うん、それで?」 霞「いくつか持ってきたから、ファッションショーみたいに着てみせるからね」 霞「その中から、京太郎お兄ちゃんが私に似合うの選んでね!」 京太郎「み、水着を着る!?」 京太郎(ボンキュッボンの霞ちゃんの水着姿が見れるとか最高じゃないか!!) 京太郎(今日は最高の一日になりそうだな) 春「……もしもし警察ですか? 10歳の子供を狙う変態がここに」 京太郎「ごめんなさい反省してますだから警察だけは!!」 春「……間違えた。110番じゃなくてこれ117番だった」 京太郎「時報かよ!!」 京太郎(ダメだダメだ!! 霞ちゃんは10歳だ、変な目で見たらいけない!!) 京太郎(ここは冷静に……そう、妹の水着を選ぶ兄のような気持ちで行こう!!) 霞「京太郎お兄ちゃん……嫌…かな?」 京太郎「ははは、いいよ。可愛いの選んであげるね」 霞「本当!? やったー!!」ピョン プルルン 京太郎「うおっ!? い、いかんいかん」 京太郎(思わずおもちの縦揺れに目が行ってしまった……自重しろ俺!!) 東京都内 繁華街 内木「ふむ……会長の応援をするために単身東京に来たはいいが……」 内木「試合会場がどこにあるのかさっぱりだな」 内木「さてどうしたもんか……」 小蒔「水着買えて良かったですね」 巴「一応霞ちゃんの分も新しいの買っておきましたし」 小蒔「それにしても霞ちゃん、お留守番させて申し訳ないですね……」 初美「仕方ないのですよー。これ以上霞ちゃんの正体がバレるわけにはいかないのですからー」 内木「あ、あ、あ、あれは……!!」ズキュン 巴「これからどこ行きましょうか?」 小蒔「霞ちゃんが可哀想ですし、お土産買って旅館に戻りませんか?」 初美「まったく、姫様は霞ちゃんに甘々なのですよー」 内木「そこのお譲さん」 巴「はい?」 内木「初めまして。僕は内木一太という者です」 小蒔「はあ」 内木「よろしければ僕とお茶でもしませんか?」 巴「お茶でもって……もしかしてナンパですか?」 初美「姫様はモテモテでうらやましいのですよー」 小蒔「えっ、いきなりそんなこと言われても!?」アタフタ 内木「いえ、僕がお誘いしてるのは、あなたです」 初美「えっ?」 巴「こ、これは予想外というか……驚きですね」 小蒔「初美ちゃん可愛いですものね」 内木「ダメ……でしょうか?」 初美「い、いや、ダメというわけではないのですけど……」ドキドキ 初美(うわー、ナンパなんて生まれて初めてですよー!!) 初美「私みたいなチンチクリン誘ったってしょうがないですし……」ドキドキ 内木「何を言ってるんですか!?」 内木「その小柄で華奢な体、男として守ってあげたくなりますし」 内木「少しはだけた服装には色気があって、思わずドキッとしてしまいます」 初美「そ、そんな風に言われたのは初めてですよー」テレテレ 内木「僕はそう――」 内木「ランドセルが似合うあなたに恋をしたんです!!」 初美「」 内木「その成長期を過ぎたにも関わらず、つるぺたな容姿」 内木「あどけなさが残ってる幼女のように可愛らしい顔」 内木「まさに合法ロリ!! ぜひ僕と付き合ってください!!」 初美「断固断るのですよー」イラッ 内木「な、なぜ……」 初美「これ以上その口開けると、警察に通報するのですよー」イライラ 小蒔「初美ちゃん、そんなにきつく言わなくてもいいですのに……」 巴「いや、ハッちゃんがキレるのは当然だと思いますが」 内木「僕の何がいけないんですか!? こんなにも幼女のようなあなたを好きなのに!!」 初美「幼女幼女うるさいのですよー!!」ウガー 初美「私だって、あと数年もすれば姫様や霞ちゃんみたいにボンキュッボンになるんですからー!!」 巴「それは絶対にありえませんが」 内木「ならせめて番号交換だけでも!!」 巴「この状況でまだ食いついてくるのですか!?」 初美「えっと……警察の番号は……」ピッピッ 小蒔「初美ちゃん、ダメです警察は!!」 久「てい、シャイニングウィザード」ダッ 内木「ぐへっ!!??」ゴキリッ 久「ごめんなさいね、うちの副会長が迷惑かけちゃって」 内木「」ピクピク 巴「あなたは……確か清澄の部長さんでしたよね?」 初美「その失礼男は、清澄の方だったんですかー!?」 久「そうよん。何やら嫌な予感がして来てみたら、案の定またやらかしてたみたいだし」 初美「まったく、いきなり人をランドセルが似合うだの、幼女だの散々失礼な事言ってきますしー!!」プンプン 久「それは失礼よね。否定はしないけど」 初美「してくださいよー!!」 久「まあコイツに関しては後でたっぷり罰を与えとくから、それで見逃してくれないかな?」 巴「まあ、ハッちゃん以外には実害ないですし、私たちは構わないのですが」チラッ 初美「絶対に嫌なのですよー!!」 久「そう」 初美「当然です!!」プンプン 久「……そういえば、高校生の大会に小学生が出るのってマズイわよね」 初美「うっ!?」ビクッ 久「もう一度聞くけど、見逃してくれるかな?」 初美「ま、まあ今回は大目に見るのですよー」ガクガク 久「ふふ、ありがとうね」 巴「あ、あの……もしや須賀君から聞いたんですか?」 久「いやいや。須賀君はそういうこと言いふらす子じゃないしね」 巴「で、ですよね……ではなぜ?」 久「うーん、最初は仕草や言葉がなんか作られてる感じがして違和感があったんだけどね」 久「気になって聞いたら、小学生だって教えてくれたわよ――春が」 初美「はぁああるぅううるぅうう!!!」ゴゴゴ 小蒔「初美ちゃん落ち着いて!!」 久「大丈夫よ、秘密にしておいてあげるからさ」 巴「助かります」 久「さーて、このバカにお仕置きしないとね」 小蒔「あの……あんまりひどいことしないで下さいね」 久「大丈夫よ、小鍛治プロや瑞原プロのところにしばらく放り込むだけだからさ」 巴「それはロリコンの彼にとって地獄ですね」 永水高校 宿泊部屋 京太郎(霞ちゃんは10歳霞ちゃんは10歳霞ちゃんは10歳)ブツブツ 霞「おまたせ、京太郎お兄ちゃん!!」ガラッ 京太郎「うおぉっ!?」 霞「えへへ、どうかな……?」 京太郎(す、スク水だと……!?) 京太郎(霞ちゃんのスタイルでピタッと張り付いて、そこが妙にエロい) 京太郎(さらにおもち付近の『5-2 石戸霞』と書かれたゼッケンがさらにヤバい) 京太郎(はっ!? ダメだダメだ、邪なことは考えるな!!) 京太郎「うん、すごく似合ってるよ」ニコッ 霞「本当に!? わーい」ピョンピョン 京太郎「こら霞ちゃん、あんまりはしゃぐとケガしちゃうよ」 霞「大丈夫だよ――うわぁ!?」プルン 京太郎「ぶふぅ!?////」ブッ 京太郎(まさかのポロリだとおおおおお!!??)ダクダク 霞「あはは、またやっちゃった」 京太郎(一瞬だけど見えちまった……大きなおもちに控えめなピンク……)ダクダク 春「……京太郎、刑務所に行っても元気でね」 京太郎「いや待って、今のは事故ですから!?」 霞「じゃあ、次のに着替えてくるね」バタン 京太郎「……な、なあ、滝見さん……」 春「……春でいい」 京太郎「そうか……春、霞ちゃんあれで授業受けてんだろ?」 春「……そうみたい」 京太郎「周りの視線とか、大丈夫なのか」 春「……霞ちゃんの小学校、女子校だから」 京太郎「そうか……それは良かったよ……」 京太郎(あれは小学生の男子諸君には刺激が強すぎるからな……) 霞「じゃーん、次の水着はこれだよ!」ガラッ 京太郎「おおぅ!?」 京太郎(オーソドックスな黒のビキニタイプ……本来10歳には似合わないのだが) 京太郎(霞ちゃんのスタイルにはドンピシャでピッタリだな) 京太郎「うん、いいんじゃないかな。動きやすいだろうし」 霞「そうかなそうかな?」ピョン 京太郎「わー!? ダメだって飛び跳ねたら!! また水着がずれちゃうでしょう?」 霞「そっか、ごめんなさい」 京太郎「ほっ……」 霞「次のに着替えてくるね!」バタン 京太郎(それにしても、あのおもちはすばらだな……) 京太郎(ビキニになってさらに分かるが……あれはおもち力53万は軽く超えたな) 京太郎(あぁ……これで霞ちゃんが10歳じゃなかったらな) 春「……!! 邪悪な気配!!」サッ 京太郎「おぅ!? どうしたんだ春、いきなり?」 春「今、霞ちゃんのおもちのことを考えてる邪悪な気配を感じた」 京太郎「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」ドゲザ 春「……なぜ京太郎が謝るの?」 霞「じゃじゃじゃじゃーん!! 最後はこれだよ!!」ガラッ 京太郎「おー!」 京太郎(さすがに三度目は大分慣れたから大丈夫だな) 京太郎(さっきと同じ黒のビキニか……ん? 心なしか布面積が少ない気が……?) 霞「どうかなどうかな?」クルッ 京太郎「がはっ!!??////」ブッ 京太郎(て、て、ティーバックだとおおおおおお!!??)ダクダク 霞「京太郎お兄ちゃん、鼻血出てるよ!?」 京太郎「だだだ大丈夫だから、これ以上近づかれるとおもちの谷間がああ!?////」 霞「ふぇ?」 京太郎(落ち着け京太郎! ここは心を無にして、煩悩を捨てるんだ!!)ダクダク 京太郎「……」 霞「わっ、京太郎お兄ちゃんが風越の人みたいな糸目になってる」 春「……とおらばリーチ(笑)」 京太郎(……よし、なんとか鼻血は止まったな) 京太郎「霞ちゃん、その水着はまだ早いから止めとこうね」 霞「えー。せっかく大人っぽく行こうと思ったのにー」 京太郎「二つ目の水着が一番可愛かったよ」 霞「そう? 京太郎お兄ちゃんが可愛いって言ってくれるなら、二つ目のにしーよっと」 京太郎(ほっ、良かった) 霞「えへへ。京太郎お兄ちゃんと遊ぶの、すっごい楽しいな」 京太郎「そ、そうか?」 京太郎(あんまり遊んだって感じしないけどな) 春「……私も、京太郎で遊ぶの、すっごい楽しい」 京太郎「おいコラそこ、意味変わってんじゃねえか!!」 霞「それじゃ巫女服に着替えてくるね」バタン 京太郎「ふぅ……なんとか乗り切ったぜ……」 春「……おっきした?」 京太郎「してねえよ!!」 京太郎(少ししか) 春「……それより京太郎、服血だらけ」 京太郎「ん? って、マジだ!? あー、鼻血出しまくったからな」 京太郎「まあ畳には血が飛んでねえのがせめてもの救いだな」 春「……露天風呂、入って来たら?」 京太郎「露天風呂? んなもんあんのかよ?」 春「……ある。混浴だけど」 京太郎「おいおい、混浴って嬉し――じゃなくてマズイだろ?」 春「……大丈夫。この旅館は私たちの貸切」 春「みんなには京太郎が入ってるって言っておく」 京太郎「んまあ、このままじゃ帰れねえし、せっかくだし入ってくるか」 春「……ごゆっくりどうぞ」 ?「ふむふむ、これはこれは、おもちな予感がするのです!」 露天風呂 カポーン 京太郎「ふぅ……」ゴシゴシ 京太郎「こんな豪華な露天風呂一人占めできるんだから、最高だよな」 京太郎「欲を言えば、神代さんとか狩宿さんとかとご一緒したかったけどな」 京太郎「霞ちゃん……はさすがにダメだよな……」 京太郎「いくら見た目は大人でも、10歳だしな」 京太郎「俺はロリコンじゃねーし、それに10歳だったら異性と風呂とか嫌だろうし」 京太郎「でも、一度でいいから美人と混浴してみてーな」 京太郎「まあ、今日のところは贅沢な一人風呂ができるってことで良しとしようか」 京太郎「さーて、湯船に浸かるとすっか」 ガラガラ 京太郎「へっ?」 霞「京太郎お兄ちゃん、一緒に入ろー」 京太郎「ぶっ!!??////」ブシュ 京太郎(一糸纏わぬ姿の霞ちゃんがああああ!!??) 霞「京太郎お兄ちゃん、また鼻血なの!? 大丈夫!?」 京太郎「……か、霞ちゃん……な、なんでここに……?」ダクダク 霞「えっとねー、春ちゃんが京太郎お兄ちゃんがお風呂に行ったから、一緒に入っておいでって」 京太郎(はぁああああああああるぅうううううううううううううう!!!!!) 京太郎「で、でも男と一緒に風呂なんて、嫌じゃないのか?」ダクダク 霞「うーん、ちょっと嫌かも」 京太郎「な、なら俺は上がるから、一人でゆっくり――」 霞「でも京太郎お兄ちゃんとなら、嫌じゃないよ」ニコッ 京太郎「うっ!?////」ドキッ 京太郎(やべぇ、めっちゃ可愛い) 霞「京太郎お兄ちゃんは、私とお風呂、や?」 京太郎「……い、嫌じゃねえよ……」 霞「やったー。それじゃ京太郎お兄ちゃんのお背中流してあげるね」 京太郎「……お、お願いね……」 京太郎(見ちゃダメだ見ちゃダメだ本当は見たいけど見ちゃダメだ) 京太郎(あんなに純粋な気持ちで来られたら、断れねえよ……) 京太郎(と、とにかく邪なことは考えず、早く終わらせよう) 霞「ごしごし、ごしごし」 京太郎「……」 京太郎(3.14159265358979323846……)ブツブツ 霞「京太郎お兄ちゃん、気持ちいい?」 京太郎「あ、ああ。気持ちいいよ」 霞「そっか。良かった」 京太郎(26433832795028841971……)ブツブツ 霞「はい終わったよ」 京太郎「ほっ」 霞「それじゃ今度は私の背中お願いね」 京太郎「あ、ああ……分かったよ」 京太郎(69399375105820974944……)ブツブツ 京太郎「はい、終わったよ」 霞「ありがとうね、京太郎お兄ちゃん」 京太郎「それじゃ、湯船に浸かろうか」 京太郎(よし、これで少なくとも身体は隠れるぞ) 霞「うん――ってうわぁあ!?」ゴテン 京太郎「霞ちゃん!? 大丈……夫……」パチクリ 霞「えへへ……ころんじゃった」テヘ 京太郎(ややややばい、まさかのM字開脚!?) 京太郎(しかもそれを隠す物が一切ないだと!?) 京太郎「ぐはっ!?」ブッ 霞「だ、大丈夫京太郎お兄ちゃん!? ――やっ!?」ゴテン 京太郎「~~~~~////」モゴモゴ 京太郎(霞ちゃんのおもちがあああ、俺の顔にいいいい!!??」 京太郎(あ、やっぱ柔らかいな……おもちって……) 京太郎(人肌でほんのり温かくなったおもちが、俺を楽にしてく……れ……る……) 京太郎「……」 霞「よいしょっと。大丈夫、京太郎お兄ちゃん?」 京太郎「」チーン 霞「京太郎お兄ちゃん、死んじゃやだーーーー!!」エーンエーン 玄「大丈夫なのです! まだ間に合うのです!!」サッ 霞「ふぇ? お姉ちゃん誰?」グスグス 玄「そんなことより、早く誰か助けを呼んでくるのです!!」 霞「う、うん!!」 ―――――――――― 京太郎「……う、うーん」 巴「あっ、気が付きましたか?」 小蒔「大丈夫ですか、京太郎さん」 京太郎「あ、あれ……狩宿さんに神代さん? お、俺どうしてここに……?」 小蒔「京太郎さん、お風呂場で血だらけで倒れてたんですよ。私驚いて失神しそうになりました」 巴「帰ったら霞ちゃんが泣きながら全裸で『京太郎お兄ちゃんが死んじゃう』って言って大変だったんですよ」 京太郎「えっ…………あっ!!」 京太郎「いや、けっして俺は霞ちゃんに欲情したとか、変なことをしたとか、ないですから!!」ワタワタ 巴「大丈夫です、分かってますから」クスクス 小蒔「霞ちゃんのスタイルは、殿方にとって刺激が強いみたいですね」 京太郎「は、はあ……お恥ずかしながら」 巴「でも大事に至らないで良かったです」 京太郎「あの……さっきから気になってたんですけど……」 巴「? 何か?」 京太郎「あそこで正座させられてる三人はいったい……」 霞「ごめんなさーい!!」エグエグ 春「……反省はしてる。後悔はしてない」 玄「私は京太郎君の命の恩人なのですよ!!」 巴「ああ、今回須賀君が死にかけた原因を作ったこと、それと不法侵入に対する説教ですね」 京太郎「ってかなんで玄さんがいるんですか?」 巴「何やら『強大なおもちの気配がするのです』って言って露天風呂に忍び込んだらしいですよ」 京太郎「なにやってんだあの人は……」 初美「いいですか霞ちゃん!! あなたは自分の身体のことを考えて行動するのですよー!!」ガミガミ 霞「だってだって、京太郎お兄ちゃんと一緒にお風呂入りたかったんだもん!!」エグエグ 初美「だからと言って、タオルも巻かずに裸で入る子がありますかー!!」 霞「ご、ごべんなざいいい!!」グスグス 初美「それからはるる!! 霞ちゃんをけしかけたり、清澄の部長さんに霞ちゃんのこと話したりして!!」ガミガミ 春「……ごめんなさい」 初美「まったく、ちゃんと反省するのですよー!!」 春「……次からはバレないように上手くする」 初美「全然反省してないじゃないですかー!!」 玄「なんで私まで怒られないといけないのですか、薄乳さん!」 初美「薄墨ですよー!! 誰が薄乳ですか!!」 玄「私がいなかったら京太郎君は死んでたかもしれないんですよ!!」 初美「それについては感謝してますよー」 初美「でも、貸切の旅館に侵入したのはどうなんですかー!!」 玄「そこにおもちがあるからです」キリッ 初美「カッコよく言っても不法侵入は不法侵入ですよー!!」 玄「だって石戸さんのあのおもち、一度は生で見たいと思うじゃないですか!!」バンッ 初美「なんであなたの方が怒ってるんですかー!!」 ―――――――――― 霞「」チーン 春「」チーン 玄「」チーン 初美「まったく、三人ともしっかり反省するのですよー」 巴「はあはあ……だからといって姫様に神様を降ろさせないで下さいよ……」ゼェゼェ 小蒔「……ん……あれ……?」 京太郎「あ、あの……どうもご迷惑おかけしました」ガラッ 初美「いえ、迷惑をかけたのはこっちなのですよー。本当にごめんなさいなのです」 京太郎「そんな、謝らないで下さ――うおっ、どうしたんですか三人とも!?」 初美「少しばかりキツ目のお仕置きをしただけなのですよー」ニコッ 京太郎「そういえば今日霞ちゃんから聞いたんですけど、今度海水浴に行くんですって?」 巴「はい。個人戦まで日はありますし、その間に宮守の方々と一緒に行こうかと」 京太郎「いいですね」 小蒔「よろしければ京太郎さんもご一緒にどうですか?」 京太郎「えっ!? お、俺もですか!?」 小蒔「はい。大勢で行った方が楽しいでしょうし」 京太郎「あ、ありがたい話ですけど、宮守の人たちも男が一人来たら嫌でしょうし……」 巴「それについては大丈夫です。今姉帯さんに連絡したら『いいよー』との返事がありましたので」 京太郎「はやっ!?」 初美「それに須賀君が来てくれたら、今日みたいなナンパ男を撃退してくれるでしょうし」 京太郎「ははは、あまり争い事は得意じゃないッスけどね」 小蒔「どうですか?」 京太郎「それじゃ、お言葉に甘えて行かせてもらいますね」 霞「京太郎お兄ちゃんも一緒に海行くの!? わーい!!」ダキッ 京太郎「どわあっ!? か、霞ちゃん、嬉しいけど抱きつくのは勘弁して!!////」 霞「やー」 春「……久に写メール」パシャ 京太郎「お願いだから春、部長には送らないで!!」 玄「楽しみなのです、海水浴!!」フンスッ 京太郎「ってか玄さんも来るつもりですか!?」 玄「当たり前なのです!! 京太郎君にばかりおもちで美味しい目に会わせませんから」 小蒔「わあ、海水浴がますます楽しみになってきましたね」 巴「そうですね。須賀君にはますます大変になってきましたけど」 春「……久から返信だ。何々……『ロリコン乙』だって」 初美「霞ちゃん、またお仕置きされたいのですかー!!」 霞「きゃー、京太郎お兄ちゃん助けてー」 玄「ずるいのです京太郎君。私と代わるのです!!」 京太郎「誰か助けてくれーーーー!!!」 カン
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1370517527/ 京太郎「強制子作り許可証って……こんなの渡されてもなぁ……」 京太郎「そりゃ俺も男だし……そういうのに興味が無い訳じゃないけど……」 京太郎「迂闊には見せられるもんじゃないしなぁ……」 京太郎「…………うーん………」 京太郎「まっ、ここで考えたってしょうがねえ。 とりあえず帰って机の中にでも……」 ......ァーンッ 京太郎「ん?」 .....チャーンッ 京太郎「こ……この声……!この気配……!この寒気は……!」 ......ョウチャーンッ 京太郎「まさか――!」 バッ! / .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. ..\ / .. .. .. .. .. .. . . . . . .. . . .. .. .. .. .. ヽ ノ .. ..// ./ ./ ./ . .;、 . . i. . . . ... . 、 .゙、 /、 / ,ィ_,A .ハ.i.....i !|__|___|、 . . . .i . i / )_ .i .´|V ソ .|! . . | !ト、 !、 |`| i . . | . | __ ,.-‐┐ ___ , =''"/ .// . | . .|ィ≠=、 !、 . | z≠=、ハ . .i . .l/-―ァ / ノ ( ` ̄ ̄`ヽ.;-ノ // . . . ト、;!b ;; ! ヽi b ;;;; i ソ / ./_ . . . . ̄`ヽ// / `ー-、__/ ` !\ .ム.! ー―' , ┴--' ノ / ノ ) . .rv‐/ / / \_ ___ノ ノ )、ヽ 、 "" r―‐┐ "" !ナケ' ̄フ'/ / // /、`ヽ、 `ヽ f __ ∧ ,.へ iヽ! \ 、___ ノ / / / // / / / '"  ̄ヽ!__/ `ー-----r‐'" i r/ / , |ノ! `ー----ァ'" / i! '" / 〈 i  ̄ `ヽ \ ヽ !_ノ _/__ノ ヽ、 \ / / !、 i V 、_ 、____ノ ) | 、ヽ_,ノ、_/---、〈 `ーァ、___,、_/ !  ̄ヽ,_/ ` ) (_ノ ソ / . _〉 ,," ゛、 ノ / _` / (ヽ ヽ | | / 〈 \ 《 ゛、 /゙、 / ,.---‐二ノヽ___!、 \ i | ゙、 i ゛、 ラー=-| (__,..イ `ー'´ 7\_ ) 咲「京ちゃぁあああああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!!」 京太郎「で、出たぁああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 咲「京ちゃん!京ちゃん! 京ちゃぁああああああああああん!」ギュゥウウウウウウ 京太郎「さ、咲! タップタップ!……し、絞まって……る゛……」 咲「ああ! ごめんね京ちゃん! 私、嬉しくて嬉しくて!!」バッ 京太郎「ゲホッ ゴホッ ……な、何がそんなに嬉しいって?」 咲「貰ったんでしょ!? 許可証!!」 京太郎「あ、相変わらず耳が早いな……ゲホッ」 咲「京ちゃんのことだもん、なんだってわかるよ!」 咲「それで、許可証は?」 京太郎「あ、ああ。 ここにちゃんと……」 京太郎「――ハッ !」 / | |.. . ゙、 . ゙、゙、. \ |. i | i |. ∧ 、.i. .i . ` 、. ! | |、 | | i | ! | | | 、 > | | i 「! ヽート!、 リ ! |ハ ト | ̄ ̄. ,..-、| i | !゙、 _、!二゙、-| イ リ ! |ヽ | / へ.゙、 丶ヾヽ ´{ i` ヽ! 1!| /| !ノ゙、リ ヽ \ !丶  ̄ Vイ ハ |\ i. 丶 \゙、 ` リ `ヽ `┬ 、 ヾ / i ;ィノ U ,....-ィ /,, ‐レリ _  ̄ /゛=!_ \ `ー-、_ _/ ゛== 、 \ / ̄ヽ、 ゛===-、 京太郎(アブねえ……うっかり許可証を咲に見せちまうところだった……) 京太郎(無闇には見せられない代物なんだ。 気をつけなきゃ……) 咲「? 京ちゃん? どうしたの?」 京太郎「あー。 すまん、咲。 どうも家に置いてきちまったみたいでさ。 今度見せて――」 咲「嘘つき」 京太郎「――えっ」 咲「私知ってるよ? 許可証を渡された男子は肌身離さず携帯していなきゃいけないって」 京太郎「えっ」 咲「私知ってるよ? もし許可証を無くした場合でも監視役の人が直ぐにちゃんと持ち主に返してくれるって」 京太郎「な。ちょっ」 咲「私知ってるよ? 許可証を持つことを許された人は率先して許可証は使っていかなければならないって」 京太郎「な、なんでそのことを……」 咲「さっきも言ったよ?」 / . . . . ! . . .|. . . . . | | | | | .i | | i . . . . .i . . . .|. / i | | ! | i . | | i i | | | i | / | ! . . . ト、ヽ .;!、i . . | |、゙、'i´| フiナi | | | / . . . i . | . . . . ヾ、 .'i´ヾ. |!ヾ、 ゙、ヽハハヽハノ |ハ | |. /. . . .;ィ'| . . i . . . . i ヽ | ヽ! ヽ ゝ `' リ | i ノヽ | 彡 '´ リ i . .ヽ . . . ゙、 ヽ___ ;==─-ソ / / ! ヽ| . .ヾ .、 ヽ≠'´ ̄` ;;;;;;;;;;;; ノノ ノ /;イノ ソ . . / ヾー-;;;;;;;;; , """ /ノ.; ‐' / i.;イ ;ハ、 ゙、 """ ___ / / ソ レ ` ヾヽ ヽ´ ノ ィ´ /リ ` 、__  ̄ , ' |!;/ _"_〕ー--‐' |__ / . / | | /\ 咲「京ちゃんのことだもん、なんでも知ってるの!」 京太郎「あ、そ、そうなのか……」 咲「ホントは持ってるんでしょ? 隠さないで見せて欲しいなぁ~」 京太郎「い、いや、でも! お前も知ってるだろ!? 許可証を見せられた女は大変なことになるんだぞ!!?」 咲「? 大変なことって?」 京太郎「だ、だから……その……」 咲「京ちゃんの子供を産まなきゃいけないんでしょ?」 京太郎「そ、そう!! ……あ、いや、その……でも……必ずそうってわけじゃ……」 咲「それがどうかしたの?」 京太郎「へ?」 咲「私、京ちゃんとなら、いいよ?」 咲「ていうか、京ちゃんじゃないと嫌かな」 咲「私の初めては京ちゃんって昔っから決めてたしー」 咲「ううん、初めてだけじゃない。 初めてから最後までずーっと京ちゃんだけがいい!」 /\-――‐- 、 , --=7 丶 `ヽ /, ヽ ヽ ∠/ / 、 、 丶 i / i ! l. l i. i | / ,/ ! ! l|| ! |、 ll ! | ヽ、 /_ -7 , | l ト、| |ヽ! N , 斗 r ,'_ ト--`  ̄ //! ! Nヽ!\|,//l/ l/! N ,ハ !| ´ / ,i丶 {=== l/ == =l/ ' ノ リ // l i `i _/,、/ ´ {ハ!ヽ{ ′ /!}/ ′ 「…………」 丶 ー ―‐ ' / |′ \ / | __ i ー ' ! __ , ィ'´ . /-‐ ´} / `Y´ . .\ , -‐'' ´ . ./ . . ./― - 、 ,/__ / . . . . . /`丶、 ハ . . .i ., . ,′ . i `  ̄ / . . . . ../ . . . . . . .丶、 / . . .i . . |,' . i . . . . ! ヽ / / . . . . . / . ., . . . . . . . . ,.ヽ ! . . . .ヽ .{ . .l . . . . l. i / . . . . . / . ./ . . . . . ./ . . .i 咲「子供は二人がいいな! できれば男の子と女の子を一人ずつ!」 咲「名前は候補が多すぎてさ! 男の子なら京ちゃんの名前から取りたいと思ってるんだ!」 咲「女の子なら私の名前からーって思ってたんだけど」 咲「そういえば私の名前って一文字だからおんなじになっちゃうねって思っちゃってさ! アハハッ!」 ,' . . . . ' . . . .| , イ .l | ̄`丶 .| . .| , -‐-、 | | i . .. . \ ,' ! . . . . . / . . . !',| | . |__| . . .j . . j| . . . . | . .| . \ | ... i ヽ ! . . .| . . . . ! . ! . . . | i| ヽ| j . ./| ./ ! . . .;'j .,'| ./ | .| . . . .| . . i ! . . . . .| . . . .', |ヽ . ヒニ三≠/ j/ j . .///_j/ j/| . . . ' i . . . . i | . . . . .! . . . ヽイ X ハ ` / ///"ィハ,`ヽ f . . / . i` 丶 、i. ! . . . . ! . . . . .\{{ { { kd i{ r! }} / . / . . i| ! . . . / ヽ . . . . . !ヽ.マOイ ソ Y) イ!.ノ// . . . . i. ;. . . {{ \ . .ヽ `¨¨´ 、 `¨´ { . . . . . . . i ', . 八 `丶\ ゙゙゙゙゙ ゙゙゙゙゙ l . . !. ト、 . i ヽ|ヽヽ. ! ハ| ヽl 「それでね!それでね!」. \.ー\ ⊂ニ つ .イj/ ! | ヽiヽ }丶 , ---- 、 . ヽヽl ./ /\ \イ l / / , ヘ.Y´ ,xへ| // / ,.へ.\ 京太郎「あ、あの……咲さん……?」 咲「あ、なになに!? 名前の候補でも考えついた!!?」 京太郎「いや、そうじゃなくて……」 京太郎「俺、見せる気無いぞ?」 咲「? 何を?」 京太郎「いや……だから……」 京太郎「許可証。お前に見せる気、無いぞ?」 咲「 」 / / \ / / / / | | ヽ / / /-/=/.,,_ / / | ', ヽ\ / / // / / / /|ヾ/| || l ∧ \ / l //| /|/ / / / / / / | _| | ヽ ヘ \ /イ | // |.z===/ // / / |⌒ト、、| | | ', \ | |/ ィ| ト|彡'´彡三ミヾ / / | /| ト、! | l  ̄⌒>ーァ | |/ /! | || ,;fう⌒ヾ}} // /_| /| / |\ \ \/ / // { | | l ノ /_/ ''≧三 /// / /ト、 | \ ヽ l / /./ V \| ヾ_ イ'´ ̄ fう⌒ヾ;ヾ.// /./ ! \ l \ ヽ { | |l \_{ ヽ.. .... ! } }}/. / | ヽ | ヽ \} | |l |八 , 弋_,イ〃// l ヽ ヽ { | |l r─- ._ . .. -‐ '´ j \ ヾ l | ! ヽ | }) /ノ从 / \ `ミ, ', ヾ 、 | ヽ ヽ.__ / 人 |ハ/ \`、|ヽヾ 、 | \ _,. < /\ V | \ ト > -‐ ' ´ 彡' { 咲「え?」 咲「見せて……くれないの……?」 京太郎「あ、ああ。 そりゃそうだろ」 京太郎(こんなもの使ってまでハーレムなんて築きたくないし) 咲「……」 京太郎(明日にでも返しに行こう) 咲「…………」 咲(え?え?え?) 咲(そりゃそうだろ? それってどういう意味?) 咲(私には見せなくて当然?) 咲(なにそれ。どういうこと? 意味分かんない) 咲(京ちゃんは私に許可証を見せてくれない?) 咲「…………」 咲(なにそれ) / / \ / / / / | | ヽ / / /-/=/.,,_ / / | ', ヽ\ / / // / / / /|ヾ/| || l ∧ \ / l //| /|/ / / / / / / | _| | ヽ ヘ \ /イ | // |.z===/ // / / |⌒ト、、| | | ', \ | |/ ィ| ト|彡'´彡三ミヾ / /. .| /| ト、! | l  ̄⌒>ーァ | |/ /! | || / ⌒ヾ}} // /_ | /| / |\ \ \/ / // { | | | ヾ_ノノ /_/ ''≧三 /// / /ト、 | \ ヽ l / /./ V \| ヾ 彡'´  ̄ / '⌒ヾ;ヾ.// /./ ! \ l \ ヽ { | |l \_{ ヽ |ヾ、_ ノ} }}/. / | ヽ | ヽ \} | |l |八 , ゝミ 彡' 〃// l ヽ ヽ { | |l r─- ._ ー‐ '´ j \ ヾ l | ! ヽ | }) /ノ从 / 「…………」 \ `ミ, ', ヾ 、 | ヽ ヽ.__ / 人 |ハ/ \`、|ヽヾ 、 | \ _,. < /\ V | \ ト > -‐ ' ´ 彡' { 京太郎(いや、明日と言わず今日行くべきか) 京太郎「悪い、咲。 ちょっと俺、今から行く所あるから」 咲「えっ……」 咲(行く所……って何処?) 咲(私を置いて? 行く所?) 咲(それって、何処?) 咲(許可証持って? 行く所?) 咲(それって……それって……つまり) 咲(私以外の女の人の所?) 咲「……」 咲「…………」 咲「…………………」 咲「…………………………」 / / \ / / / / | | ヽ / / /-/=/.,,_ / / | ', ヽ\ / / // / / / /|ヾ/| || l ∧ \ / l //| /|/ / / / / / / | _| | ヽ ヘ \ /イ | // |.z===/ // / / |⌒ト、、| | | ', \ | |/ ィ| ト|彡'´彡三ミヾ / / | /| ト、! | l  ̄⌒>ーァ | |/ /! | || / ⌒ヾ}} // /_ | /| / |\ \ \/ / // { | | | ヾ_ノノ /_/ ''≧三 /// / /ト、 | \ ヽ l / /./ V \| ヾ 彡'´  ̄........... / '⌒ヾ;ヾ.// /./ ! \ l \ ヽ { | |l \_{ ヽ.. .... ... .. |ヾ、_ ノ} }}/. / | ヽ | ヽ \} | |l |八 , ゝミ 彡' 〃// l ヽ ヽ { | |l r─- ._ . .. ー‐ '´ j \ ヾ l | ! ヽ | }) /ノ从 / 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 \ `ミ, ', ヾ 、 | ヽ ヽ.__ / 人 |ハ/ \`、|ヽヾ 、 | \ _,. < /\ V | \ ト > -‐ ' ´ 彡' { ギュッ 京太郎「? な、なんだよ咲」 咲「……」 京太郎「さ、咲? ……俺、今から行く所……」 咲「…………」 ギュゥゥ 京太郎「……お、おい……咲っ。 いい加減……っ」 咲「……っ」 咲「 」 京太郎「えっ」 「 ごめんね 京ちゃん 」 / `ー-、 \ ! i | | | | | | | | f/ ,.イ/ . `ー-、 \ー=、、 . . | ! . . ! . . . | | . . ! | __,ノ/ |......................|...........!..........i.`iー-、 ヽ... ` \ |! | |! | | |r==ラ´ / ..........|.................... |..|....i....|..._|_!_!__ \ ゙、. . ` ヽ、 |゙、 ! /' /!/ / . . . | |.......... | | . . | . ..i . . . | .i ゙、 | 、ヽ ゙、 . . | ヾv'ィニニ! L__ノ / / . . . . i | |-‐'"´ ̄| | ! . . | . . i、. . i_ゝィ≠=ミヽ、 ヾ==ェ' ,.ィ´ ̄ヽヽ ヾ、/ . . . . ノ i | _ | | ハ . . i. . .!|\//.. .丶 \、\_/ / /__; ノ ム -‐'⌒ー--、__,.-'∠ | . .リ;,ヽ .i . . . レ/ ┐ ; } ー-、( ュ、 / } i . r‐'"´ ̄`ー--、  ̄ ! . . . . . . \、 . ヾ、 、ヽ、;;;ンノ ...........、ヽ !.... V.ン ノ/ / . . . ノ / / リ `ー. |. . . . . .,.个ヽi`iヾ .ゝ---'"...... ....、 ゝ-==-'ン ノ/ ;イ / / | . . . . / |ハi、 | ///// , `》/ー''"´ / /ノ/!ノ |、 / ヽー! 《/ イ'"´/ソ V ヽハ -‐ ‐- /l| / / \ 《/ ,..イ / `iー-、 |》.イ /レ′ |ハ | `ー-、 _,..-‐'"i| |/ | ` ̄ 《 京太郎「…………」 バタンッ _____,ノi´ ̄`ヽ / . . < ゙、 / . . 、 ヽ ヽ _ ゙、 ヾ、 i / . . 、__゙、 i!゙ 'ハ ゙、 、-ヽ ゙、 _, -‐ ´.i. .. i ;イi |リiノ ソ;--、! ヽ 丶_, -‐ ´ . |.. .i i イ ;ハ;ン . ヽ i、| \ i . .| i ゙、ヾ/ _ } | i --―'.ノ .;i |\゙、 (´ ノ /ヽ ノ 、 ー'リ ゙、 {'ヾ U / , -‐ ´ ゙、 /ノヽiヾー-‐'ヽ -‐'゙、__,....--rrァ゙、 ゙、. ヾヾi´`ヽ 、 . . . . . |.| ハヽ / ゙、 ヽ / ヽ_,.- _,. 、 . .//i 、| \ / _, ゙、 `ヽ ,..-/ . . . . . . ` . ヽ/ /-‐\ \ // _, -‐ ´ ゙、 i ., -‐ ´/;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;`ー-、ソ/ ヽ \ -‐ ´ ゙、 }, -‐ ´ ../i'""-------――' ´/o)、 ゙、 \ __,..-‐ `ー' / .| |==、、 ヽ ヽ' 、 _,...゙-‐'´ ̄ /. ゙、゙、i \ ゙、 |/´ ゙、゙、 \i / ゙、i | ゙、 / !i iヽy'´ Vi / i, -‐ ´ 咲「ハッ!」 咲「………あれ? 京ちゃんは……」 咲「…………あ」 咲「ただの夢かぁ」 咲「……」 咲「…………」 __ ,. ' ´ . . . . .、 . . . . .` 、 / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. .丶 / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . 丶 ,/ . . . ./ . . . . . . . . . . . . . . . i.... ............ヽ l . . . ./ . . . ./ . . ., . . .| . . . . l. .. i. .. ... .. .', li . . .| . . . . l . . ./l . ./! i . .i ハ . |l .l . . . l . ..i | .r‐! l . .`iー/‐ァァT' . /フTナiT´ . .| トi、| { .{ ‐N、 . {r―r-r l/!'―r-i'| . . ,リ リヽ! 「ちぇ…………」 ヽ!ヽ _ `{. _ヒソ _ヒソノ/イ | `ヽ!ゝ ////////////j i /|ハ! ,∠_ ̄〈 ` こ__ー--_ュ,/く' i ヽ 、ヽ ヽ 丁 i i ハ |. ヽi ヽ V | } / l { } ヽ / l l' | ハ ヽ! V / / / ヘ ―カンッ
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http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361874491/ 京太郎「モモー、いるかー?」ガラッ 桃子「いるっすよー。どうかしたっすか?」 京太郎「やっぱ部室にいたのか。先生が呼んでたぞ」 桃子「あー進路調査っすかねえ」 京太郎「まだ出してなかったのか? まだ1年だし適当に書いてればいいだろ」 桃子「そういう適当なの好きじゃないっす!」 京太郎「そう言って遅れてりゃ世話ないって」 桃子「それはまあそうなんすけどね。とりあえずあと少しだし、これ読み終わったら行くっす」ペラ 京太郎「さっさと行けよ……何読んでんだ?」 桃子「少女漫画っすよー。ゆみ先輩に借りたっす」ペラ 京太郎「ゆみさん少女漫画好きなのか」 桃子「前に少女漫画の2人乗りのやり方を真似たとかあったじゃないっすか」 京太郎「あー……?」 桃子「ああ、そういえばあのとき京太郎は一瞬意識飛んでたっすね」 京太郎「お、俺はそんなことを忘れたのか!? ちくしょう!」 桃子「一緒に帰るとき毎回2人乗りしてるんすから、今更そんなのいいじゃないっすか」ペラ 桃子「まあともかく、ゆみ先輩は少女漫画大好きっすよ。私から貸すこともあるけど、借りるほうがずっと多いっすね」 京太郎「そうなのか」 桃子「そうだ、ゆみ先輩にこの主人公みたいなことやってみたらどうっすか?」 京太郎「どれだ?」 桃子「これっすよ。後ろからギューッて。俗にいうあすなろ抱きっすね!」キャーッ! 京太郎「こ、これはちょっと恥ずかしくないか」 桃子「女の子がやってもらいたい抱きしめ方第1位っすよ!」 京太郎「これやってゆみさんに拒否られたら俺立ち直れねえぞ……」 桃子(ゆみ先輩が嫌がるとか本気で言ってるんすかねこれ) 桃子「まあまあ、騙されたと思ってやってみるといいっす」 京太郎「いやでもなあ……」 桃子「……しょうがない、先にネタばらししてあげるっす」 京太郎「ネタばらし?」 桃子「ゆみ先輩がこれ見て『……いつか、私もやってもらいたいな』って言ってたんすよ」 京太郎「マジで?」 桃子「大マジっす。ゆみ先輩の望みを叶えるためにもやるっすよ!」 京太郎「そういうことなら……!」 桃子「その意気っす。私は先生のところに行ってくるから頑張るっすよー!」 京太郎「おう!」 ゆみ「京太郎、もう来ていたのか」ガラッ 京太郎「ゆ、ゆみさん!?」ガタッ ゆみ「な、なんだ?」ビクッ 京太郎「あ、す、すみません。特にどうというわけでは……」 ゆみ「おかしな奴だな」クスクス 京太郎「部長たちは説明会とかで遅れるみたいです」 ゆみ「ああ、もうそんな時期か。懐かしいな」 京太郎「ゆみさんはこの時期には進路決めてましたか?」 ゆみ「おおまかにはな。……まあ、プロを目指そうとは露ほども思っていなかったよ」 京太郎「試合とか出れてなかったですもんね」 ゆみ「ああ、私がプロになろうと思ったのは君のおかげだよ」 京太郎「お、俺ですか? 別に何もしてないですよ?」 ゆみ「そんなことはないさ。少なくとも全国へ行けたのは、長野の決勝で宮永に勝てたのは君がいたからだ」 京太郎「?」 ゆみ「分からなければそれでもいいよ」フフッ 京太郎「気になるじゃないですか」 ゆみ「……それじゃ、私が君に感謝しているということだけ分かってくれ」ボソッ 京太郎「……! は、はい」カアァァ ゆみ「……へ、変なことを言ってしまったな。ええと、この間の牌譜は……」クルッ 京太郎「……ゆみさん!」ダキッ ゆみ「ひゃっ!?」 京太郎「俺こそゆみさんには感謝してもしきれないですよ。麻雀を始めたのも、少しずつでも上手くなっているのも……」 ゆみ「わ、わかった。わかったから!」アワアワ 京太郎「……あれ? い、嫌でした?」ギクッ ゆみ「い、嫌なわけないだろう。ただ突然だったから……」カアァァ 京太郎「よかった……! 嫌がられたらどうしようって思ってました」ギュウ ゆみ「ひゃぅ……な、なんでこんなことしようと思ったんだ?」カアァァ 京太郎「モモからゆみさんがこういうの憧れてるって聞いたんですよ」ギュッ ゆみ「……ちょっと待て。私はそんなことを言った覚えはないぞ」 京太郎「……え?」 ゆみ「そもそも憧れてもいない」 京太郎「えっえっ?」 京太郎「えっと、じゃあこれは……」ダラダラ ゆみ「……」 京太郎「……あ、メールが」 桃子『先生にこってり絞られたんで今日は部活行かないで帰るっす(/_;)』 桃子『PS.騙されたと思ってやってくれたみたいっすね! ちゃんと写真も撮ったっすよ!(≧∇≦)/』 京太郎「……そういうのは騙されたと思ってって言わねえよ!!」 ゆみ「……写真も添付してあるな。というか部室に来てるじゃないか……モモお前その辺りにいるだろう!?」 シーン 京太郎「……くそっ、あいつ本当に帰ったみたいですね」 ゆみ「そのようだな……」ハァ 京太郎「……」 ゆみ「……」 京太郎「……」ギュッ ゆみ「あっ」 京太郎「ハッ、す、すみません! つい無意識に! い、今離します」ワタワタ ゆみ「ま、待った」ギュッ 京太郎「……? ゆみさん?」 ゆみ「もっと……」 京太郎「へ?」 ゆみ「も、もっとやってくれ。嫌じゃ、ないから」カアァァ ゆみ「その、君に包まれているようで安心するというか落ち着くというか」 ゆみ「いつも君の後ろから抱きついているけれど、こうして抱きしめられるのもいいなというか……」ハッ ゆみ「わ、私は何を言っているんだ……」カアァァ 京太郎「」ズキューン ゆみ「きょ、京太郎? すまない、今のは忘れて……」 京太郎「忘れられるわけないじゃないですか!」ギュッ ゆみ「きゃっ!?」 京太郎「ああもう、ゆみさん大好きです!!」ギュー ゆみ「きょ、京太郎!?」アワアワ 京太郎「ゆみさんすげー可愛いです。愛してます! もう一生離しません!」ギュゥ ゆみ「ば、バカなことを言うな。その、嬉しいがこんなところを見られたら……」 京太郎「大丈夫ですってモモも来ないって言ってま――」 ガラッ 睦月「こんにち――」 佳織「遅くなってごめ――」 京太郎「……」(抱きしめてる) ゆみ「……」(抱きしめられてる) 一同「………………」 睦月「す、すみませんでしたー!」ダダダッ 佳織「ご、ごゆっくりー!」タタタッ ゆみ「ま、待て! ち、違う、これは違うんだ!」バッ 京太郎「そ、そうです! モモに騙されて!」バッ 佳織「そんな力強く抱きしめといて何言ってるの!?」タタタッ 睦月「今日は自主練習にしておきますから!」ダダダッ 京太郎「ちょ、せめて走りながら抱きしめてとか言うのはやめてください!!」 ゆみ「……行ってしまったな」 京太郎「……まあ、冷静に考えたら誤解も何もないですよね」 ゆみ「まったくだ。何をしていたんだ私たちは……」ガクッ 京太郎「どうしましょう。もう今日はみんな来ないでしょうし帰ります?」 ゆみ「そうだな……。もう誰も来ないか……」ハッ ゆみ「じ、実はいい麻雀の教本を持ってきたんだ。よければ一緒に読まないか?」 京太郎「いいですよ。……って一緒に?」 ゆみ「あ、ああ。2冊あればよかったんだが1冊しか持っていないんだ。だから一緒に……」 京太郎「一緒に……も、もしかしてさっきので?」 ゆみ「……」コクッ 京太郎「……わかりました。じゃあそこのソファーで。俺の上に座ってください」 ゆみ「! あ、ああ」 京太郎「はい、どうぞ」 ゆみ「それじゃあ……ど、どうだ? お、重かったら言ってくれ」 京太郎「重くなんてないですよ。むしろ軽いです。……それよりあんまり深く腰掛けないでくださいね」 ゆみ「なぜだ?」 京太郎「えっと……まずいので」 ゆみ「? まあわかったよ」 京太郎「ありがとうございます。じゃ、じゃあ本借りますね」 ゆみ「あ、ああ。その、一緒に勉強しよう」 京太郎「は、はい」 京太郎「……」ペラ ゆみ「……」 京太郎「……」ペラ ゆみ「……落ち着くな。普段より頭に入ってくる気がする」 京太郎「俺も全然眠気とか感じないです。本読んでるとよく眠くなるんですけど」 ゆみ「……そういうことを言っているのではないんだが」ハァ 京太郎「え!?」 ゆみ「まったく、もっと知識も付けないとダメだぞ」フフッ 京太郎「はーい」 イチャイチャ 智美「……なんだこれは」 ─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─ ――新人戦―― 京太郎(これを通さないときっと勝てない……!) 下家「……それだ。ロン。8000」 京太郎「うげ……」ガクッ アナ『試合終了ーー! 須賀選手、最後の最後で振り込んでしまいました』 藤田『夏のような回避は出来なかったか。まあミスをして振り込んだというわけではないが』 アナ『これで須賀選手はこの卓で3位に転落。現在総合順位は4位ですから3位以内に入るのは難しくなりました』 藤田『上位のミス待ちだが、こういう流れではそれも期待薄だろうな』 京太郎「なんであんなの切ったかなあ……」 下家「よう、また会ったな」 京太郎「あ、下家(しもや)さん」 下家「3ヶ月で随分上手くなってるじゃねえか。夏大じゃ俺もヤバイかもな」 京太郎「1位の癖に何いってんですか」 下家「まあ負ける気はねえよ。リベンジは夏までしか受け付けてねえからな。楽しみにしてるぞ」スタスタ 京太郎「……俺が負けられなかったのは今回だったんですよ」ハァ 京太郎「はぁ……」ガチャ 桃子「お疲れさまっす。ため息なんてついてどうしたっすか?」 京太郎「最後の最後で振り込んだからだよ……ちなみに順位はどうだった?」 桃子「変わらずっすね。4位っす」 京太郎「あー、やっぱりそうか……」ガクッ 睦月「落ち込むな……って言ってもダメかな。後一歩だったね」 京太郎「はい……」ハァ 桃子「そんなに落ち込むことないすっよ。麻雀初めて1年も経たないのに県4位なんて凄いじゃないっすか」 京太郎「上出来だとは思うけど、どうしても、というか出来れば今回全国へ行きたかったんだよ……」 桃子「そりゃあ出来れば勝ちたいのは当然っすけど、そんなこと言ったらキリないっすよ」 京太郎「まあ確かに負けてから言ってもしょうがないんだけどな……」ズーン 佳織「そんな顔してたら加治木先輩に心配かけちゃうよ? いい成績だったんだから胸を張らないと」 京太郎「ゆみさん……」ハァ 佳織「あ、あれ? 余計元気なくなった?」アセアセ 桃子(あーもしかして) 睦月(加治木先輩がいる間に全国に行きたかったのかな……?) 睦月(加治木先輩は別に気にしないと思うけど……本人の問題だしなあ)ムムム 桃子「……ほら! クヨクヨするのはその辺にして、私たちの応援するっすよ!」 睦月「! そうだね。せっかく私たち3人決勝に行けたんだから、頑張って応援してもらわないと」 京太郎「……そうですね。すみません、自分が終わったからって……」 睦月「ううん。ただ、それは私たちじゃどうにも出来ないから、帰ってからゆっくり2人で話してね」フフッ 京太郎「えっ」ギクッ 桃子「あれだけわかりやすかったんすから、そんなバレたみたいな顔しないで欲しいっすね」 京太郎「ええ!?」 佳織「えっえっ?」 桃子「かおりん先輩はそれでいいんすよ」ポンッ 佳織「気になるなぁ……」 睦月「後で教えるから、今は決勝をがんばろう」 佳織「うん。わかった!」 桃子「それじゃ行ってくるっす。応援ちゃんとするっすよー」 京太郎「ああ、分かってるよ。先輩たちも頑張ってください!」 ――帰りの電車―― 桃子「~♪」 佳織「嬉しそうだねー」 京太郎「電車の中であんまりはしゃぐなよ?」 桃子「あれ、僻みっすか? 僻みっすね? 男の嫉妬は見苦しいっすよ~♪」プププ 京太郎「殴りてえ……!」 佳織「だ、ダメだよそんなことしちゃ」 京太郎「そりゃしませんけど気分として……!」 睦月「まあまあ、全国に行けたんだから今日のところは多目にね」 桃子「そうっすよ。心を広く持つっす!」 京太郎「本人に言われると腹立つな!」 睦月「あはは。……それにしても夏と秋、連続で全国出場するなんて想像もしてなかった」 桃子「来年はきっと新入部員たくさん来るっすよー!」 佳織「そうだね。新入生に負けないかちょっと怖いな」ブルブル 京太郎「佳織先輩は大丈夫ですよ。何があっても入れます」 佳織「京太郎くん、3年生だからってそれはよくないよ」 京太郎「いや、実力ですよ」 佳織「……? あ、それまでに上手くなれってことだね。頑張ります!」 京太郎「…………はい!」 佳織(少し間が空いたのが気になるなあ……?) 桃子「次は団体で全国に行きたいっすね」 睦月「うむ。私も部長として恥ずかしくないように頑張らないと」 京太郎「団体戦は俺も出たいなあ」 佳織「来年は出られるんじゃないかな? 夏の最後の試合はかっこよかったよ」 京太郎「ほんとですか! 俺に憧れる後輩が出来るのか……!」 桃子「今日の最終戦で振り込んだのがどう出るかっすね」 京太郎「忘れようとしてたのに言うなよそれを……」ガクッ 睦月「大丈夫だよ。別にミスってわけじゃないんだし」 京太郎「結果的に振り込んじゃいましたから……」 桃子「まったく、いつまでも引きずるんじゃないっすよ」 京太郎「誰のせいだよ!?」 佳織「まあまあ。そろそろ着くよ」 京太郎「あ、ほんとですね。モモなんかにかまってる場合じゃありませんでした」 桃子「なんかとは失礼っすね」 京太郎「お前が悪い」 桃子「んー! 疲れたっすー!」 佳織「だいぶ遅くなっちゃったね。もう暗くなってる」 睦月「もう秋だね。夜になると寒いや」ブルッ 京太郎「ですねえ。……これじゃ今日はゆみさんに報告出来ないなあ」 睦月「え? まだしてなかったの?」 京太郎「はい。直接言おうと思って。もうちょっと早く帰れるかなと思ってたんですが」 桃子「勝ってたらいいっすけど負けてるとあれっすね」 京太郎「わかってるよ! 言うなよ!」 睦月「でもそれなら悪いことしちゃったかな。蒲原先輩に結果送っちゃったから、もしかしたら加治木先輩にも伝わっちゃってるかも」 京太郎「まあそれはそれでしょうがないです」 京太郎「どっちにしろこれじゃ明日になりますから、ニュースか何かで知っちゃうかもしれないですし」 佳織「もう一本早い電車に乗れてればよかったね」 京太郎「そうですね。電車が少ないと辛……!?」 ゆみ「おかえり、京太郎」 京太郎「こ、こんな寒い中何やってんですか!?」 ゆみ「寒さは大丈夫だよ。ほら」ピトッ 京太郎「わっ!?」 ゆみ「カイロを持ってきてるんだ。さっきまで電車にいた君の頬より暖かいだろう。まあカイロを使うには時期が少し早いが」 京太郎(あわわわわ。やばい、顔が熱い。いや手が熱いから顔も熱くなってるんだけどそれだけじゃなくて……) 京太郎「って、そうじゃなくて! それはそれです! カイロがあるからってこんな寒い中ずっと外にいたら体に良くないです」 ゆみ「京太郎が頑張って来たんだからこれくらいなんてことはない。それにしょうがないだろう。君の結果を早く聞きたかったんだ」 京太郎「すげえ嬉しいですけど、もっと自分の体も大事にしてください。せめて喫茶店とかで待ってるとか」 ゆみ「しかし……」 京太郎「しかしじゃないです」 ゆみ「わかった……」シュン 京太郎「あ、い、いや。凄い嬉しいんですよ? 嬉しいんですけどゆみさんのほうがずっと大事なので……」 ゆみ「大丈夫、わかってるよ。ありがとう」 ゆみ「ところで結果はどうだったんだ?」 京太郎「ええと……」 桃子「私は全国出場出来たっすよー!!」 ゆみ「本当か!? 凄いじゃないかモモ!!」 桃子「先輩に続いて夏秋連続っす! 鶴賀も強豪の仲間入りっすよ!」 ゆみ「よくやった!」 桃子「嬉しいっす!」 京太郎(モモおおぉぉぉ!! お前が先に言うと俺が言いづらいじゃねえか!! せ、せめて最後にならないように……) 京太郎「俺h」 睦月「私は決勝リーグには行けました。順位はあまり良くありませんでしたけど……」 佳織「私も決勝リーグに出場出来ました! でも順位は良くなかったです……」 ゆみ「そうか、2人もよく頑張った。夏は予選で敗退してしまっていたんだから、よく成長しているよ」 ゆみ「順位なんて後から付いてくるものだ。そんなに気にする必要はないさ」 佳織「はい、ありがとうございます」 睦月「わかりました。でも部長として恥ずかしくないくらいの順位は取っておきたかったです……」 ゆみ「別に部長が強くなければならないというわけじゃない。要は部をまとめられるかどうかだよ。蒲原もそうだろう?」 睦月「……そうですね。蒲原先輩みたいになれるよう頑張ります」 京太郎(先輩ー! いい話なんですが、前とほとんど変わらない俺が余計言いづらい空気に!!) ゆみ「……それで京太郎は――」 桃子「あ、もう遅いし私たちは先に帰ってるっす」 睦月「2人でゆっくりしてください」 佳織「京太郎くん、加治木先輩を送って行ってね」 ゆみ「ん、そうか」 京太郎「ちょ、お、おいモモ」 桃子「なんすか?」 京太郎「お前こんな雰囲気で置いてくなよ! 前回と似たような感じでしたなんて言いづらいじゃねえか!」ヒソヒソ 桃子「……や、正直惚気けるの分かっててこの場に居るのはちょっと」 京太郎「はあ!?」 桃子「……そんな心外だみたいな顔されても」 ゆみ「……何をこそこそ話しているんだ?」 京太郎「い、いえ。なんでもないですよ」アハハ 桃子「それじゃ私たちはお先に」 睦月「さよならー」 佳織「また明日ね」 京太郎「うわ、ほんとに帰った……」 ゆみ「いいじゃないか。その、き、気を使ってくれたんだろう」 京太郎「まあそうなんでしょうけど……」 ゆみ「……それに、2人きりになったのにそんな顔をするのはどうなんだ」 京太郎「あ、いえ、決して嫌というわけではなくてですね……」アセアセ ゆみ「それはわかっているが……まあなんだ。し、嫉妬したくなるからやめてくれ」カアァァ 京太郎(あ、やばい。めちゃくちゃ嬉しい)ジーン ゆみ「そ、そんなことより! 大会の結果はどうだったんだ!?」 京太郎「うっ」ギクッ ゆみ「?」 京太郎「そ、その……4位でした」 ゆみ「……なんだ、さっきから言いづらそうにしていたから何かと思えば。いい成績じゃないか」 京太郎「いえ、モモが全国に行ったり、睦月部長たちは決勝リーグに進めるようになったり成果上げてるのに」 京太郎「俺だけほとんど変わりないですし……」 ゆみ「そうか? 4位になれたんだ。私は十分成長したと思うよ」 京太郎「でも得点的にも前回と比べて誤差くらいのもんですよ?」 ゆみ「そうかもしれないが、今回は前回までいた2人の魔物が混ざっていないだろう?」 ゆみ「あまり場が荒れない中でそれだけの点数を稼いだんだ。よく頑張った」 京太郎「それはそうかもしれませんけど」 ゆみ「ただまあ、それとは別に後一歩で全国へ行けなかったというのは単純に悔しいだろうと思う」 京太郎「……そうですね。夏に続いてですし」ガクッ ゆみ「お疲れ様ということで残念会……というと失礼かな。ともかく、よければこの辺りで食事でもしていこう。今日は私が奢るよ」 京太郎「家の方は大丈夫ですか?」 ゆみ「遅くなるかもと伝えてあるから問題ないよ。帰り道も君が送ってくれるだろう?」 京太郎「それはもちろん」 ゆみ「なら安心だ」フフッ 京太郎「じゃあ行きましょうか。……でも奢るのはいいですよ。というかむしろ俺が出しますって!」 ゆみ「君をねぎらうのに君が出しては本末転倒だろう」 京太郎「じゃあせめて割り勘で」 ゆみ「ダメだ。今日は先輩として私が出す」 京太郎「いやでも……」 ゆみ「それじゃあ次は彼氏として京太郎が出してくれ。それでいいだろう?」 京太郎「……わかりました。それじゃ今日はご馳走になります」 ゆみ「うん、素直なのが一番だ」 京太郎「それじゃどこに行きます?」 ゆみ「私の好きな店があるんだ。そこでいいか?」 京太郎「いいですよ」 ゆみ「わかった。それじゃ行こうか」 京太郎「はい」ギュッ ゆみ「!」 京太郎「どうかしました?」 ゆみ「……いや、なんでもない。案内するよ」 京太郎「わかりました」 ゆみ(寒いと言ったからかな。恋人繋ぎ) ゆみ(初めてではないけれど、自然にやってくれたのは多分初めてだ。恋人らしくなっているのかな)フフッ 京太郎「ゆみさん、なんか嬉しそうですね」 ゆみ「ああ、京太郎のおかげだよ」 京太郎「え?」 ゆみ「ふふっ」 京太郎(……よくわからないけど、ゆみさんが嬉しそうだしいいか) ─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─ 咲『こんばんはー』 ゆみ『こんばんは』 咲『この間京ちゃんと会っちゃいました。加治木さんのいないところで2人きりで』 ゆみ『ああ、私は大会に行かなかったからな』 咲『普通に返されてちょっと悲しいです』 ゆみ『何を期待しているんだ何を』 咲『ちょっと焦らせようと思ってもいいじゃないですか!』 ゆみ『はぁ……』 咲『まあそれは置いておいて、東横さんの全国出場おめでとうございます』 ゆみ『ああ、よくやってくれたよ』 咲『私も振り込んじゃいましたから、全国ではリベンジしたいです!』 ゆみ『リベンジも何も勝っているだろう。まさか一度も振り込まないことを目指しているのか……?』 咲『そ、そういうわけじゃ』 ゆみ『ふふ……君も断トツでの全国出場おめでとう。全国2連覇へ向けて好調だな』 咲『うーん、でも全国には大星さんとか荒川さんとか強い人がたくさんいますから……』 ゆみ『同じ長野の代表として、モモの次に応援してるよ』 咲『ありがとうございます!』 咲『……ところで、京ちゃんはどうでしたか?』 ゆみ『どうというと?』 咲『その、また後一歩ってところで負けちゃったから落ち込んでたりとかは……』 ゆみ『……そうだな。落ち込んでいたよ』 咲『そうですか……』 ゆみ『もう少しだったみたいだからな。多少はしょうがない』 咲『(ここで私が元気づければ……!)』 ゆみ『こら、何を考えている。それにその日のうちに私が元気づけたからもう遅いぞ』 咲『ちぇー』 ゆみ『本当に毎回油断も隙もないな……』 咲『本気なら書きませんって』 ゆみ『どうだか』 咲『信用してください!( _ )』 ゆみ『……悪いと思って今まで聞いていなかったんだが……夏大の後京太郎に告白したりしたのか?』 咲『……それを私に聞くんですか?』 ゆみ『冗談と分かっていてもさすがにこう何度も言われると気が気じゃないんだ』 咲『……断られると分かっててするわけないじゃないですか!!』 ゆみ『……そうか、それはすまなかった』 咲『そうですよ。するなら京ちゃんと加治木さんが別れてからです』 ゆみ『おいこら』 咲『傷心の京ちゃんを慰める私。そしてずっと好きだったのと囁く』 咲『いつも身近にいた幼なじみからの突然の告白』 咲『離ればなれになって何かが足りないと思っていた京ちゃんは本当に大切だったものに気がついて……』 ゆみ『それが狙いかお前は!!』 咲『別れるまでは何もしないので安心してください!』 ゆみ『出来るか!!』 咲『待つのは私の自由です!』 ゆみ『うっ……』 咲『……最初は私も諦めようと思って部活のみんなにそう言ったんですけど』 咲『優希ちゃんからそんなことで諦めるのかって言われて……』 咲『部長……竹井先輩からも確かに2人が別れる可能性は低いかもしれないけど』 咲『悪待ちって意外と来るものよって言われたんです!』 ゆみ(久か! あいつがこの元凶か!) 咲『でも本当に私から何かすることはないので安心してください。恨まれるからやめたほうがいいわよって言われましたし』 ゆみ『……そういう気遣いまで教えるのかあいつは。はぁ……』 ゆみ『ちなみにそういうことは私に言わないほうがいいとは言われなかったのか?』 咲『どっちでもいいけど、後腐れなくしたいなら言ったほうがいいかもとは言われました』 ゆみ『本当にあいつは……!』 ゆみ『……まあ何もしないなら私がどうこう言うことじゃない。ただ、無駄に時間を費やすだけだからやめたほうがいいとは言っておく』 咲『はい、わかってます。大会で久しぶりに会ったときも加治木さんのことばっかり話すんですよ。どう思います?』 ゆみ『嬉しいな』 咲『ですよね! うぅ……まあおもちには弱いみたいですけど』 ゆみ『おもち? どういうことだ?』 咲『あ、胸のことです。京ちゃん巨乳が好きじゃないですか』 ゆみ『初耳だ』 咲『そうなんですか? 全国大会のとき永水の巫女さんたち見て鼻の下伸ばしてましたよね』 咲『この間の大会で会ったときも私より先に和ちゃんのおもちのほうを見てましたし……』 ゆみ『ほう……』 咲『……! ち、違いますよこれは! 加治木さんも知ってると思ったからで……!』 ゆみ『ああ、うん。大丈夫だ。別にこれで別れるとかそういうことはないし、むしろ貴重な情報を伝えてくれて感謝している』 ゆみ『それではまた今度』 咲『ああぁぁ……。京ちゃん、ごめんね……』 ――部室―― ゆみ「……」 京太郎「……おい、どうしたんだ今日のゆみさんは」ヒソヒソ 桃子「知らないっすよ。私が来たときからずっとあそこに座って腕組んでるっす」ヒソヒソ 智美「京太郎、何したんだー?」ヒソヒソ 京太郎「お、俺ですか!?」ヒソヒソ 桃子「そりゃ他にいないっすよ」ヒソヒソ 京太郎「身に覚えがまったくねえよ……」ヒソヒソ ゆみ「おい、モモ」 桃子「は、はいっす!」ビクゥ ゆみ「ちょっとジャンプしてみてくれ」 桃子「はい?」 ゆみ「いいから」ゴッ 桃子「わ、わかったっす!」プルンッ 京太郎「?」チラッ ゆみ「……ありがとう」 桃子「ど、どういたしましてっす」 ゆみ「……」トコトコ 京太郎「……? あの、ゆみさん今日はどうし――」 ゆみ「」ツネリ 京太郎「いたっ、痛いですよ!?」 ゆみ「まあこれで許してやろう」 京太郎「何がですか!?」 ゆみ「後で教えてやる」 京太郎「えええ……今教えて下さいよ」 ゆみ「これは京太郎に対する私の慈悲なんだが……まあ、そこまで知りたいなら今教えてもいい」 京太郎「な、なんか怖いんでやっぱりやめてください」 ゆみ「うん、賢明だ」 桃子「ゆみ先輩は急にどうしたんすかね? まあ京太郎がなんかやったんだと思うっすけど」 智美(さすがに自分でやらせてあれってことはないだろうから、今までの分かなー?) 智美「それにしても今さらって気はするけどなー」ワハハ 桃子「あれ、智美先輩はなんのことかわかってるんすか?」 智美「わかってるぞ。まあ秘密だけどなー」 桃子「気になるっすー!」 智美「ワハハー」 ─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─ ゆみ「おじゃまします」 京太郎「どうぞ上がってください」 ゆみ「ここが京太郎の家か……」キョロキョロ 京太郎「そんな面白いもんじゃないですよ」 ゆみ「綺麗だな。家が出来てから半年くらいか?」 京太郎「もう少し経ってます。10ヶ月くらいですかね」 ゆみ「ふむ……」 京太郎「それがどうかしました?」 ゆみ「いや、小さい頃から暮らした家から引っ越すというのは寂しいのかなと。……私が思うのも失礼だな。なんでもない」 京太郎「まあ、寂しくなかったかって言ったら嘘になりますね。でも住めばここもいいもんですよ」 ゆみ「ん。そうか」 京太郎「それに向こうにいたままだったらゆみさんに会えませんでしたし! それだけでもこっち来てよかったですよ!」 ゆみ「そ、そうか」カアァァ 京太郎「じゃあここで待っててください。お茶でも出しますよ」 ゆみ「ああ、ありがとう」 ゆみ(日当たりが良くて気持ちいいな) 京太郎「粗茶ですが」 ゆみ「おかまいなく……何を言わせるんだ」 京太郎「一度言ってみたかったんです」 ゆみ「はぁ……ふむ、緑茶か」 京太郎「紅茶のがよかったですか? 煎れ慣れてないんでこっちにしたんですけど」 ゆみ「いや、和室にはこちらのほうが合っているさ」コクリ ゆみ「ん、おいしいな。煎れるのが上手いんだな」 京太郎「母親によくやらされたんですよ」 ゆみ「しっかり成果は出ているな」フフッ ゆみ「……そういえばご両親はどちらに」ソワソワ 京太郎「親父は仕事です。おふくろはなんか急に引っ越す前の友達と遊びに行くとか言って出てっちゃいました」 ゆみ「そうか。安心したような気が抜けたような……」ホッ ゆみ「……っ! と、ということは今この家には……!」 京太郎「え? ……! や、ち、違いますよ! ちょ、ちょっと待っててください!」バタバタ ゆみ(ど、どうしよう。気軽に遊びに行きたいなんて言ったがまさかこんなことになるなんて) ゆみ(ご両親と会うことは覚悟して来たけどこっちは覚悟してないぞっ。……か、覚悟って何の覚悟だ!?) 京太郎「ゆみさん」 ゆみ「ひゃっ!? お、落ち着け京太郎! まだ私たちには……!」 京太郎「まずゆみさんが落ち着いてください。ほら、連れてきましたよ」 ゆみ「……うん? それは?」 京太郎「ペットのカピです。ゆみさんこいつが見たくて来たんじゃないですか」 ゆみ「……そ、そうだったな」 京太郎「こいつがいるから2人きりじゃないですよ。だからその、決してそういうつもりだったわけでは……」 ゆみ「あ、ああ、うん。わかった。変なことを言って悪かった」 京太郎「俺もちゃんと言っとけばよかったですよね。すみません」 ゆみ「これがカピバラか……」キラキラ 京太郎「はい。ほらカピ、ゆみさんだぞー」 カピ「キュー」トコトコ ゆみ「おお……! な、撫でてもいいか?」 京太郎「もちろん、いいですよ」 ゆみ「で、では。カピー」ナデナデ カピ「キュ~」 ゆみ「意外と毛は固いんだな」ナデナデ 京太郎「ええ、ちっちゃい頃は柔らかかったんですけどね。手が痛くなりますから、あんまり撫ですぎないほうがいいですよ」 ゆみ「でも気持ちよさそうにしているしな……」ナデナデ カピ「キュ~」 京太郎「あんまり甘やかし過ぎるのもよくないんですよー」 ゆみ「まあたまにはいいじゃないか。しかし可愛いなあ」フフッ 京太郎「ですよね! こののんびりしたところがほんと可愛くて……!」 ゆみ「ふふっ。カピバラを飼っているなんて家は初めて見たが、どうしたカピバラを飼おうと思ったんだ?」 京太郎「大した理由じゃないですよ」 京太郎「俺が小さい頃にテレビを見て、可愛いとか飼いたいとか言ってたら無理して買って来てくれたんです」 ゆみ「そうなのか。いいご両親だな」 京太郎「あー……まあ、そうですね」 ゆみ「素直に感謝してもいいんだぞ?」クスッ 京太郎「やめてくださいよもう……なんか恥ずかしい」 ゆみ「ふふっ。おや、カピはどうしたんだ?」 カピ「キュゥ……」スースー 京太郎「ああ、寝ちゃったみたいですね。日当たりもいいですし、ゆみさんが撫でたのが気持ちよかったんですよ」 ゆみ「そうか。じゃあ起こさないように静かにしないとな」 京太郎「そうですね。すみません、こんな早く寝ちゃって。普段は日中寝たりしないんですけど」 ゆみ「それだけくつろいでくれたなら嬉しいよ。気持ちのいい日だしな」アフゥ 京太郎「ゆみさんもあくび出てますよ」アハハ ゆみ「うん、休日のこの時間はよく寝ているからな。恋人の家に来てこれは我ながらどうかと思うが……」ウトウト 京太郎「自分の家みたいに思ってもらっていいですよ。というかゆみさん昼寝とかするんですか? あんまりイメージじゃないですけど」 ゆみ「よくしているよ。私の好きなものは昼寝だからな」 京太郎「……え? 智美先輩じゃなくてですか?」 ゆみ「君は蒲原をなんだと……いや気持ちはわかるが。ともかく、私の趣味は昼寝だよ」 京太郎「てっきり読書とかそういうのが趣味なのかと思ってました」 ゆみ「それも好きだが、昼寝のほうが好きだよ」 京太郎「そうなんですか。意外な一面ですね」 ゆみ「意外も何も隠しているつもりはないんだが……」 京太郎「普段の姿から想像できないから一緒ですよ」 ゆみ「むぅ」 ゆみ「まずい、こんな話をしていたら本当に眠くなってきた……」ウトウト 京太郎「昨日あんまり寝れなかったんですか?」 ゆみ「京太郎のせいだぞ」 京太郎「え?」 ゆみ「君の家に行くと思うと楽しみでなかなか寝れなかったんだ」 ゆみ「ようやく眠れそうになったときにはご両親がいることに気付いて今度は緊張して眠れなく……」ウトウト 京太郎「俺のせいですかそれ!?」 ゆみ「ああ」 京太郎「理不尽だ……そんなに眠いなら寝ててもいいですよ。というか一緒に寝ましょう」 ゆみ「しかし初めての京太郎の家でそれは……い、一緒にねね寝る!?」 京太郎「ちょ、ち、違います! 昼寝するだけです!!」 ゆみ「紛らわしいことを言うな! ああもう、想像してしま――ってないからな!!」 京太郎「ほんとすみませんっ!」ペッコリン ゆみ「……しかしそうだな。お言葉に甘えようか。カピも気持ちよさそうに寝ているし」ウトウト 京太郎「はい。少し仮眠とりましょう。何か掛けるもの持ってきますよ」 ゆみ「いや、いいよ。十分暖かいし」 京太郎「そうですか? じゃあ枕代わりにクッションでも――」 ゆみ「いや、それもいい。その……」モジモジ 京太郎「?」 ゆみ「きょ、京太郎に腕枕してもらいたいんだ。ダメ、かな?」カアァァ 京太郎「」ズキューン ゆみ「昔から憧れてたんだ。い、嫌だというなら別にいいんだが、出来ればやってくれると、その、う、嬉しい」モジモジ 京太郎「もちろんやりますよ! いくらでもやりますとも!」 ゆみ「ほ、本当か?」パアァァ 京太郎「当然です! さあすぐにやりましょう!」 ゆみ「ああ!」 ゆみ「んっ」 京太郎「どうですか? 寝心地はあんまり良くないと思いますけど……」 ゆみ「これはどちらかというと精神的に落ち着くためのものだよ。京太郎に守られてるようで安心する」 京太郎「それにしてはちょっと遠いような気が」 ゆみ「これ以上近づくとドキドキしすぎて眠れそうにない。仰向けなのも同じ理由だ」カアァァ 京太郎「全然落ち着いてないじゃないですか」 京太郎(まあ俺もこれ以上近づかれたり、顔がこっち向いてたりしたら寝るどころじゃないだろうけど)ドキドキ ゆみ「それはそれ、これはこれだ。……それじゃあおやすみ、京太郎」 京太郎「はい、おやすみなさい」 …… … ゆみ「ん……」コロン ………… ……… …… … 京太郎「ふわぁ……うわやべ。3時間も寝ちゃって……っ!?」 ゆみ「」スースー 京太郎(ゆ、ゆみさんの顔が目の前に!? ち、近い近い! 動いたらぶつかりそうだよ!) ゆみ「んー」モゾモゾ ゆみ「ぅん、おはようきょうたろう」トロン 京太郎「お、おはようございます」 ゆみ「ふわぁ。ん~……うん!?」バッ ゆみ「ち、近っ!? な、何がどうした!?」アワアワ 京太郎「お、落ち着いてください! と、とりあえず起き上がりましょう」 ゆみ「そ、そうか。私が起きないと君も起き上がれないのか。よっ……っと」バサッ 京太郎「ふぅ。心臓が破裂するかと思うくらい驚きました」バサッ ゆみ「私もだ。一気に目が覚めたよ。……どうも私が寝返りを打ったせいのようだ。すまない」 京太郎「いえ、その、役得でした」 ゆみ「そ、そうか」カアァァ ゆみ「……ところでこのタオルケットは一体?」 京太郎「ほんとですね、いつの間に……まさか」サアァァ ゆみ「? あれ、テーブルの上に紙が」 京太郎「すげー嫌な予感がします」ペラッ 『京太郎へ こんな時期に何も掛けずに寝るなんて何考えてるの!? あなたはともかく、彼女さんが風邪でも引いたらどうするの。 恋人の体調を守るために最善を尽くすくらいの甲斐性は持ちなさい。ただ腕枕をしたのはいい選択だったと思います。 ゆみさんへ 初めまして。手紙での挨拶になってしまってごめんなさい。 まず息子がこんなに美人な子と付き合っているということに驚きました。 今日は自分の家のようにリラックスしてもらえたようでとても嬉しいです。 生憎これからまた出かけなければならないのでお話はできないのですが、今度は起きているときにお会いできるといいですね。 こんな情けない息子ではありますが、これからもよろしくしてやってください。 』 ゆみ「」サアァァ 京太郎「ほんとやめてくれマジで……」ガクッ ゆみ「私のバカ! なんでせめてお母様が来たときに起きなかったんだ!」 京太郎「いいですよ、気にしないでください。俺から言っときますから」 ゆみ「しないわけがないだろう!? 何を言うんだ!? うあああぁぁ……」 京太郎「大丈夫ですって。こんなの書き残したのは最悪ですけど、書いたことには悪気とか悪意とかはないですから」 ゆみ「そういう問題じゃ――」グスッ 京太郎「ゆみさん」ギュッ ゆみ「ひゃう!?」 京太郎「またウチに来てください。そのときにもう一回やり直しましょう」 ゆみ「……うん」コクッ ─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─ 京太郎「ゆみさ~ん」ダキッ ゆみ「ん、どうした?」 京太郎「うーん」 ゆみ「?」 京太郎「あすなろ抱き、やっぱり前より喜んでもらえてないのかなあと」 ゆみ「そんなことはないさ。嬉しいよ」 京太郎「だって最初の頃みたいに慌ててくれなくなったじゃないですか」 ゆみ「それはまああれだけやられればな。1日1回くらいのペースでやっていただろう。どうしたんだいきなり?」 京太郎「いや、モモからこんなこと言われたんですよ」 --------------------------------------- 桃子『またあすなろ抱きやってたっすね』ゲッソリ 京太郎『最初にやれって言ったのお前だろ。というか人がいるところではそんなにやってないはずだけど……』 桃子『あれで隠れてやってるってのも驚きっす。それに最初に言ったのは私でも限度があるっすよ。……!』ピコーン 桃子『それにゆみ先輩も実はそんなに嬉しくないんじゃないっすか?』 京太郎『そんなはずないだろ?』 桃子『でも最近は最初の頃みたいに慌ててないじゃないっすか』 京太郎『それは確かに……』 桃子『慌ててないってことはドキドキしてないってことっす! つまり飽きられてるってことっすよ!』 京太郎『な、なんだってー!?』ガガーン 桃子『だから控えたほうがいいっす。わかったっすか?』 京太郎『そんなバカな……』 --------------------------------------- 京太郎「こんな感じで」 ゆみ(モモには後でお仕置きだな) ゆみ「飽き……というか慣れてきたのは確かだが、別に嬉しい事に変わりはないぞ? ギュッと君に包まれている感じがして落ち着く」 京太郎「でも最初の頃ほどの感動はないですよね?」 ゆみ「感動というと違和感があるが、まあそうだな。……だからと言ってやめるなんて言ったら嫌だぞ」キュッ 京太郎「もちろん、俺も嫌ですよ。ですがこのあたりで改めていく必要はあると思うんです!」グッ ゆみ「改める? どうするつもりなんだ?」 京太郎「俺たちが一番よくやるのは俺の上にゆみさんが座って、俺が後ろから抱きしめるって形じゃないですか」 ゆみ「うん、そうだな」 京太郎「ここで逆向きにしましょう」 ゆみ「逆か? ううん……」 京太郎「どうでしょう」 ゆみ「京太郎がしたいというのなら私も頑張るつもりだが、あまり長くやるのは難しいな」 京太郎「え? なんでですか?」 ゆみ「さすがに京太郎を私の上に乗せて長時間というのは……」 ゆみ「まあ、どうしてもというなら構わないが。強引なのも嫌じゃな……」ゴニョゴニョ 京太郎「ゆみさんにそんなことさせるわけないじゃないですか!? 逆にするのは位置じゃなくて向きだけですよ! 向きだけ!」 ゆみ「なんだ、向きだけか」シュン 京太郎(落ち込んでる……? まあいいか) 京太郎「そうですよ。お互い向き合ってギューッと」 ゆみ「ふむ、たまには違う形でやってみてもいいかもしれないな」 京太郎「じゃあさっそくやりましょう!」 京太郎「……あの、それとは別に後ろから抱きつくの今度やって貰えませんか? 俺がゆみさんに乗るとかはやりませんけど」 ゆみ「ああ、いいぞ」フフッ 京太郎「ど、どうぞ」 ゆみ「あ、ああ。……と」ギシッ 京太郎「大丈夫ですか?」 ゆみ「ちょっとバランスを崩しただけだよ。しかしこの体勢は少し恥ずかしいな」 京太郎「何がです?」 ゆみ「……君の両足を挟む形になるから足が開いてしまって、その、スカートが無防備にだな」カアァァ 京太郎「可愛い」ボソッ ゆみ「なぁっ!?」 京太郎「い、いや、すみませんつい!」 ゆみ「き、君はまったく」ウツムキ 京太郎「それでえっと、どうしましょう。止めますか? やっぱそれは良くないでしょうし」 ゆみ「いや、いいよ。どうせソファーじゃ向こうからは見えないし、私の気分的な問題だけだからな」 京太郎「そうですか。じゃあもうちょっと近くに」 ゆみ「ん……このくらいでいいかな」カオアゲル ゆみ「逆向きになってみたわけだがどうだきょうた……ろう……」 京太郎「はい、新鮮でいいです……ね……」 京太郎(やばいこれやばいやばいやばいって! すげー近い! ゆみさんの目に俺の顔が映ってるのが見えるし!?) ゆみ(まずい。これはまずい。こんな近くで見つめ合うなんて……瞳に吸い込まれそうだ)クラクラ 京太郎(……近くで見て改めて思うけどゆみさんって綺麗だな) 京太郎(まさにクールビューティーって感じだ。まあ顔は真っ赤だけど。……ドキドキしてくれてるんだな) ゆみ(……顔で好きになったわけではないが、やっぱりカッコいいな) ゆみ(思わず見入ってしまう。緊張して真っ赤な顔も様になるんだから卑怯だ) 京太郎(耐えられるかわからないけど、もう少しこのまま) ゆみ(……これはダメだ。見惚れてしまって動けそうにない)ポー …… … 京太郎(……もうダメだ!) 京太郎「ゆみさんっ」ギュッ ゆみ「ひゃぅ!? きょ、京太郎!?」アセアセ 京太郎「ごめんなさい、あのままだともう耐えられなくなりそうだったんです!」ギュー ゆみ「た、耐えるって今のこれはなんなんだ!?」 京太郎「耐えてるんです!」 ゆみ「そ、そうなのか? うぅ……」カアァァ 京太郎「……」ギュー ゆみ「あうぅ……」 京太郎(ゆみさんの耳、小さくて可愛いな) 京太郎「……」ウーン 京太郎「……愛してます」ボソッ ゆみ「~~~~~っ!!」カアァァ ゆみ(み、耳元でっ! 愛してるって! ば、バカじゃないのか!? バカじゃないのか!?) 京太郎「ゆみさん、大好きです」ボソッ ゆみ「ふあぁぁ……」ヘニャァ 京太郎「……」カプッ ゆみ「んぁっ……ってこのバカ! それは違うだろう!?」 京太郎「す、すみません。つい」 ゆみ「ついじゃない! それにさっきもついと言っていただろう。何度言うつもりなんだ」 京太郎「反省してます」 ゆみ「いまいち信用出来ないな」 京太郎「信用してください……俺、本気で反省してます」ボソッ ゆみ「~~~っ! だ、だからそういうところが信用出来ないんだ!」 京太郎「あれ、こっちも嫌でした?」 ゆみ「……嫌じゃない。続けてくれ」カアァァ 京太郎「はい」 智美「……モモー?」ワハハ 桃子「わ、私が悪いんすか!?」 智美「あの2人にそんなこと言ったらこうなるに決まってるだろー! 心配して見に来たらこれだー」 桃子「私が甘かったっす……」ガクッ 智美「反省するんだぞー」 智美「さて、後はどのタイミングで入ってやるかだなー」ワハハ 桃子「私がステルスして2人の目の前に突然現れるのはどうっすかね」 智美「それはちょっとやり過ぎ感があるなー」ワハハ 桃子「そうっすか?」 智美「こういうのは見られたか見られなかったかわからないくらいのほうが緊張感が出ていいんだ」 智美「見られたと知ったら開き直りそうだしなー」 桃子「勉強になるっす」 智美「中の様子は――」 チュッ フゥ……ンッ ユミサン…… キョウタロウ…… 智美「……これ以上ほっとくのはダメだ。今すぐ開けるぞー!!」 桃子「はいっす!」 ─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─ 智美(ワハハですが部室の空気が最悪です) ゆみ『むぅ、ここでこういうことをやるのはあまり気が進まないんだが』 京太郎『いいじゃないですか。2人しかいないんですから』 ゆみ『しかし』 京太郎『それにゆみさんも気持ちいいって言ってたじゃないですかー』 ゆみ『確かにそう言ったが……』 智美(……風紀的な意味で) 智美(気持ちいいって、あ、あの2人何してるんだ!?) 智美(……なんてなー。私は騙されないぞ。こういうのは早とちりだって相場が決まってるんだ)ワハハ 智美(まあそれはそれとして面白そうだからもう少し立ち聞きしてみるかー) 京太郎『俺が言い出したことですけど、ゆみさんがこんなにハマるとは思ってませんでした』 ゆみ『勘違いされたら困るが、決して私が進んでしたがってるわけではないぞ』 京太郎『そんなことないでしょう? この間俺がしたいって言わなかったときは先輩の方からしたいって言ってきたじゃないですか』 ゆみ『そ、それは……!』 京太郎『ほらほら、どうなんです?』 ゆみ『調子に乗るな』コツン 京太郎『痛っ』 ゆみ『……私が進んでしたがってはいないというのは嘘じゃない』 京太郎『え?』 ゆみ『私がしたがるのはそれ自体が好きというより君とだからだよ』 京太郎『ゆみさん……』 智美(……) 智美(いやいや、騙されないぞ。したいとかしたがってるとか言ってるだけだしなー)ワハハ 智美(……まずそうになったらドアを開けよう) 京太郎『でもなんで好きじゃないんですか? てっきりゆみさんも楽しんでたのかなって思ってたんですけど』 ゆみ『楽しんでないわけじゃないんだ。ただやるにしても適度じゃないと』 京太郎『そんなに激しくしましたっけ……?』 ゆみ『私にとってはな。……していると、なんというか変になってしまいそうで』 京太郎『そんなことないですって。ゆみさんはしっかりしてますから』 ゆみ『ううん、京太郎に弱いところを見せたくないんだ。だから……』 京太郎『確かにこれなら俺でもゆみさんに負けてませんからね』アハハ ゆみ『君の前ではいつでも頼れる先輩でいたいんだ』ムゥ 京太郎『何でもかんでも負けてたら俺の立つ瀬がありませんって』 ゆみ『それでもだ』 智美(変になる……いやいやいや。まさかさすがにそんな) 京太郎『んー、それじゃ止めます?』 ゆみ『っ!』ピクッ 京太郎『やっぱりやりたいんじゃないですか』アハハ ゆみ『う、うぅ』 京太郎『いいじゃないですか、そんな恥ずかしがらなくても』 ゆみ『仕方ないだろう。あまり見せたくないところを見せてしまうんだから』 京太郎『ゆみさんはあまり見せたくないかもしれませんが、俺にとっては見たいところです!』 ゆみ『まったく君は……』フフッ 京太郎『……それじゃしましょうか』 ゆみ『……うん』 智美(い、今からここで!? こ、これはさすがに止めないと) 智美(正直気まずいけど、いくらなんでも放ってはおけないしなー)ワハハ 智美「何してるんだ2人と……も?」 京太郎「あ、智美先輩」 ゆみ「蒲原か。どうしたんだ?」 智美「……ワハハー?」 智美「2人麻雀?」 京太郎「はい。最近ゆみさんとやってるんですよ」 ゆみ「あまりやったことはなかったがなかなか楽しいぞ」 智美「気持ちいいとか言ってたのは何だったんだー?」 京太郎「……? ああ、確かに言いましたけど、結構前に言ったことのような。いつからいたんですか?」 智美「ちょっと入るのを戸惑ったんだー」 京太郎「? まあそれは点数のことですよ。2人麻雀は萬子と字牌でやってるんで点数が高いんです」 ゆみ「そのままだとすぐ飛んでしまうからトビはなしにしているがな。結構気持ちいいぞ」 智美「激しくとか変になるとかはどういう意味なんだ?」 京太郎「激しくは頻度ですね。そんなにやってないと思うんですけど……」 ゆみ「十分多い。こんなルールで毎日やっていたら変な癖がついてしまうだろう」 京太郎「そんなことないですって」 ゆみ「それでもし弱くなったらと思うとな。そんなところ君に見せたくはない」 京太郎「あれ、そういう意味だったんですか? てっきりこれなら俺が勝ち越してるからだと思ってました」 ゆみ「……まあそれもある」プイッ 京太郎(可愛いなー) 智美「ってことは見せたくない姿っていうのはゆみちんが負けるところって意味だなー?」 ゆみ「ああ、勝負の結果とはいえ見せたいところではないさ」 京太郎「俺は見たいんですけどね。まだまだ滅多に見れませんし」 ゆみ「普通の麻雀で見れるようにしろ」コツン 智美「なるほどなー」ワハハー 京太郎「あはは」 智美「……紛らわしい!」 京太郎「うわっ」 ゆみ「い、いきなりなんだ」 智美「なんだじゃない! 最初は騙されないぞと身構えてて、聞いててまずそうだと思ったらこれかー!?」 京太郎「知りませんよ! 大体騙されるってどう騙されるんですか」 智美「気持ちいいだの変になるだの言ってたんだからわかるだろー?」 ゆみ「……! な、ば、バカかお前は!」カアァァ 智美「こっちの台詞だー!」ワハハー! …… … 京太郎「ふぅ。智美先輩、落ち着きましたか」ハァハァ 智美「あ、ああ。なんとかなー」ハァハァ ゆみ「勘違いされそうな言葉を使っていた私たちも悪かったよ」ハァハァ 智美「いや、勘違いした私が悪いんだ」 京太郎「ともかく誤解が解けてよかったです」 智美「そうだなー」ブルッ 智美「ところでちょっと寒くないかー? なんで窓が開いてるんだ」ピシャリ 京太郎「ああ、すみません。昼休みから開けててそのままにしてました」 智美「なんだ、昼休みもここにいたのかー」 ゆみ「いつもではないが、たまに来ているな」 智美「でも窓開けてたら寒くなかったか?」 京太郎「4限に体育があったんですけど、ちょっと汗臭くなったんで開けてたんですよ」 智美「なるほど。そのとき制汗剤も使ったなー」 京太郎「え? 使いましたけどわかります?」ギクッ 智美「私はモモを匂いで見つける女だぞー。柑橘系の匂いがするから何かと思ったんだ」クンクン ゆみ「そ、そんなにお前の鼻は効くのか」ギクッ 智美「ゆみちんからも同じ匂いがするなー。ゆみちんが貸したのかー?」クンクン ゆみ「あ、ああ。私も少し汗をかいたから使ったんだ」 智美「そうなのかー。冬に珍しいなと思ったんだ」 京太郎「……その、他には何か感じます?」 智美「いや、特にはわからないなー」クンクン 京太郎「そうですか」ホッ 智美「? それにしてもみんな遅いなー」 京太郎「ああ、今日は部活休みですから」 智美「えっ、私は知らないぞ」 京太郎「すみません伝えてなくて」 ゆみ「謝らなくていい。蒲原はもう部員じゃないんだから、あるかどうかは自分で先に確かめろ」 智美「ゆみちんは厳しいなー」ワハハ 京太郎「でも智美先輩鼻いいんですね。そこまでとは知りませんでした」 智美「犬にだって負けないぞー」ワハハ 京太郎「ほんと凄いですよ。ゆみさんのいうとおり窓開けたり制汗剤使ったりしなかったら危ないところでした」アハハ ゆみ「バ、バカ! 何言ってるんだ!!」 京太郎「えっ――あ、な、何でも、何でもないですから!!」ブンブン 智美(……) 智美(……) 智美(……) 智美(……………………え?) ─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─ ――加治木宅前―― ゆみ「ありがとう、京太郎」 京太郎「いえいえ。それじゃまた明日……あれ」 ポツポツ ゆみ「雨が降ってきたようだな」 京太郎「そうですね。でもこれくらいなら――」 ――ザァーザァー ゆみ「強くなってきたな」 京太郎「そ、そうですね。でもこれくらいなら――」 ゆみ「意味のない意地を張るな。夏じゃないんだから風邪引くぞ?」 京太郎「そうですけど傘がないので」 ゆみ「ここは私の家だぞ? 他人の家というわけじゃないんだ。傘くらい貸すさ」 京太郎「あ、そうですね。じゃあすみませんけど貸してください」 ゆみ「ああ、じゃあちょっと待って……」ピコーン ゆみ「そうだ。せっかくだしちょっと上がっていくか?」 京太郎「え、ゆみさんの家にですか?」 ゆみ「うん、私は京太郎の家に何度か行っているが、京太郎が来たことはなかっただろう?」 京太郎「いやそうですけど突然上がるわけには」 ゆみ「こんな雨なんだから上がる理由としては十分だろう」 京太郎「ええとその……」 ゆみ「もしかして私の両親と会うかもしれないと思って緊張しているのか?」 京太郎「はい、突然だったんで心の準備が」 ゆみ「私も君のお母さんと会うときは緊張するから気持ちはわかる」 京太郎「ですよね! だから今日は傘だけ借りて――」 ゆみ「だから覚悟を決めろ。いずれ会わなきゃいけないだろう?」 京太郎「べ、別に今じゃなくても」 ゆみ「……君が会うつもりがないというなら別に構わないんだが」 京太郎「」ホッ ゆみ「……つまり私と一緒になるつもりがないということだろうか」ウルッ 京太郎「ち、違いますよ! 気持ち的には高校卒業したらすぐにでも――って何言わせるんですか!?」 ゆみ「そうかっ。それならほら中に」パアァァ 京太郎「いやその……はい。わかりました」ガクッ ゆみ「うん、嬉しいよ」 京太郎(うぅ、ゆみさんのお母さんと対面か。緊張するなぁ)ドキドキ ゆみ「ただいまー」ガチャ 京太郎(最初が肝心だよな。会ったら丁寧に挨拶を……)ドキドキ ゆみ父「おかえり。遅かったな」 京太郎「」 ゆみ「部活が少し長引いたんだ。お父さんこそ早いじゃないか」 ゆみ父「ああ、今日は何か早く帰った方がいい予感がしてな。半休を取ったんだ。そちらの彼は?」 ゆみ「彼は私のこい――」 京太郎「後輩の須賀京太郎です! 初めまして!!」バッ 京太郎(ゆみさんいきなり何言おうとしてんの!? よく反応した俺! 自分で自分を褒めてやりたい!)ドッドッドッ 京太郎(というかいきなりラスボスかよ!? もっと段階踏ませてくれ!)ドッドッドッ ゆみ父「そうか。君が須賀君か。君のことはゆみからよく聞いているよ」 京太郎「そ、それはどうも」 ゆみ父「ゆみと付き合っているそうだな」 京太郎「」 ゆみ「うん……」モジモジ 京太郎(誤魔化した意味なかったー! ゆみさん喋ってたんだ!? でも可愛いなもう!) ゆみ父「それでなんで須賀君は来ているんだ?」 ゆみ「部活で遅くなったから送って貰ったんだ」 ゆみ父「そうか。それはすまなかった」 京太郎「い、いえ。とんでもないです」ブンブン 京太郎「それじゃあ俺はこれで……」 京太郎(よし、滅茶苦茶慌てたけど無難に対応できた! 少なくとも悪印象じゃないはずだ! よくやった俺!)グッ ゆみ「あれ、帰るのか? 上がっていくと言っていたじゃないか」 京太郎(ゆみさん勘弁して下さい!!) 京太郎「い、いやほら、家族水入らずなわけですし俺が上がるわけには……」 ゆみ「お父さんが単身赴任しているわけじゃあるまいし、水入らずなんて大袈裟なものじゃないさ。そんなこと気にするな」 ゆみ父「……そうだな。雨も降っているしせっかくだから上がっていくといい」 ゆみ父「色々と聞きたいこともあるしな」チラッ 京太郎(あ、これダメなやつだ) ゆみ「お父さんもこう言っているし、どうかな京太郎。もちろん無理にとは言わないが」シュン 京太郎「……その、じゃあ少しお邪魔させて貰います」 ゆみ「そうかっ」パアァァ 京太郎(ああ可愛いなあ)ポワー ゆみ父「……」ジッ 京太郎(ひっ!)ビクッ ゆみ「それじゃ京太郎。私の部屋はこっちだ」 京太郎「え? は、はい」 ゆみ父「……ゆみの部屋に行くのか?」 京太郎「い、いえその」 ゆみ「うん。この間京太郎の部屋に行ったから、今日は私の部屋を見てもらうと思って」 ゆみ父「須賀くんの部屋に行ったのか」ジロ 京太郎「あ、あはは……」 ゆみ父「ゆみの部屋に行ってしまうのではあまり話せないな。ついでだ。夕飯も食べていくといい。母さんに言っておく」 京太郎「い、いえ、そこまでご迷惑をかけるわけには!」 ゆみ「何か予定があるのか?」 京太郎「そういうわけじゃないですけど」 ゆみ「それなら遠慮するな。ありがとう、お父さん」 京太郎(胃がキリキリしてきた……) 京太郎「ここがゆみさんの部屋ですか」キョロキョロ ゆみ「あまりジロジロと見るな」 京太郎「うーん」 ゆみ「どうかしたか?」 京太郎「いえ、机と椅子しかないほどさっぱりした部屋か、これでもかってくらい少女趣味な部屋かのどちらかだと思ってたんですが」 ゆみ「なんなんだそのイメージは」 京太郎「見た目通りかギャップ萌えかです!」 ゆみ「何を言ってるんだ……それで、実際に見てどう思ったんだ?」 京太郎「普通ですね」 ゆみ「もしかして喧嘩を売られているのかな私は」 京太郎「そんなことないです。ゆみさんの部屋ってだけで感動してますよ!」 ゆみ「そ、そうか。そういえば普通って他の女子の部屋を知っているのか?」 京太郎「知ってますよー」フフン ゆみ「ほう」ゴッ 京太郎「し、知ってるっていっても咲ですよ。中学まではお互い行き来してたんで」ダラダラ ゆみ「ああ、そうか。そうだったな。そういえば宮永から聞いたことがあったよ」 京太郎「咲からですか? あ、メールとかよくしてるんでしたっけ」 ゆみ「うん、散々自慢された」 京太郎「自慢って。まああいつからしたらそんなつもりじゃないと思いますよ」アハハ ゆみ「……そうだな」ハァ 京太郎「?」 ゆみ「ちなみに宮永の部屋と比べて私の部屋はどうだ?」 京太郎「咲の部屋より綺麗ですね。あいつ読みかけの本とかよくその辺に置いてるんですよ」 ゆみ「宮永は本が好きなんだったな」 京太郎「はい。中学のときは暇さえあれば読んでましたよ」 ゆみ「ふむ、私も読書は好きだがさすがにそこまでではないな」 京太郎「あーでも少女漫画はゆみさんのほうが多いですよ」 ゆみ「それはあまり喜べない情報だな……宮永はたくさん持っていそうなイメージだったんだがそれより多いか」ガクッ 京太郎「咲も少女漫画読みますけど、メインは小説ですからね」 ゆみ「くっ」 京太郎「でも部屋に入って初めてゆみさんが少女漫画好きなんだなって実感しましたよ」 ゆみ「あまり男子とまともに話すことがなかったからな。少女漫画を読んで憧れたりしていたんだ」 京太郎「そうなんですか」ヘー ゆみ「……」ピト 京太郎「ゆ、ゆみさん?」ドキッ ゆみ「蒲原に散々からかわれたが、憧れが現実になったときは嬉しかったよ」 京太郎「え、えっとそれは……」カアァァ ゆみ「もちろん京太郎のことだ。まあ後輩ものはほとんどないんだが」クスクス ゆみ「それでも、あれくらい劇的な告白はそうないんじゃないかと思うよ」 京太郎「そう言われるとプレッシャーですけど、告白の後も少女漫画のイケメンに負けないように頑張りますよ」 ゆみ「無理せずにな」クスッ 京太郎「はい」ハハ ゆみ「もうこんな時間か。……そうだ、私はお母さんの手伝いに行ってくるよ」 京太郎「え?」 ゆみ「初めて君が来たんだからそのくらいしないとな」 京太郎「そしたら俺は……」 ゆみ「ここにいてもいいぞ? 大したものはないが」 京太郎「い、いや、それはやめときます!」 ゆみ「そうか? それじゃリビングで待っていてくれ」 京太郎「は、はい……」 ゆみ父「……」 京太郎「……」 京太郎(やっぱこうなるよな! 気まずい……) ゆみ父「須賀くん」 京太郎「は、はい!」ビクッ ゆみ父「君は中学までは別のところにいたと聞いたが」 京太郎「あ、はい。父の仕事の都合で卒業と同時にこっちのほうへ引っ越してきました」 ゆみ父「鶴賀に入ることにしたのは何故だ?」 京太郎「偏差値的にちょうど良かったんです」 ゆみ父「去年まで女子校だが、入ってから大変そうだとは思わなかったか?」 京太郎「……その辺りはよく考えずに偏差値と進学実績だけ見て選んでました」アハハ ゆみ父「ふむ、そうか」 京太郎(元女子校って響きに憧れたなんて言えねえ……!) ゆみ父「それと、須賀くんには聞きたいことがあったんだ」 京太郎「は、はい!」 ゆみ父「君は――」 ゆみ母「お父さん、須賀くん。ご飯できたわよ」 ゆみ父「む、そうか。須賀くん、話は食卓で」 京太郎「は、はい……」 京太郎(生殺しだ……)ゲッソリ ゆみ母「須賀くん、改めて初めまして。挨拶が遅れてごめんなさい」 京太郎「い、いえ。おれ……僕のほうこそ、ゆみさんのお母さんに挨拶に行かずにすみません」 ゆみ母「無理しないで俺でいいわよ」クスクス 京太郎「は、はい」アセアセ ゆみ母「それと、ゆみさんのお母さんなんて言いづらいでしょう? お母さんでいいわよ。ねえお父さん」 京太郎(ゆみさんのお母さん、お願いですからそっちに振らないで!) ゆみ父「いや、ゆみさんのと付けたほうが礼儀正しくていいと思うが」 京太郎(何にもしてないのに地雷踏んだよちくしょー!) ゆみ母「そう? 私はどっちでもいいと思うけど」 ゆみ「お母さん、京太郎をあまり困らせるな。京太郎、遠慮せずに食べてくれ」 ゆみ母「あら、作ったのほとんど私じゃない」 ゆみ「結構手伝ったじゃないか。変なこと言わないでくれ」 京太郎「あはは……」パクッ ゆみ母「お口にあうかしら?」 京太郎「はい、おいしいです」 ゆみ「京太郎、こっちも食べてみてくれ」 京太郎「は、はい」パクッ 京太郎「……」モグモグ ゆみ「ど、どうかな」 京太郎「おいしいですよ」 ゆみ「そ、そうか」パアァァ ゆみ「と、ところで最初に食べたとの後に食べたのではどっちがおいしかった?」 京太郎「え? ええと……」 ゆみ「……」ドキドキ 京太郎「あ、後に食べたほうがおいしかったですよ」 ゆみ「そうかっ! 実は後に食べた方を私が作ったんだ」パアァァ 京太郎「そ、そうだったんですか」アハハ… ゆみ母「ゆみ。そんなにプレッシャーかけたら、後に食べた方をおいしいっていうに決まってるじゃない」 ゆみ「私がどっちを作ったかなんて言ってないじゃないか」ムゥ ゆみ母「あなたのそういうところ、少しは知っていたつもりだったけど……」ハァ ゆみ「?」 ゆみ父「須賀くん、さっきの話の続きなんだが」 京太郎「は、はい!」 ゆみ父「本題に入る前に1つ聞きたい。君は昔から金髪なのか?」 京太郎「はい、昔からです。でも染めてるわけじゃなくこれは地毛なので生まれたときから……」 ゆみ父「ああいや、それは構わない。……そうか。地毛か」 京太郎「ええと、はい」 ゆみ父「……すまない。本題に入ろう。私が聞きたいのは麻雀の大会のときの話だ」 京太郎「大会ですか」 ゆみ父「ゆみから聞いたんだが、君は大会会場の大勢がいるところでゆみに告白したらしいな」 京太郎「は、はい」ダラダラ ゆみ「恥ずかしくて仕方がなかったけど、でも嬉しかったよ」 ゆみ父「ああ、まあそこまではいいんだ。情熱があって悪いことではないと思う」 京太郎「あ、ありがとうございます」 ゆみ父「ゆみから聞いたのはここまでだが、インターネットで長野の大会会場でのある噂を見たんだ」 京太郎「どんな噂ですか」 ゆみ父「金髪の学生が先輩に大声で告白した後全力で逃げ出したという噂だ」 京太郎「」 ゆみ父「挙句よく分からない条件を付け、最終的にその次の週の個人戦で」 ゆみ父最初に告白された女子の先輩の方から自分に告白させたとか」 京太郎「」 ゆみ父「……まさかとは思うのだが、これは君のことか?」 京太郎「え、ええとそれはですね……」チラッ ゆみ(すまない、フォローできない)フイッ 京太郎(ですよねー) 京太郎「すみませんでしたぁ!! もう2度といたしませんっ!!」ドゲザ ゆみ父「そこまでしなくてもいい、というか2度あっても困るんだが……やはり君とゆみのことだったか」フゥ ゆみ母「まあまあいいじゃない。ちょっとヘタレなところがあったほうが可愛らしくて」クスクス 京太郎「」グフッ ゆみ「きょ、京太郎! 2人ともいいじゃないか別に! 確かにあのときは本気で腹立ったけどそんなダメなところも好きなんだ!」 京太郎「」ガクッ ゆみ母「あなたがとどめ刺してどうするの」 ゆみ「え?」 ゆみ父「……」ハァ …… … 京太郎「今日はどうもありがとうございました」 ゆみ母「こちらこそ、ゆみを送ってくれてありがとう」 ゆみ父「また来なさい。今度は落ち着いて話そう」 京太郎「は、はい」ダラダラ ゆみ「じゃあ私は家の前まで見送るから」 ゆみ母「はいはい」クスクス ゆみ「今日は楽しかったよ」 京太郎「こちらこそ。大会のこと言われたときは死のうかと思いましたけど」ハハ… ゆみ「告白されたということは話していたが、まさか2人が知っているほど噂になっているとは……すまなかったな」 京太郎「まあ自分のやったことですし。後になってバレるよりよっぽど良かったですよ」 京太郎「それより告白のときのこと知っても優しい対応してくれたのが嬉しかったです」 京太郎「一人娘の彼氏とかどんな対応されるかと思ってましたよ」 ゆみ「私は男子と普通に話したことがほとんどなかったからな。2人とも心配してたんだよ。君には感謝していると思う」 京太郎(感謝ってことはないと思うなあ、特にゆみさんのお父さんの方は)アハハ… ゆみ「……いつまでも話していたら遅くなってしまうな。京太郎、また明日」 京太郎「はい。また明日」 ゆみ「そうだ、ちょっと待った」クイッ 京太郎「はい?」 ゆみ「今度来るのは2人のいないときにな」ヒソッ 京太郎「えっ」ドキッ ゆみ「フフッ、それじゃ今度こそまた明日」ガチャッ 京太郎「はい……」 京太郎(急にあんなこと……あーもう、ずるいって)カアァァ ─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─ ――卒業式後 部室―― ゆみ「私たちも卒業か……」 智美「早かったなー」ワハハ ゆみ「そうだな、特にこの1年は時間がすぎるのがあっという間だった」 智美「3年間色々あったけど、一番印象的なのはやっぱりあれだなー」 ゆみ「ああ、部員が揃って団体戦に出られたのは本当に嬉しかったよ」 智美「いやそれじゃな……って個人戦で全国に行けたことじゃないのか。ゆみちんらしいなー」 ゆみ「まあ個人戦は私が意地を張って出なかっただけだからな。蒲原こそこれじゃないならなんなんだ?」 智美「私のもゆみちんがよく知ってることだと思うぞ」 ゆみ「気になるだろう。もったいぶらずに言ってくれ」 智美「ゆみちんが本気で転校しようか悩んでるって相談してきたときだなー」 ゆみ「なっ!?」 智美「理由を聞いたときは、初めてゆみちんのことをバカなのかと思ったなー」ワハハ ゆみ「し、仕方ないだろう!?」 智美「女子校に来たのに男子が来るから転校したい、とか言い出すのが仕方ない状況なんてないと思うぞ」 ゆみ「女子校なんだからそう思う女子がいてもいいだろう別に!」 智美「何かあったとかならわかるけど、何を話したらいいかわからないってだけで転校したいってのはなー」ワハハ ゆみ「本気で悩んでいたんだ! なのにお前は笑い転げて……!」 智美「そもそも3年生と1年生じゃ話す機会があるかどうかもわからないのに」ワハハ ゆみ「実際あったじゃないか!」 智美「まあそうだなー」 ゆみ「だから私はおかしくない」 智美「その後輩と会ってから数ヶ月で付き合ってなければおかしくなかったなー」ワハハ ゆみ「うっ」ギクッ 智美「しかも付き合ったかと思ったら人目も憚らずイチャイチャイチャイチャ。あのときの言葉は何だったのかと思ったぞ」ワハハ ゆみ「人のいるところでは控えていたはずだ!」 智美「あれで控えてたのか……まあ、人がいないところではしてたって自覚はあるんじゃないか」 ゆみ「ぐっ」ギクッ 智美「男子と話せないなんて言ってた親友がすぐバカップルになるとか人間不信になりそうだ」ワハハ ゆみ「べ、別にバカップルじゃない。それに京太郎じゃないと上手く話せな……」ゴニョゴニョ 智美「まだ言うかこいつは。お、京太郎たちが来たぞー」 京太郎「ゆみさん、智美先輩。卒業おめでとうございます!」 桃子「2人ともおめでとうっす!」 佳織「加治木先輩、智美ちゃん、おめでとうございます。寂しくなりますね」 睦月「そ、卒業おめで、とうございます」グスッ ゆみ「みんなありがとう。津山はそんなに泣くな」ポンポン 智美「もうすぐ新入生が入るんだから、頼れる先輩にならないとダメだぞー」ワハハ 睦月「わ、わかってますけど」グスッ 佳織「今日くらいは仕方ないですよ。わ、私だって」グスッ 京太郎「2人とも湿っぽくするのは止めようって言ったじゃないですか! もっと明るい話題にしましょう!」 桃子「そうっすよ! とりあえず智美先輩の進路が決まってよかったっす」 智美「私の実力なら心配なんていらなかったけどなー」ワハハ ゆみ「お前そう言ってギリギリだったじゃないか」 智美「勝てば官軍だー」ワハハ 佳織「もう、なにそれ」アハハ 睦月「ぐすっ……智美先輩も大学で麻雀を続けるんですか?」 智美「そのつもりだぞ。ゆみちんとは敵同士だなー」ワハハ ゆみ「ああ、負けないぞ」 智美「ゆみちんは長野一の強豪行くんだから負けたら赤っ恥だなー」ワハハ ゆみ「いちいち話の腰を折るな」ハァ 桃子「私も2年後はゆみ先輩の大学に行くっすよ! 全国制覇を目指すっす!」 睦月「わ、私も目指します!」 佳織「私は――」 智美「私のところには来ないんだな」ワハハ… 佳織「わ、私は智美ちゃんのところに行くよ!」 智美「無理しなくていいんだぞ」ワハハ… 佳織「別に無理なんて……」 智美「いやまあ麻雀やるにしても佳織の学力的にも、あえて私の大学目指す理由なんてないしなー」ワハハ 佳織「それ言っちゃうんだ……」 桃子「春からは2人とも女子大生っすかー」 睦月「大人の女って感じがするね」 京太郎「大人の女……」ウーン 桃子「京太郎、アウトっす」 京太郎「何でだよ!?」 智美「目つきがアウトだったなー」 佳織「京太郎くん……」 京太郎「響きだけでも惹かれるんですよ! しょうがないじゃないですか!」 ゆみ「……それは私があまり年上らしくないからかな」シュン 京太郎「ち、違いますよ。ゆみさんが女子大生になるところ想像してたんです」 ゆみ「ん、そうか」パアァァ 京太郎「はいっ」 桃子「唐突なイチャつきやめてくれないっすかね」 睦月「鮮やかだったね」 智美「最後までこんな感じだったなー」ワハハ 佳織「来年はもう見られないと思うと少し残念かな」 ゆみ「私たちをなんだと思ってるんだ!」 京太郎「まるでいつもいちゃついてるみたいに!」 一同「……そのものじゃない」 京太郎・ゆみ「そんなはずは」 一同「それ!」 桃子「バカップルは置いといて、先輩たちの送別会もちゃんとやりたいっすね」 睦月「そうだね、盛大にやろう」 智美「それはちょっと恥ずかしいな」ワハハ 京太郎「今日はクラスで集まりますよね」 ゆみ「そうだな。さすがに今日はそっちに出る予定だ」 京太郎「それじゃ土曜日にやりましょう。精一杯送り出しますよ!」 智美「寄せ書きとか憧れるなー」ワハハ ゆみ「この人数で寄せ書きというのも難しいだろう」 智美「ちょうど四分割すればいいから書きやすいんじゃないか?」 ゆみ「そういうものかな。私も書いたことがないからよくわからないが」 睦月「その、出来ればそういう話は控えていただけると……」 智美「おお、ネタ潰ししてたら悪かったなー」ワハハ ゆみ「すまない、あまり気にしないでくれ」 睦月「い、いえ……」アハハ 京太郎(ハードル上がったな)ヒソヒソ 桃子(わざとかって感じっすね)ヒソヒソ 佳織(土曜日までに何か考えないと……)ヒソヒソ 京太郎「そうだ、せっかくだし記念写真でも撮りましょうか」 桃子「いいっすね。でもカメラはあるんすか? まあ携帯でもいいっすけど」 京太郎「携帯にセルフタイマーとかあるのか?」 桃子「結構あるっすよ。というか大体あるんじゃないすか?」 京太郎「マジかよ。全然知らなかった」 桃子「機械に疎いっすねー。それでも男の子っすか!」 京太郎「携帯は大抵女子のが詳しいだろ」 智美「盛り上がってるとこ悪いけどちゃんとカメラはあるぞー」ワハハ 佳織「用意いいね。卒業式だから持ってきたの?」 智美「いや、部費で買ったカメラだ」ワハハ 睦月「部費で!?」 ゆみ「いつの間に、というかどう誤魔化して買ったんだ」 智美「全国大会出場をアピールして押し通したんだ。いい順位なのに写真も残せないなんて恥だとか何とか」 京太郎「さっぱりわからないですけどさすが智美先輩!」 智美「もっと褒めるといいぞー」ワハハ 佳織「智美ちゃん、部費で買ったなら私たちに言っておこうよ」 智美「……ワハハー」 ゆみ「私たちまで誤魔化すな」ハァ 京太郎「それじゃタイマーセットしますよ。10秒です」 ゆみ「ああ」 京太郎「行きまーす」 ピッピッピッピピピピピ……カシャッ 智美「どんな感じかなー」 睦月「うん、よく撮れてますね」 桃子「このカメラの最初の写真が卒業式の集合写真っすか。もっとたくさん撮りたかったっすよー!」 智美「買うだけ買って忘れちゃってなー。まあ今日でデータがいっぱいになるくらい撮ろうじゃないか」ワハハ 佳織「いっぱいって何枚くらい撮れるの?」 智美「確か千枚ちょっとかなー」ワハハ 佳織「ちょっと多いよ!?」 智美「私たちが打ち上げに行くまで撮ってればきっと撮れるだろー」 京太郎「1分間に1枚どころじゃないんですが」 智美「まあなんとかなるさ」ワハハ ゆみ「いい時間だし、そろそろ私と蒲原は昼ご飯を食べに行こうと思うがお前たちはどうする?」 桃子「行くに決まってるじゃないっすか!」 佳織「もちろん行きますよ」 睦月「なかなか言われないのでこっちから切り出そうかなと思ってました」 ゆみ「そうか。それじゃあちょっと先に行っていてくれ。ちょっと京太郎と蒲原に用があるんだ」 京太郎「?」 睦月「時間かかります?」 ゆみ「いや、すぐに終わるよ。少しだけ待っててくれ」 桃子「了解っす」 佳織「わかりました」 京太郎「用ってなんですか?」 蒲原「私も残ってていいのか?」 ゆみ「あー、いやその、だな」チラッ 蒲原「……あー。京太郎とツーショット撮りたいんだな」ワハハ 京太郎「えっ?」 ゆみ「……」コクッ 智美「そんな顔真っ赤にするくらいなら、わざわざかしこまらなくてもこの後流れで撮ればいいじゃないか」 ゆみ「……部室にはもう来ないだろうから、京太郎と思い出を残して置きたいんだ」カアァァ 京太郎「ゆみさん……」ジーン 智美(聞いた私が馬鹿だったなー)ワハハ… 智美「待たせると悪いから速く撮るぞー」 ゆみ「あ、ああ」 京太郎「は、はい」 ゆみ「……」ドキドキ 京太郎「……」ドキドキ 智美「ほらほら、さっさとくっつけー」イラッ 京太郎「は、はい!」グイッ ゆみ「きゃっ」 智美「」パシャ 京太郎「どうですか?」 智美「こんな感じだなー」 京太郎「いいんじゃないですか?」 智美「それじゃ行こうかー……ゆみちん?」 ゆみ「……その、もう一枚だけ」 智美「え?」 …… … ――10分経過―― 智美「も、もうそろそろいいだろー?」グッタリ 京太郎「睦月部長たちをこれ以上待たせちゃ悪いですし……」 ゆみ「そ、そうだな。じゃあこれが本当に最後で」アハハ 智美「本当に最後だぞー」 ゆみ「もちろんだ」 智美「それじゃ撮るぞ」 ゆみ「ああ」クイッ 京太郎「ゆみさん?」オットト ゆみ「」チュッ 智美「」パシャ 京太郎「――な、ゆ、ゆみさん!?」カアァァ ゆみ「最後だし、ほっぺくらいいいだろう」カアァァ 智美「どんどん大胆になってたけど、こっちの身にもなって欲しいなー」ワハハ… 京太郎「なんというか慣れてきてましたね」アハハ… ゆみ「そ、そんなことはない。ほら行こう――」ガラッ 桃子・睦月・佳織「あ」 ゆみ「え?」 一同「……」 ゆみ「お、お前たち見てたのか!?」 桃子「いやー遅かったから気になったんすよ」アハハ… 睦月「見たら写真撮っててマズイかなーと思ったんですけど」アハハ… 佳織「好奇心に負けてズルズルと」アハハ… ゆみ「……こ、後輩にあんなところを見られるなんて」ガクッ 智美「気にするなゆみちん。正直今さらだから」ワハハ ゆみ「そ、そんなはずは……」チラッ 桃子「いやー」フイッ 睦月「その」フイッ 佳織「あ、あはは」フイッ ゆみ「くっ……」ガクッ 京太郎「ゆみさん。大丈夫です、俺がいますから」 ゆみ「京太郎ぉ」ギュッ 一同(こんなことしてるのになんでそんなはずはなんて言えたんだろう……) ………… ……… …… … ――加治木宅前―― ゆみ「まさかあんな風に思われていたとは……」 京太郎「意外でしたね」 ゆみ「知られていたのならあまり隠さなくてもよかったのかな」 京太郎「そうかもしれませんね。まあどっちにしろこれからは隠さなくてもいいじゃないですか」 ゆみ「そうだな。……家についてしまったか」 京太郎「はい。家でよかったんですか?」 ゆみ「ああ、どちらにしろ一度着替えなきゃいけないからな」 京太郎「あ、そうですね」 ゆみ「……こうやって君に送られるのも最後か」 京太郎「……はい」 ゆみ「今まではなんとなくしていたのに、出来なくなると思うと寂しいな」 京太郎「会えなくなるわけじゃないですし、すぐ慣れますよ。まあそれも寂しいですけど」 ゆみ「……そうだ。京太郎、第2ボタンをくれないか?」 京太郎「俺は卒業生じゃないですけど……」 ゆみ「いいじゃないか。私は卒業してしまうんだし」 京太郎「それもそうですね。よっと……」 ゆみ「ああ、いいよ。私が取る」モゾモゾ ゆみ「……ん、取れた」 京太郎「な、なんか恥ずかしいですね」 ゆみ「そうだな」フフッ ゆみ「京太郎、私の第2ボタンも貰ってくれ」 京太郎「え? でも女子のは縫い付けてあるじゃないですか」 ゆみ「ハサミくらいあるよ。ほらこれで」スッ 京太郎「そ、それじゃあ失礼します」 ゆみ「ああ」 京太郎「っと……」チョキン ゆみ「大切にしてくれよ」 京太郎「当然です。ゆみさんこそ俺のボタン大切にしてくださいね」 ゆみ「もちろんだ」 京太郎「でも珍しいですね。ゆみさんは写真もボタンも好きそうですけど、自分からはあんまり言い出さないのに」 ゆみ「……卒業が近くなるともっとああしておけばよかった、こうしておけばよかったと思うんだ」 ゆみ「今から戻ることは出来ないから、せめて写真とかボタンとか、形になるものを思い出として残しておきたいと思って」 ゆみ「……自分から言うのは少し恥ずかしかったけどな」カアァァ 京太郎「ゆみさん……」 ゆみ「悔いはあるけれど、京太郎と写真も撮れたし、ボタンも貰えた。これで大学生活も頑張れそうだ」フフッ 京太郎「……俺、毎日電話しますよ!」 ゆみ「ああ、ありがとう。君も高校生活を頑張れよ。2年間は長いようで短いから」 京太郎「はい。……ゆみさん、1年間ありがとうございました」 ゆみ「私のほうこそありがとう。まあ、ここから離れるわけじゃないんだがな」フフッ 京太郎「一応高校生活のけじめです」 ゆみ「そうか。……そろそろ準備しないと。またな、京太郎」 京太郎「はい。また」 ――大会会場―― 桃子「あ、ゆみ先輩! 今週も来てくれたんすか!?」 ゆみ「ああ、当たり前だろう? まあ少し遅れてしまったが」 桃子「京太郎の個人戦開始には間に合わなかったっすねー」ニヤニヤ ゆみ「べ、別にそういうわけでは」 桃子「そんな無理しなくていいっすよ」ニヤニヤ ゆみ「まあなんだ。電話はしたしな。間に合わなくて残念じゃないといえば嘘になるが……」 桃子「そ、そうっすか」エー 智美「ゆみちんの惚気けっぷりをなめちゃダメだぞ―」ワハハ 佳織「智美ちゃんも来てくれたんだ」 智美「もちろんだ」ワハハ 睦月「お二人ともありがとうございます」 ゆみ「気にするな。後輩の晴れ舞台を見るために来たんだから」 智美「団体戦の雪辱を果たすんだー!」ワハハ ゆみ「雪辱といっても4位だし十分立派じゃないか」 智美「ダメだぞゆみちんそんなこと言っちゃ。自分がそう言われて納得できたかー?」 ゆみ「む」 桃子「そうっす! 私は来年も4位に甘んじるつもりなんか微塵もないっすよ!」 佳織「私がもうちょっと振り込まなければなあ……」 桃子「や、天江宮永を相手に役満2回も和了ったかおりん先輩を責める人なんていないっすからね?」 佳織「でも……」 睦月「あの2人で対抗しあってたとはいっても、十分凄いことだよ? ほんとに」 ゆみ「妹尾は相変わらずのようだな」 智美「これでこそ佳織ってかんじだなー。でも個人戦まで引きずっちゃダメだぞ」ワハハ 佳織「それは大丈夫。みんなに余計な心配かけたくないから」 睦月「うん。その意気」 ゆみ「それでその……」 桃子「なんすか?」ニヤニヤ ゆみ「きょ、京太郎の様子はどうだろうか」 桃子「ようやく本題に入ったっすね!」 ゆみ「ほ、本題とはなんだ。私は別にただ後輩の応援に来ただけで」 智美「来るときに途中経過出てたと思うけど見なかったのかー?」ワハハ ゆみ「……怖いじゃないか」ボソッ 智美「ゆみちんは可愛いなー」ワハハ 睦月「京太郎くんは……あ、ちょうど映るみたいですね。見てください」フフッ ゆみ「あ、ああ」ビクビク アナ『ついにオーラスを迎えたこの卓。現在総合1位の下家選手と総合3位の須賀選手がトップを争っています』 藤田『下家の総合1位はほぼ確定だが、須賀は4位との差が小さい。須賀はなんとしても勝ちたいだろうな』 アナ『その須賀選手はなかなかの好配牌。他家と比べても手が速そうです』 藤田『打点も悪くない。1位も十分狙えそうだな』 ゆみ「全国圏内じゃないか!」 睦月「はい。京太郎くん頑張ってますよ」 佳織「凄いですよね。後はここで勝つだけです」 桃子「私たちも負けていられないっすね!」 智美「ちょっと気が早いぞ。まずは応援だ」 ゆみ「頑張れ、京太郎くん……!」ギュッ ………… ……… …… … --------------------------------------- 京太郎「ツモ! 3000・6000!」 アナ『試合終了ーーー! オーラスで須賀選手が下家選手を逆転! トップで終了です!』 京太郎「~っしゃあ!!」 下家「あー負けちまったか。須賀、おめでとう」 京太郎「ついにリベンジが果たせました」アハハ 下家「総合順位じゃまだ俺が勝ってんだからな。借りは全国で返す」 京太郎「俺も今度は総合順位でも勝ってみせます!」 下家「言うようになったじゃねえか。それじゃ全国でな」 京太郎「はい!」 スタスタスタ… 京太郎(……試合前は来てなかったけど、ゆみさん来てくれてるかな) 京太郎(多分全国も決まっただろうし、ちゃんと言わないとな) --------------------------------------- 桃子「全国行きほぼ決まりっすね!」 佳織「京太郎くん凄い!」 睦月「誰よりも頑張ってたもんね。報われてよかった」 智美「卒業してからも頑張ったんだなー」 ゆみ「京太郎くん……!」ウルッ 智美「ん? ……ゆみちん、京太郎のところへ行って来たらどうだー?」ワハハ ゆみ「い、いやしかし卒業した私が今の部員より先に行くわけには……」ウルッ 睦月「気にしないでください。ほら、私たちは私たちの決勝の準備とかありますし」 佳織「それに私たちはおめでとうっていう機会はいくらでもありますから」 ゆみ「でも……」グスッ 桃子「というかあれっすよ。決勝を控えてる私たちの前で惚気けられるのもちょっと」 ゆみ「だ、誰がそんなこと」グスッ 智美「まあ既に泣いてる時点で説得力はないなー」ワハハ ゆみ「うっ」 桃子「ほら、行ってくるっす。京太郎も待ってるっすよ」 ゆみ「……わかった。ありがとうみんな」タッタッタッ 智美「まったく、付き合ってるんだからあんなに躊躇しなくていいのになー」ワハハ 佳織「大学生になってもやきもきさせられるところは変わらないね」フフッ 桃子「ゆみ先輩らしいっすよ」 睦月「真面目だよね。私たちのことなんて気にしなくていいのに」 智美「まあ本当に気にしないで目の前でやられてもそれはそれで困るけどなー」 睦月「それはそうですね」クスッ 睦月「……さあみんな、ここからは切り替えて、京太郎くんに負けないように私たちも決勝がんばろう!」 一同「おー!」 京太郎「よし! 全国決まってた! 結果見ると安心するなー」ホッ 京太郎「次は控室で応援を――」 ゆみ「京太郎!」タッタッタッ 京太郎「ゆみさん!? 来てくれてたんですか」 ゆみ「もちろんだ……まあ、少し遅れてしまったが」 京太郎「それでもすげー嬉しいです!」 ゆみ「ん、そうか。京太郎、全国出場おめでとう」 京太郎「ありがとうございます! ……その、ゆみさん、先に謝っときます。ごめんなさい」 ゆみ「うん? どうした?」 京太郎「……ゆみ」 ゆみ「!? な、なんだどうしたいきなり!?」ドキッ 京太郎「俺、全国に出られたら言おうと決めてたことがあるんだ」 ゆみ「う、は、はい」ドキドキ 京太郎「俺もプロを目指すよ。ゆみの隣にずっといられるように。ゆみと同じ大学に行って」 ゆみ「!」 京太郎「今まではその、自分に自信がなくてそんなこと言えなかったけど、やっとゆみと同じだけの結果を残せたから」 京太郎「ずっとゆみと同じ道を歩いて行きたいんだ。……今の俺はまだ後ろにいるけど、いつか追いつきたいし、追い越したい」 京太郎「だから、これからもずっと一緒に頑張りたい! ダメだって言っても追いかけるけど、出来れば認めてほしい」 ゆみ「……敬語を使わなくなったのも、これでようやく私と同じところに立てたとか思ったからか?」フフッ 京太郎「うっ。は、はい。その、嫌でしたらもちろんやめますので……」 ゆみ「もっと自信を持って欲しいな。呼び捨てでいいなんて前にも言ったろう?」 京太郎「そ、そうで……だったっけか」 ゆみ「まあその、驚いたし多分顔も真っ赤になっていると思うが、直に慣れるから気にしないでくれ」カアァァ 京太郎「わかった」 ゆみ「それでプロを目指すんだな。そんなこと、私が認めるも認めないもないだろう」 京太郎「いやでも……」 ゆみ「うん、まあ言いたいことはわかるよ。……実を言うと、私も想像していたんだ」 京太郎「え?」 ゆみ「京太郎もプロを目指してくれたらいいなって私も思っていたんだ」 ゆみ「学生の間だけじゃなくて、大人になってからもずっと同じ道を歩いていけたらって」 京太郎「ほ、本当に!?」 ゆみ「ああ、だから君がそう言ってくれて、おんなじことを考えていたんだなって思うと嬉しかったよ」フフッ 京太郎「……ゆみ!」ガバッ ゆみ「ひゃぅ!? な、何を!?」ワタワタ 京太郎「俺頑張るから! とりあえず全国で入賞できるように応援しててくれ!」ギューッ ゆみ「……うん、応援も出来るだけ行くようにするよ」ギュッ 京太郎「いや、それはお金がかかるでしょうから無理しなくても」 ゆみ「なんでそこだけ現実的になるんだ」ハァ 京太郎「抱きしめたらちょっと冷静になって来たんですけど、そしたら恥ずかしくなってきたので少し現実逃避を」 ゆみ「今さら遅い。だからもう少しこのままでいてくれ」 京太郎「……いや、でもいつものパターンだとこの辺りで」 ゆみ「蒲原たちか? 決勝を控えてるんだからいくらなんでも――」チラッ 智美・桃子・睦月・佳織「あ」 京太郎・ゆみ「え」 一同「…………」 ゆみ「お、お前たちもうすぐ決勝だろう!? なんでここにいるんだ!」 桃子「いやーこんなの放置して行ったら麻雀に身が入らないっすよ」 睦月「むしろ見たほうが落ち着くかなと……」 佳織「まあその、そういうわけで……」 智美「面白そうだったからなー」ワハハ ゆみ「くっ、何故私はもっと我慢できなかったんだ!」 京太郎「お互いもっと忍耐力付けないとダメだな」アハハ… 桃子「いやいいんすよ。そろそろ見るのが楽しくなってきたっす」 ゆみ「うるさい!」 睦月「藪蛇みたいだし、そろそろ会場に行こうか」アハハ 佳織「そうだね。遅れたら大変」 桃子「京太郎、先輩たち、応援頼んだっすよー!」 京太郎「知るかー!」 智美「ダメだぞーちゃんと応援しないと」ワハハ ゆみ「おまえが言うな!」 智美「それじゃ控室に戻ろうか。先に行ってるぞー」ワハハ ゆみ「はぁ、まったく何度目だこのパターンは」 京太郎「ごめんな。ゆみを見ると我慢が出来なくて」 ゆみ「それは私も一緒だ。もっと耐えられればいいんだが」 京太郎「それじゃ2人とも反省しないと」アハハ ゆみ「ああ、そうだな」フフッ 京太郎「そうだ。麻雀部のほうはどう?」 ゆみ「夏大のレギュラーになりたかったんだが、さすがに甘くはなかったよ。美穂子に先を越されてしまった」 京太郎「福路さん1年でレギュラーになったのか……」 ゆみ「ああ、風越のキャプテンは伊達じゃないな。まあ個人戦でいい成績が残せるように頑張るよ」 京太郎「大学はやっぱり厳しいのか?」 ゆみ「そうだな。挫けそうなこともあるよ。でも……」 京太郎「でも?」 ゆみ「京太郎もプロを目指すと言ってくれたから、もうそんなことは言ってられないな。情けない姿は見せられない」 京太郎「そんな気にしなくていいのに。そういうときは俺が支えるよ」 ゆみ「ありがとう。でもこれは私の意地の問題だから」 京太郎「そっか、なら頑張れ。俺もすぐ追いつけるように頑張るし、つらかったらいつでも頼ってくれ」 ゆみ「ああ、ありがとう。……じゃあ頑張れるおまじないでもしてもらおうかな」 京太郎「え?」 ゆみ「ん」メヲツブル 京太郎「……もう」チュッ ゆみ「うん、これで次に君に会うまで頑張れそうだ」フフッ 京太郎「そんな何ヶ月も会わないわけじゃないのに」 ゆみ「会うごとにしてもらったほうがおまじないも強力になるだろう」 京太郎「そんなもんなのか」 ゆみ「そういうものだよ。プロになれるように頑張るんだからいくらあっても足りないさ」 京太郎「そっか。俺も頑張らないとな」 ゆみ「ああ、一緒に頑張ろう」ニコッ ─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─◆─ えり『グランドマスター杯いよいよ開幕です!』 咏『小鍛治プロはいつこのタイトル失冠するんだろうねー。知らんけど』 えり『それは本当にわかりませんねー』 えり『小鍛治プロを記念して作られたタイトルですから別の人がならないとってのもあると思うんですけど』 咏『小鍛治プロが無理矢理出場させられて当然のように初代王者になったけど、正直何考えてんだろうって思ったよ』 えり『3年ほど前からどちらか一方が小鍛治プロの点を上回れば勝利という変則的なタッグ戦になりましたけど』 えり『小鍛治プロは依然として圧勝してますね』 咏『タッグがアナウンサーだからって、小鍛治プロにとっちゃその程度ハンデにもならないさ』 えり『タッグ戦だと勝手も違いますしねー』 えり『しかぁし! 今回の相手は麻雀界きってのおしどり夫婦! タッグ戦はお手の物!』 えり『小鍛治プロはこの2人も今まで同様退けるのか!?』 咏『……麻雀はともかく、盤外戦術的には敗北するかもねぃ。知らんけど』 京太郎「」タン ゆみ「」タン 恒子「」タン 健夜「」タン 京太郎「」チラッ ゆみ「」チラッ 京太郎「」タン ゆみ「ロン。3900」 健夜「ちょっと審判! またあの2人目を合わせてたよ!? イカサマじゃないの!?」ガタッ 審判「そ、そう言われましても本当に目を合わせただけですので……」 恒子「諦めなすこやん。そういう夫婦ってのはいるもんだよ」 健夜「卓上の麻雀牌がわかるならともかく、目を合わせると相手の欲しい牌だけがわかるなんてありえないよ!」 恒子(すこやん、そっちのほうがありえないからね) 京太郎「すみません、小鍛治プロ。でも本当に合図出したりとかはしてないんです」 ゆみ「そうなんです。目を合わせたるとなんとなくわかるってだけで確信を持ってるわけでは……」 健夜「合図なんて出してないのはわかってるけど認めたくないの!」 京太郎・ゆみ「?」 恒子(あー若さって怖いなー) 健夜「……再開しようか。中断させちゃってごめんね。でも絶対負けないから!」 京太郎・ゆみ「はい、私たちも負けません!」 ……… …… … 京太郎「あーやっぱ強いな小鍛治プロ」 ゆみ「そうだな。2人がかりでも全然届かなかった」 京太郎「うん、でも何も出来ないわけじゃなかった」 ゆみ「私たちも少しは成長してるのかな」 京太郎「きっとそうだよ。もっと強くなって2人で一番を目指そう」 ゆみ「ああ、これからも一緒にな」 イチャイチャ 健夜「……なんだろう。勝ったのに全然喜べない」 恒子「すこやん! 勝者は勝者らしくしてないとダメだよ!」 健夜「わかってるんだけど……」 イチャイチャ 健夜「……つらい」ウゥ… 恒子(開始前にやってたらすこやん負けてたかも……)アハハ 健夜「宮永さん、ちょっと聞いてよ!」シクシク 咲「どうしたんですか急に」 健夜「それがさあ……あ、生一つ」 咲「私はウーロンハイで。それでなんですか?」 健夜「今日グランドマスター杯ってあったの知ってる?」 咲「はい、もちろん。相変わらず圧勝でしたね」 健夜「まあ結果的にはそうなんだけど……」 咲「あ、もしかして途中でサマとか言ってたやつですか? あれは違いますよ」 健夜「うん、それはわかってるの。わかってるんだけど認めるのが辛くて……」 咲「確かに牌が見えてるならともかく、目を合わせたらお互いの欲しい牌がわかるなんて信じられないですよね」 健夜「そう、そうなんだよ! 独り身にはそんな通じあってるところ見せられるのはキツイんだよ!」ゴクゴク 咲「……そうですね」ピキッ 健夜「それで対局の後、あの2人何してたと思う?」 咲「どうかしたんですか?」 健夜「負けたのにすっごく爽やかなんだよ! 少しは成長したかなとかもっと頑張って2人で1番目指そうとか!」 健夜「ちょっと私には厳しいものがあって」 咲「……へぇ」ピキッ 健夜「麻雀界きってのおしどり夫婦とは聞いてたけどあんなに仲良かったんだね……見てたら眩しくてもう……」 咲「……」ブチッ 健夜「?」 咲「」ゴッゴッゴッゴッ 咲「」ダンッ 健夜「み、宮永さん……? い、一気飲みはよくないよ……?」 咲「小鍛治プロ」 健夜「は、はい」ビクッ 咲「私が京ちゃ……須賀プロと幼なじみだったのって知ってます?」 健夜「う、うん。だからこそ今日呼んで……」 咲「私は京ちゃんのこと好きだったんですよ。いや正確に言うと今も好きなんです」 健夜「えっ」タラー 咲「それに気づいたのは京ちゃんと加治木さんが付き合い始めたときからだったので、もう手遅れだったんですけど」 健夜「そ、そうなんだ」ダラダラ 咲「それで京ちゃんとは幼なじみの関係のままで、まあ仲はいいので良くメールしてるんです」 咲「昔みたいに毎日とは行きませんけど、2日に1回くらい」 健夜「な、仲いいんだね」ダラダラ 咲「メールの中身は大抵なんてことない日常のやりとりなんです」 咲「でもだからこそ、加治木さんとの惚気話が送られてくるんですよ。何度も何度も何度も何度も」 健夜「へ、へぇ……」ダラダラ 咲「小鍛治プロ」 健夜「は、はい!」ビクッ 咲「私が何年間この生活をしていると思います?」 健夜「い、いえそこまでは……」ダラダラ 咲「わからないですよね?」 咲「その私に向かってたった1日、それも対局と前後含めた数時間一緒にいただけで……小鍛治プロはなんて言いましたっけ?」 健夜「い、いえその……す、少し辛かったかなあと」ア、アハハ… 咲「……はい、別にそれでいいんですよ。気持ちはわかりますから。もっと素直な気持ちを言ってください」 健夜「み、宮永さん……! ありが――」 咲「代わりに、私の話も聞いてくださいね」ニコッ 健夜「」 ………… ……… …… … ――翌日―― 恒子「すこやん、昨日はあの後宮永プロ呼び出したんだって? ダメだよ愚痴言いたいからって若い子連れ回しちゃ……すこやん?」 健夜「ゴメンナサイ。 アノクライデ クルシイ ナンテイッテ ゴメンナサイ。ジブンガ ワルイノニ モテキガコナイ ナンテイッテ ゴメンナサイ」ブツブツ 恒子「す、すこやん? どうしたの?」 健夜「あ、こーこちゃん。もう私結婚できなくて辛いなんていわないよ」 恒子「ど、どうしたの!? 昨日何があったの!?」 健夜「私なんてまだまだだったんだね。私ごときが幸せなカップルを見て辛くなるなんて甘かったよ……」 恒子「よくわからないけどすこやんが結婚諦める理由にはなってないと思うよ!? すこやん正気に戻って!!」 健夜「あははははー……」 カン